X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです
Xフォロワー限定公開・リスト限定公開の停止について

[想P♀]唇に触れるもの

全体公開 1 1483文字
2018-05-16 12:47:42

「でも、食べちゃったんでしょー?」

買っておいたポッキー全部食べちゃったPさんに意地悪する想楽君のお話です。

Posted by @toasdm

 何のために買っておいたと思っているんだろう、と、想楽は憤慨しきりといった様子でじっと黙り込んでいる。彼女の目の前にある箱、チョコレートのついたプレッツェル、いわゆるポッキーはたった今空っぽになったばかりだ。頬の膨らみ方からいって、これは相当怒っている、と冷や汗を垂らす彼女はぽつり、と言う。
 「知らなかったんです……
 「でも、食べちゃったんでしょー?」
 僕のポッキー、一人で全部。その言葉を最後に、想楽はまた黙り込んだ。買ってきます、と慌てて立ち上がる彼女を制止するときですら無言だった。髪が濡れている状態で外に出たらだめでしょー、という視線だけで彼女はそれに大人しく従うしかなかったのだ。相変わらずむくれたままの想楽と申し訳なさそうにする彼女とが部屋に沈黙を広げて、結局想楽が立ち上がり、怒りを隠そうともせずに「買ってくる」と財布を掴んで家を飛び出すまで、彼女は何も言えずにただ空き箱を見つめているだけだった。
 想楽が帰宅した時には、まるで塩を振った青菜のようにしょぼくれている彼女が、出て行った時と同じ姿勢のままソファの上で体育座りをしていた。ただいま、と掛けられた声が幾分弾んでいる様子でほっとした表情を一瞬みせるも、彼女はやはり、申し訳なさそうにそれ以降口をつぐんだままだ。
 「プロデューサーさんが僕のポッキー全部食べちゃったから、これは全部僕が食べますー」
 「う……ぅあ、あ、いちご」
 ふふーん、と得意げな顔をしてコンビニのレジ袋から想楽が取り出したのは、彼女が大好きないちご味のポッキーだ。それも、果肉の粒が入っているタイプの。
 「えー?僕のポッキー食べちゃったのにー?」
 彼女の隣に腰掛けて、想楽は手早くパッケージを開けて一本取り出しサクサクと食べる。ふわりと漂ういちごの香りとおいしそうなピンク色、それが想楽の口に消えていくのを彼女はじっと見つめてそして、視線を逸らして膝に額をつけるようにしてしょげている。
 「プロデューサーさんは食いしん坊だよねー」
 「……想楽さんの意地悪ぅ……
 別にいちご味好きじゃないでしょ、とここにきて漸く彼女は本心を口にした。私に対するあてつけで、私の好きないちご味をわざわざ選んで隣で食べるなんて!と。
 「…………私も食べたいのにぃ」
 「しょうがないなー一本だけだよー?」
 バッ、と顔を上げた彼女に、ゲンキンだよねーと笑いながら想楽は、取り出した一本を彼女の口に咥えさせる。そしてそのまま間髪を入れずに彼女の肩を引き寄せて、持ち手の部分を自分も咥える。ぶつかる視線、驚いた表情のまま硬直している彼女の瞳をじっと見つめながら、顔を傾けて想楽はゆっくりと侵食するように食べ進める。唇が触れるあと一口、想楽は口をにまりと歪めて目を閉じて、後頭部に手を添えてから彼女の唇に自分の唇を重ねる。
 「んんっっ!?」
 「ん…………っふ、ふふ」
 ゆっくり開いた目、意地の悪そうな悪戯な想楽の目にすっかり熱を移された彼女の真っ赤になった耳にそっと指を這わせて顔を離す。
 「こうやってだったら、食べさせてあげなくもないけどねー」
 箱からまた一本取り出して、今度は自分で咥える。
 「どうするー?」
 挑発的な想楽の笑顔に観念した彼女は目を閉じて、ごめんなさいでした、と呟いてからその端を咥えた。
 本当は、プロデューサーさんとこういうことがしたかったから買っておいたんだよねー、と心の中で呟いた想楽は満足気に、彼女がかじるサクサクと言う小気味のいい音を聞きながら唇に触れるものを待っていた。


投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.