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親愛なる友人にハッピーバースデー(long.ver)

服部匠@次回ちょこっとブックカフェ委託
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2018-04-02 12:33:40

2018年3月25日名古屋コミティア52内企画「2と5の1コマ」の初稿(ロング)バージョン
サラリーマン2人が誕生日ケーキでお祝いしてます。ややブロマンス。

 食べるのは二人だけなのに、五号のホールケーキは大きくない? そうぼやいてみても、佐藤はさほど気にしていないようだ。
「子供の頃、誕生日にホールケーキを丸ごと食べたかったのに、親に『カットされてるケーキから好きなものを選べばいいじゃない』と言われて、買うことができなかった恨みをはらしてるんだ。金の力で」
「金の力」
「そう、金の力。社会人はいいぞ。こんなケーキを買っても誰にも怒られない!」
 僕らの目の前には、僕らの目の前には、フルーツたっぷりのホールケーキ。「誕生日おめでとう」のプレート、太いロウソク二本、細いロウソクが五本が刺さった、立派な誕生日ケーキだ。誕生日にホールケーキを丸ごと食べたかったのに、親に『カットされてるケーキから好きなものを選べばいいじゃない』と言われて、買うことができなかった恨みをはらしてるんだ。金の力で」
「金の力」
「そう、金の力。社会人はいいぞ。こんなケーキを買っても誰にも怒られない!」
 友人はロウソクに火をともし、部屋の電気を消す。単身用アパートの一室が、あっという間にロマンチックな雰囲気になった。ここにいるのはくたびれたサラリーマンが二人だけなのに。
「まさか、歌えと?」
「この状況で歌わない奴はいない」
「いや、あの、僕音痴なんでちょっと勘弁して」
「ハッピーバースデー、トゥ、俺~」
「自分で歌うならそれでいいじゃん!」
 二十五歳になったというのに、佐藤は子どもっぽくて身勝手だ。しかしそんな彼のことを僕は結構気に入っている。腐れ縁というやつだろう。なので、音痴は音痴なりに歌って祝福してみた。僕の全力を出して、親愛なる友人・佐藤を祝ってやろうじゃないか。
 ロウソクの火が消え、電気をつける。佐藤の顔には、憐れみの表情が浮かんでいた。
「……ほんっっと、音痴だな、鈴木は」
「うるさいな! ケーキ顔にぶつけっぞ!」
 誕生日おめでとう、っていうタイミングを失ったけど、君のせいだからね、佐藤!


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服部匠@次回ちょこっとブックカフェ委託 @tencus
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