「お前さんはやっぱり、白が似合うだろうな」
リクエストいただいた「ウェディングドレスを選ぶ雨P♀」のお話です。リクエストをお寄せいただいた匿名の方、幸せなシチュエーションを本当にありがとうございます。とても幸せな気持ちになりながら書かせていただきました。
@toasdm
目の前にはチュールレース、オーガンジー、シルクにサテンにシフォン、ジョーゼット、タフタ。純白のドレスを作り上げる生地の洪水に目を回しそうになりながら、私は今、世界で一番幸せな選択をしている。隣並ぶ雨彦さんは目を細めながら、向かいにプランナーさんを挟んだテーブルの下でずっと、私の右手をそっと握っていてくれる。花嫁様はどのような生地がお好みですか?とそれぞれの生地の特徴を説明してくれるプランナーさんの言葉に、雨彦さんはお前さんなら、と声をかけてくれた。
「お前さんなら、何を着たって似合うだろうさ」
「ふふ、そうですね、隣に立つのは何をしたってかっこいい人ですから」
「お二人とも、本当にお幸せそうですね」
お手伝いができて嬉しいです、とプランナーさんが本当に、心底嬉しそうに微笑んで祝福してくれるのが、くすぐったくて嬉しくて、私は幸せをかみ締めながら生地を眺める。実際のドレスもご覧になってみますか?と促してくれたプランナーさんについて、私たちはドレスの海の中へと手をつないで足を踏み入れた。実際に触れていただいてもかまいませんから、ゆっくりご覧になってください、のお言葉に甘えて、私はラックにかかったドレスのひとつを手にとってみる。
「お前さんはやっぱり、白が似合うだろうな」
真っ白なプリンセスラインのドレスは、すっきりまとまったトップに、チュールレースとシフォンのふわっとしたスカートがまるで花びらのように広がっている。幸せのため息を漏らした私の頭を撫でてから、雨彦さんもおなじく、幸せそうにため息をつく。
「…にやけちまうな」
想像するだけでどうにかなりそうだ、とそっぽを向いた雨彦さんは、人差し指でぽりぽりとかいたほっぺたを赤くしながら、既ににやけた顔をしている。以前リゾートウェディングのお仕事が来た時に雨彦さんが言ってくれた言葉を思い出して、私は雨彦さんの腕にそっと手を添えて照れた横顔を見上げてみる。
「花婿さんも満足してくれる花嫁さんに、私、なれるでしょうか?」
「……ああ、お前さんをおいて他に誰が、俺をこんな風にできると思ってるんだい?」
こんな風に、の表情は、どこまでも幸せそうで、どこまでも優しくて、そして、どこまでもどこまでも、私の大好きな雨彦さんの顔。ご試着なさいますか?の声に振り向いて頷いてから、私は試着室へとドレスを抱えて入っていく。
今、雨彦さんはどんな顔で、私を待っていてくれているんだろうか。幸せ色の純白のドレスを試着させてもらっている間、私は頬が緩むのを止められなかった。鏡の前にドレスをまとった、幸せそうな笑顔の私が映って、花婿様にお披露目しましょうか、と試着室のドアを開いてくれたプランナーさんの言葉に、私は目を閉じて俯いた。
ドアが開く。雨彦さんが息を呑む音が、静かなドレスルームの中に響いた。
……ねえ、雨彦さん。私、今どんな顔してますか?