@satomi8429
お題「はんぶんこ」
推奨キャラ「美朱/唯/多喜子」
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ここ数日、少女は悩んでいた。
ひらひらと軽やかな薄桃色が脳裏を舞う。授業中も電車の中でもだ。そして今日も、誘蛾灯に引き寄せられる蛾のように、オレンジの電球が照らす華やかなガラスに顔を近づけるのだった。
いつも一番に目に入るのは、薄桃色のだ。バレリーナのチュチュのようなフリルを纏った薄桃色。中心には本物と見紛うばかりの見事な花々がしぼられていて、赤と紫は控えめにコーティングされ、鮮やかに輝いている。やはりこれだろうか。一目見たときから運命を感じたものだし。しかし、と少女は腕を組み視線を移す。贈り物の目的とは喜んでもらうこと。それを考えると―。目線を移した先にあるのは、つやつやと高級感に溢れた光を放つ、威厳の黒。ずっしりと重そうなそれには同じく暗い色の飾りがしぼられ、金の粉がかかっている。
「よし、決めた」
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「唯ちゃん、お誕生日おめでとう!」
「あ、ありがとう美朱。でも、あの、ひとつ聞いていい?」
「もしかしてこれどっちかは中身が空でどっちかが当たりとかそういうやつ?」
2つの箱を持って現れた親友に、先日テレビで見たバラエティを思いだす。ふたつの封筒のうち、ひとつは1000円、ひとつは10000円、というものだった。
「えへへ、さあどうでしょう?」
にやける親友に促され、同時に箱を開けてみる。
「…美朱、嬉しいけど、これさ」
「うん」
「こんなに食べられないよ、ね」
「うん?」
「…哲っちゃん呼ぼうか」
「やだなぁ唯ちゃん!だからこれは!」
***
かくして、豪勢に薄桃色のクリームのついたフルーツケーキと、重厚な大人の味のチョコレートケーキは少女たちの胃におさまったのだった。
「おいしかったねー!」
「私今猛烈におせんべいがたべたいわ…」