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[古論P]秘密を見つけて

全体公開 3 1664文字
2018-02-03 12:52:59

クリスさんがやきもちをやくとこうなるかもしれません。

Posted by @toasdm

 休憩室から連れ出されたと思ったら階段の踊場で問い詰められて、混乱する私を尻目にクリスさんはしょんぼりした顔でぽつりと漏らす。

 「私だって、ヤキモチくらい妬くんですよ……

 ただ拗ねているだけに見えるクリスさんの横顔に、思わず漏れた笑い。それがまた面白くなかったみたいで、私は真剣なんですよ!と、繋いだままの手を両手で握って言い放つ。

 「いいですか、あなたは私の恋人なんですよ?」
 「え、うん、そう、ですけど……
 「もっと自覚を持ってください、それとも、言わなければわかりませんか?言われなければ忘れてしまうのですか?」

 彼が真剣に怒っているのは、休憩室でのちょっとした行き違いのせいだ。想楽さんと、私は意外と力があるとかいう話になってしまったので、試しに想楽さんをおんぶしてみよう、と彼を背負ったまさにそのタイミングで、タイミング悪くクリスさんが休憩室に入ってきてしまった。うわー誤解だよーとパッと離れた想楽さんを完全に無視して、行きましょう、と私の手を強引に引っ張っていくクリスさんは、見た目よりもずっと力が強くて、男の人らしいな、とどこか他人事のように見ていた私を階段の踊場まで連れてきた。

 「想楽に何をされたのです?」
 「え、っと、想楽さんくらいならおんぶできる、っていう話になって、じゃあ実際にしてみようか、って」
 「私が行かなかったらどうなっていたか、わかっているのですか?」

 想楽も男の子なんですよ!と力説されても、どうにもならなかったと思う、としか言えない私に、しょんぼりとしたクリスさんがぽつりと漏らした。私だって、ヤキモチくらい妬くんですよ、と。

 「いいですか、あなたは私の恋人なんですよ?」
 「え、うん、そう、ですけど……
 「もっと自覚を持ってください、それとも」

 伏せていた目をキリッと上げて、まっすぐ飛び込んでくる視線の鋭さに少したじろぐ。美形は怒っていても美形なんだな、と別なことを考えていた私の顔に、クリスさんが顔を近づけてくる。目の前五センチ、息のかかるほどに近づいたクリスさんは確かに、真剣で、怒っている。

 「言わなければわかりませんか?言わなければ忘れてしまうのですか?」
 「そんなこと、ないです」
 「だったら!……私の知らないところで、他の男性と二人きりになるようなことは極力、避けてくださいますか?」

 できるだけでいいので、と本当にしょぼくれて眉根を下げるものだから、私はついつい笑ってしまう。

 「また笑って!本当に、あなたという人は……失礼します!」
 「わっ!」

 ダンッ、と大きな音を立てて、掴まれた手首が壁に押し付けられる。痛くはないけどびっくりして漏れた声を掻き消すように、クリスさんはぐっと顔を寄せてそのまま唇を塞ぐ。

 「どうです?抵抗できましたか?できませんよね、知っています。こんな身なりですが、私も男です。想楽だってそうです」
 「クっ、クリスさん怖い……
 「怖がらせたくはないのですが、あなたには一度、きちんと、男という生き物の恐ろしさを実感してほしいんです」
 「やめてください、あの、誰かに見つかったりしたら」

 強い力で壁に押し付けられて、こんな風にされているところを見つかりでもしたら大事になってしまう、と言う私を見下ろして、クリスさんはにっこり笑って言った。

 「それでもいいと、私は思いますよ。――あなたがいったい誰のものなのか、皆様にわかってもらえればそれが一番いいと思います」

 見せ付けてやればいいんです、ともう一度唇を重ねながら、クリスさんはじっと私の瞳を見つめる。……あなたは、私のものなんですから。荒れ狂う波のような激情を宿したクリスさんの瞳が、私を独占欲で絡め取っていく。逃げるつもりはないけれど、逃げられないなと観念して、私はそっと眼を閉じる。いつの間にか離されていた腕をクリスさんの首に回して抱きつきながら思う、誰かに見つかるなら、見つかってもいいかな、と。


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