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刀剣春のパン祭り終了日前日のお話

@ktbkch1tosh1
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2018-03-31 17:10:49

うち本丸設定での一応刀さに(姥さに)?
春のパン祭りでシールをどうするか初期刀兼近侍の国広さんとやいやいする話です。

「刀剣春のパン祭り終了日前日のお話」

「ああ、そういえば主」
夜。
今日の日課も無事終え、明日の予定をお互いに確認している最中に、初期刀にして近侍の山姥切国広が横を指した。
「明日で交換所は終了だぞ」
どうするんだ、とその目は問うている。
う、と言葉に詰まり、視線を国広の指した『交換所は3月20日迄!』の文字に移す。
延期をした様子はない。小さく漏れた溜め息に、近侍が眉をひそめた。……気がする。そんな空気を感じる。
その空気にますます気が重くなり、更に溜め息が漏れる。こういう際の悪循環を絶つのは大抵相手の方だ。
「それで、誰にするんだ?」
一片の容赦もない。
「…………『誰か』にしなきゃ駄目かなぁ…」
思わず長卓に突っ伏した頭に、近侍の正論が飛んでくる。
「『毎日シールを貰いに行くだけで刃員拡充出来るなんてラッキー!』と言ってたのはあんただろ」
「そうなんだけど!」
在りし日の己の能天気な言葉が突き刺さり、思わず伏した身を起こし言い返す。
「タダより高いものはなかったんですよ!!」
現在この本丸に居ないのは長船の刀。小竜景光、謙信景光、小豆長光の三振りだ。
喚べるのなら喚びたい。何せ集めたシールだけで良いのだ。コストゼロ万歳。
そう、思っていたのだが。

『初期刀以来、初めて審神者が選ぶ刀なんだね!』

ちらほらと審神者の間で流れるその言葉が、思わずストップをかけた。
「……国広もう一振貰ってくるとか…」
「俺に連結させるだけになるから止めておけ」
「……私、君のそういう変に自信に満ち溢れてるとこ好きよ」
確かに、顕現させるのは一振りだけと決めている本丸なので、もう一振、山姥切国広を得てもそうなるだろうけれど、ねえ自分でそれを言うのってどうなんです?
「あんたは……」
「ん?」
渋い顔をする初期刀兼近侍に首を傾げる。
「………………」
沈黙の後に深い溜め息をついた国広は、相も変わらず淡々と正鵠を射る構えだ。
「あんたのことだ、大方また何処かでおかしな話でも拾ってきたんだろ」
「う」
「『初期刀以外で初めて審神者が選ぶ刀だ』とか」
「ぐ」
「『その時初期刀はどんな反応をするのか』とか」
「あの」
「『 』」
「も、もういいですいいです!ストップ!!主命!!」
全身で制止の動きをして相手の言葉を阻んだ。
次に何が来るのか恐ろしすぎる。
あと、情報がだだ漏れにも程がある。
「そ、それだけが要因ではない、ですけど!やはり気になってしまうと言うか……!」
バレているなら隠しても仕方ない。素直に、踏み切れない理由を吐露する。
相変わらず情けない審神者で申し訳ない。
「国広は、気にしない、ですか……?」
「………あんたが『選んだ』ようには思えないからな」
ぽつりと低く、けれど零れ落ちることなく、言葉が返る。
「ふぇ?」
思いも寄らぬ単語に、頭の悪い声が出た。
そこ、笑うんじゃない。布で隠れてると思うなよ。
「…選択肢は、過日の鍛刀で来なかった長船の刀であり、小竜景光は……まあ暫く置かざるを得ないだろうし」
「ああ、うん……そうだね……」
二度の鍛刀キャンペーンで散々な結果をもたらした末に起きた諸事情により、小竜くんは暫くお預けなのは恐らく本丸共通認識だろう。
「そうすると残りは小豆長光と謙信景光に絞られる」
言って、国広は指を二本立てる。
「……『謙信くんを、どこで喚ぶのが一番寂しくないかな』」
「!?」
度重なる長船派の鍛刀キャンペーンに破れて以来、ずっと思っていたそれが目の前の近侍の口から紡がれて、思わずぎょっとした。
「短刀である謙信景光が、他の連中より、より成りに近い思考をしているなら、出来るだけ刀派が揃った状態で迎えたいとあんたは考えるだろ」
見開いた目の先で、国広が指を一本折る。
残りは一本だ。
「……あんたが選べるのは、小豆長光しかいない」
選択権など、有って無いようなものだ、と言外に告げられる。
「だから、あんたがそれを選んでも俺が気にする理由がない」
更に言えば、少し考えれば本丸中の誰もが行着くことだから、誰の目にも『初期刀以来初めて審神者が選んだ刀剣男士』にはなり得ないと分かるだろう。と加えた。
「……そもそも、見方を変えれば、俺以外だってあんたはずっと『選択』し続けてきただろ」
鍛刀キャンペーンと言えば鍛刀してその刀剣男士を『喚ぶこと』を選び。
確定報酬となれば六万だろうと十万だろうと、御歳魂だの玉だの蛍だの『集めること』を選んできた。
「実際にこの本丸に顕現するかしないかは運と縁でも、あんたは手を伸ばし続けてきた」
その結実が現在の本丸であり、初期刀兼近侍の居場所は未だ誰かに代わる予定がない。
憂える要素が何処にある、とその目が言っている。
そして、そんなことは一切置き去って、厳しい近侍は当初の議題に戻る。

「……それで、交換所は明日までだぞ。どうするんだ?」


刀剣春のパン祭り。交換所閉鎖ギリギリに小豆長光を得る前夜のお話。


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ちぃ
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