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[想P♀]北村想楽「制服」

全体公開 2 2088文字
2018-03-17 12:47:34

制服シリーズ、想楽君版。最近まで制服姿だったんですよね、想楽君も

Posted by @toasdm

「水温む、溶け出す土の、香りかな……

 まあまあ、かなー。もう少しうまくととのえられそうな気がするけど、まあ、こんなものかなー。うきうきと歩く、すっかり通い慣れた感のあるプロデューサーさんの家までの道。つい先週くらいまではなんにもなかった場所に、ぽつんと黄色いタンポポ。春が来てるんだよねー、今度一緒にお散歩でもしようかな、とのびをしながら陽射しに背中を押されて、僕はプロデューサーさんの家に向かう。このぽかぽか陽気じゃスプリングコートもいらなかったかな。いつだったか、プロデューサーさんに言われた言葉を思い出して、僕はふふっ、と思い出し笑いを零す。想楽さんは、春のぽかぽかみたいですね、って言ってくれたのが、すごく嬉しかったな。プロデューサーさんだってそんな感じだよね、って言ったら、じゃあ似たもの同士と言うことで、って恥ずかしそうにキスしてくれたんだ。きっとこんな日常が積み重ねられて、僕とプロデューサーさんの毎日はできていくんだろうな。そんな風に思ったら、早くあのお日様みたいな笑顔が見たくなって、気が付いたら僕は春の道のりを走り出していた。

「ただいまー」
「おかえりなさーい」

 厳密には、ここは僕の家じゃないからただいまっていうのはおかしいんだけど、なんかその方が自然な気がして、いつの間にか僕はただいまって言うようになってた。特にプロデューサーさんからもツッコミ入らないから、別に間違ってはいないんだと思う。走ってきたんですか?とくすくす笑うプロデューサーさんに玄関先でキスをしてから、靴を脱いでお部屋にあがる。勝手知ったるなんとやら、僕は脱いだコートをクローゼットのハンガーにかける。

「んー……?」

 クローゼットの隅っこに、見慣れない服がかかっているのが目に入って、僕は思わずそれを手に取った。これはどう見てもセーラー服なんだけど……。うわー、と慌てた声がして振り返ると、真っ赤になったプロデューサーさんが僕の手からそれをひったくる。

「あの!想楽さんこれはその、違うんです!」
「違うって、何がー?」

 わたわたと慌てながら必死で言い訳のようなものを始めるプロデューサーさんは、これは衣替えの時に、とか、たまたま見つけてしまって、とか、まとまりのない説明しかできてない。ええと、つまり?

「衣替えの時にたまたま高校生の時に着てた制服を見つけちゃったってことー?」
「そう!それです!」
「ふーんそれってつまり、それはプロデューサーさんの制服、って事だよねー?」

 思わずにやけちゃった僕を見て、プロデューサーさんは小さな悲鳴をあげながら、後ろに制服を隠してる。もう見ちゃったから無意味なんだけどな。まあ、せっかく発掘したんだし、ね。

「まだ着られるでしょー?」
「きっ、着ませんよ!?」

 あー、やっぱりそう来るよねー。でも、僕は諦めが悪いんだよね。どうしてもだめー?って、いつも【お願い事】をする時みたいに、プロデューサーさんの肩に両手を置いて、下から覗き込むようにして僕は聞いてみる。プロデューサーさん、こういうのに弱いんだよね。

「だ、だって……
「着てみてほしいなーねー、いいでしょー?」
「でも、想楽さんはつい最近まで、その現役、だったわけですし

 この感じだったらあともう一押し、ってとこかな?ごにょごにょ言ってるプロデューサーさんをぎゅっと抱きしめて、僕はその一押しに取り掛かる。

「何をそんなに気にしてるのー?」
「その私みたいな年上じゃ、見劣りするから

 あのさあ。ほんとそういうのよくないと思う。だって考えてもみてよ。制服着るのが当たり前の人が制服着たってそんなの普通じゃない?あえて、そこをあえて、制服着るのが当たり前じゃない人が着ることに意味があるんだと思うけど。見劣りどころか大興奮じゃない?少なくとも僕はそうだな。ふふ、と零れる笑いを噛み殺しながら、僕はプロデューサーさんの頭をよしよしと撫でる。あんまりにも可愛いからね。

「見劣りなんてするわけないよー。それに、恥ずかしがってくれた方が嬉しいしねー」

 嬉しいってなんですか!って耳まで真っ赤になったプロデューサーさんが抗議の声を上げながら腕の中で僕を見上げる。ああもう本当に可愛い。吸い寄せられるようにキスをしてから、僕はプロデューサーさんの耳元で、最後のダメ押し。

「一人で着るのが恥ずかしいなら、今度僕も持ってこようかー?」

 高校の制服なら、きっとまだ取ってあるはずだし。僕の甘いお誘いに、着るべきか、着ざるべきかの選択に入ったプロデューサーさんを抱きしめながら、制服同士も悪くないかなーとぼんやり考える。後ろに回した手をそろそろと前に持ってきて、ほんとに、一回だけですからね、と恥ずかしそうなプロデューサーさんの上目遣いに、やらしい事しか考えられなくなった僕はそれを顔には出さないようにしながら笑って頷いた。後ろを向いててください、の声に素直に従って僕は、プロデューサーさんの着替えを大人しく待っていた。


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