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殺人鬼ドヨンシリーズ、第8章、夜の終わり

全体公開 NCT 3 5 2754文字
2018-05-25 05:50:53

目覚めた時のジョンウとマークの話です。ジョンウ、あんな役回りでごめんね(殴)

名前変換

ジョンウ視点

―――マーク、落ち着いて。俺が奴の後ろに回り込むから、お前はいいというまで出て来るな


2人で何とか音を立てずに外に飛び降りて、僕はマークに言った


―――ジョンウさんにはさせられない、危険すぎる
―――僕のセリフ。いいからいうこと聞いて、揉めてる暇はないんだ
―――嫌だッ僕のヌナと僕の妹だ、僕が守る


マークが言いたいのはそういうことじゃないと、その目を見て気付いた。もっと早く気づきたかった


―――お願いだから守らせて。僕はドヨンさんと約束したんだ


一度捨てようと思ったこの命を、マークのために全て捧げると


―――ニナを本当の意味で守れるのはお前だけなんだよ、マーク
―――
―――お前が死ぬわけにはいかないんだ。ドヨンさんの血を引くニナに“衝動”を遺伝させないためには、お前がそばにいる必要がある。○○さんだけじゃ駄目だ


マークは目を見開いた。言うなと言われていたが、仕方がない。これで僕が死ぬとしたら、マークに覚悟させる必要がある


―――何で何でジョンウさんがそのこと
―――言われたとおりにするんだよマーク。愛してる……それから何があってもお前はドヨンさんと同じにはなるな、ニナのために



目を覚ますとそこは病室で、朝日が部屋中を満たしていた
MK「ジョンウさん」
……僕も結構しぶといもんだろ?」
そう言って笑ってみせると腹部が痛んだ。マークが麻酔ボタンを渡してくれるが、押すと眠ってしまう気がしてやめておいた
「名前さんたちは?」
MK「無事だよ。ニナは今マスターに預けてある。ヌナはさっきまでいたんだけど、寝るべきだってテヨンさんが強制回収していった」
「あの花屋は」
MK「……建設現場の最上階から落ちて死んだ。正当防衛だよ」
それだけでわかる。ドヨンさんが儀式を行なったのだ。家族に危害を加えられた上に狙いが名前さんだったなら、ドヨンさんがすんなり逮捕するわけがない。電話口に聞いた声はかなり気が立っていた
MK「……いつから知ってたの」
例の強盗殺人事件が終結した日だよ。僕の家に来たんだ」
椅子に拘束されていたことは言わない方がよさそうだ
「僕が誰に対しても義父と同じ扱いをする人間かどうか、マークへの想いがどれだけのものか、試しに来たんだ。残りの人生の全てを賭けてマークを守れって言われた」
“予約”されたことも言わないでおこう。マークは既に泣いている
MK「ッ僕はそんなことしてもらう資格はないんだ」
「どうして?僕もマークと同じなのに」
父親のために仇を殺したマークと、母のために義父を殺人犯に差し出した僕。罪は同じだ
「名前さんが言ってたよ。自分はもうドヨンさんから離れられないし、離れるつもりもないから、マークを正しい世界に留めておくことが出来ないって。だから僕に、マークがドヨンさんに引き寄せられないよう繋ぎ止めてくれって」
ドヨンさんの衝動は後天的なもので、そのままでは遺伝しない。だがドヨンさんが儀式以外の方法で衝動を発散させる方法を見つけるか、名前さんが娘を連れて離婚でもしない限り(後者の方がありえなそうだ)、ニナが影響を受ける危険はなくならない
人は誰でも人生に一度は殺意を抱く。そのことを理解したうえで、わけもなく衝動を抱くことのないマークなら、ニナを引き留めておける
「僕にもニナにも、マークが必要なんだ。お前を守るためなら何度だって刺されてやるさ」
MK「そんなこと言うな!!」
マークの目から涙がぽろぽろとこぼれ落ちていく
MK「父さんの仇を討って、自分には二度と衝動なんて起きないと思ってた……そんなの無理だ。僕は既に一人殺してる」
「マーク」
MK「あいつを殺そうと思った。ヌナとニナを傷付けて、ジョンウさんを刺したあいつを……おんなじ衝動が起こったんだ。ヌナが僕を止めなかったらあのハンマーで殴り殺してた。ジョンウさんが死ぬなんて考えられない
僕は腕を伸ばしてマークの頬に当てた、気遣ってか、顔を近づけてくれる
「駄目だよマーク、そんなこと言っちゃ……僕は人間が出来てないし、紳士でもないから、泣いてるマークに付け込むよ」
MK「それでもいいよ」
「僕がよくない。僕はマークが好きなんだ。罪悪感を利用して手に入れても、一生満足は出来ない」
MK「僕は罪悪感を感じてないことに罪悪感を感じてるんだ」
マークは僕の目をじっと見つめた
MK「ジョンウさんが刺された時、ジョンウさんがいなかった頃のことが思い浮かんだ。今までずっと、父さんが死んでからはヌナとドヨン兄だけがいればいいと思ってた。でも店に来てちょっかい出したり、一緒に映画見ようって誘ってくれるジョンウさんがいなくなったら嫌だ」
僕の手を強く握り、額を押し付ける
MK「次に湧いたのは花屋に対する怒りで、その次はジョンウさんを失うかもしれない恐怖で……僕を庇うために刺されたのに、そのことが吹っ飛んでた。本当ならそのことで罪悪感を抱くべきだし申し訳ないと思うのに、自分のエゴばっかりが浮かぶんだ」
……僕はそれが欲しいよ」
からかうとマークが困った顔をしながらも許してくれて、嬉しかった。美味しいものをご馳走すると嬉しそうに笑うし、冗談を言うと手を叩いて笑うし、悲しい映画を見せると僕に顔を見せまいとしながら泣く。感情を豊かに見せてくれることが嬉しかった
「罪悪感なんかいらない。僕はマークのエゴが欲しい」
MK「じゃぁ死なないでよ……命も人生も賭けなくていい、ドヨン兄がなんて言おうとジョンウさんはちゃんと自分の人生を歩んでよ」
「マーク、お前が僕の人生そのものなんだよ。賭けてるわけじゃない」
MK「そんなのどうだっていいよ僕のそばからいなくなられちゃ困る!!口説くだけ口説いて自分はさっさとログアウトなんて身勝手だ!!」
「おいでマーク……ほら」
マークが傷を気遣いながら、僕の心臓の上に耳を当てた。左手でその髪を撫でながら、僕は意を決して言う
「ねぇ、ヒョンって呼んでよ。ジョンウさんなんて他人行儀は嫌だ」
するとマークはガバッと体を起こし、顔を真っ赤にさせながら目を泳がせ、何度か深呼吸してからゆっくりと僕の耳に顔を近づけた





MK「ジョンウヒョン、僕はヒョンが好きだよ」





幸せすぎて涙があふれ出した。おまけに傷がめちゃくちゃ痛い。僕の涙を見てぎょっとしてマークはおろおろと狼狽え、再び顔を近付けてきた
ちゅ、と短くて小さな、子供みたいなキスひとつ。マークはさらに顔を赤くして、壊れたロボットみたいな変な声を出して病室を飛び出して行った


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