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執事と!

@fuka_tofu
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2018-03-09 16:32:14

めんどくさいシュピおじとそれに付き合い続けた執事の話

「坊っちゃん、お茶が入りました」
 ある日の昼下がり、紅茶と軽食を持って執事が自室に入ってくる。
「いい加減その呼び方を辞めろ、僕はもう四十八だ」
「私にとっては坊っちゃんはいつまでも坊っちゃんですから」
 そう言って老いた執事は柔らかく笑い、机に皿を並べていく。シュピンネは退屈そうに頬杖をついてその様子を眺めていた。
「本日は如何なされましたか。朝食も昼食も取られなかったと聞きましたが」
「……五月蝿いな、腹が減らない時ぐらいあるだろうが」
「では、お茶菓子も要りませんでしたか」
「要る、片付けるな」
 ケーゼトルテが乗った皿を片付けようとする執事の手を払いのけ、部屋のドアを指差す。「部屋から出て行け」の指示である。
「ところで、お夕食はお嬢様方と──」
「ああ分かった、分かったからさっさと出て行け」
 不機嫌な声でそう言い放つシュピンネに軽く一礼し、執事は部屋を後にした。

「全く、40年前から口煩いジジイだな……」
 シュピンネはそう呟くと、机に置かれた紅茶を一口啜る。
 物心ついた時から変わらず、自分のちょうど飲みたい茶葉で、砂糖の量も申し分無い。そんな完璧な紅茶が淹れられていた。

「あと10年は働いてもらうか……」

 そう独り言を呟いて、ケーゼトルテにフォークを入れた。


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豆腐屋ふうか
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