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2014/7/26 ふし遊版深夜の真剣創作60分一本勝負 ちょっと一服

全体公開 1 1325文字
2014-07-27 00:06:26
Posted by @satomi8429

お題「ちょっと一服」
推奨キャラ 「星宿・房宿・牛宿」

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王道輝は緊張していた。

つい先日まで静かに暮らしていたのに、今や国の中心となる中枢議会に同席しているというのだから無理もない。
科挙を受けている身としては、宮殿内の政務の現場というのは憧れの場所。今回は朱雀七星士という立場なので本来の目的とは違うが、星宿の計らいで内部の会議にも混ぜてもらっているのだ。勿論自分の入れる内容は北甲国遠征と朱雀召喚にあたっての懸念事項への対策に限ったものであったが、この国で目下問題なのはそのことなので、自然政治の中心に入ることになる。
科挙の合格もまだな上にこの容姿、周囲の役人の中には眉を顰めるものも多かったが、星宿のひとことでそれらの声は静かになった。
「張宿は省試の優秀突破者であり、朱雀七星士の一人、知力に長けた能力を持つ者だ。そして今は紅南国の緊急事態。異例の計らいだがどうか理解してもらいたい」

ここでもし字が消えてしまったら。

好意からのはずであるその言葉は、しかし道輝の肝を一瞬にして冷やした。

***

午後2時の鐘がなり、取り仕切っていた役人が休憩時間を告げる。
役人たちが三々五々散らばっていくのを見送ると、道輝は再び椅子に腰掛けた。誰もいないことを確認すると、伸ばしていた背筋を椅子の背に預け、首を倒して天井を見る。豪華な彫りの灯りと、朱に彩られた組み天井とが、厳めしい顔で見下ろしている気がした。
「張宿」
と、後ろから声をかけられ、肩が跳ねた。誰もいないと思っていたのに、ため息をついたのを見られただろうか。低く柔らかなその声は星宿様だった。
「大丈夫か。疲れただろう、すこし休憩したらどうだ」
「ありがとうございます。でも僕はここで大丈夫です」
人が多い場所も、そんな場所で発言をすることも、ましてや議論することなど当然ながら今までないことだった。とにかく人がいない、ということが今一番の休憩なのだ。そう笑顔を返すと、星宿は少し考えこむ仕草をし、明るい口調でこう言った。
「じゃあ私の休憩に付き合ってくれるか」

***

案内された場所は宮殿の端、迷路のような回廊をぐるぐるとのぼった上だった。
「うわぁ!」
「私のとっておきの場所だ。気に入ったか?」
真っ暗な階段から突如現れた屋上は午後の陽射しが溢れて明るく、その直射日光を切り取るように、四本の柱が支える屋根が陰を作っていた。簡単な椅子と低い机、それから地図の刻まれた大きな石が置いてある。そしてそこから眺める景色は、宮殿の近くの街から遠く広がる山まで見渡せる壮大なものだった。
「人酔いしたんじゃないか、張宿。私も初めて会議に参加したときはそうだった。あの場にいるだけで疲れるからな、はじめは」
「星宿様
「まあ茶でも飲もう、かけて休みなさい」
いつのまに命じていたのか、侍者が茶道具を持って上がってきていた。
勧められるままに星宿の正面にかけ、お茶を受け取る。
「ありがとうございます」
胸が一杯になってそれしか言えずに、ただ感謝の意を表したくて湯のみに口をつける。
芳ばしい液体が喉をすべりおりて、肩の力が少し抜けた。



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