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[みのP♀]チラ見せ

全体公開 2 1544文字
2018-06-20 12:26:21

「ほんとはさ、昔の話だけどね」

血の気の多かったみのりさんの過激発言にちょっぴりどきどきしてしまうお忍びデートのお話です。

Posted by @toasdm

 街並み、雑踏、人の群れ。賢者は木の葉を森に隠すというけれど、人に紛れてしまえ、と飛び込んだ真昼の街でも、みのりさんは目立つ気がして私はヒヤヒヤしてしまう。バレないと思うけど、と隣でくすくすと笑いながらキャップを目深に被って伊達眼鏡をかけたみのりさんは、いつもと少しだけしか印象が変わらない。
 「白昼堂々、人目を盗んでお忍びデート、なんて、ちょっと憧れてたんだよね」
 無邪気にはしゃぐ様子は確かに楽しそうだし、みのりさんが楽しいなら私も嬉しい、それには、嘘はないけれど。なんの心配もなく、とはやっぱり、どうしてもいかない。
 「そんなに気になる?」
 こちらを覗き込むようにして、みのりさんは身を屈めてニコニコと、笑顔を見せてくれる。正直に、気になると答えれば、そっか、と姿勢を戻して、みのりさんは辺りを見渡した。
 「結構、カップル多いよね」
 「そ、そういえば、そう、ですね……?」
 人目を気にしていた割には、そう言われるまで私は、カップルが多いとかそんなことにまでは、気が回っていなかったみたいで。もっと楽しんでよ、とまたみのりさんは笑って、繋いでいた手を取ってナチュラルに、腕に誘導する。もっと甘えてよ、と腕を組んで歩きながら、みのりさんはとても嬉しそうに、弾む声で言った。
 「俺はプロデューサーしか見てないし、多分他のカップルだって、今隣にいる大好きな人の事しか頭にないよ」
 ……妙な説得力とほんの少しの気恥ずかしさに、私は思わず俯いた。恋人らしくしていれば、その他大勢と一緒だろ?とさらに説得力を増したみのりさんが、ふっ、と笑って遠くを見つめている。
 「ほんとはさ、昔の話だけどね」
 見つめる視線の先にはカップルしかいなくて、目を細めて今は違うけど、と前置きをしてから、みのりさんはぽつぽつと話し始めた。
 「こういうイチャイチャカップル見てると、全員バイクで轢き殺してやろうかな、みたいに思った事もあるんだよね。このリア充どもが! って」
 「過激過ぎません?!」
 昔は血の気が多かったからさ、と、さらっと言ってるけど、ちらっと見上げた目は割とマジでちょっとだけ、ひぇ、っとなりながら私はみのりさんの腕にしがみついた。昔の話って言ったろ?とけらけら笑いながら、みのりさんは話を続けた。
 「でも、実際こうしてみるとさ、すごく落ち着くっていうか……あー、やっぱりみんな、幸せ噛み締めたいよねー、って、ふふそんな風に、思えるんだ」
 プロデューサーのおかげ、と笑ったみのりさんの笑顔は、本当に心底幸せそうで、幸せを噛み締めるとみのりさんは、こんな風に笑うんだ、と思って私も、つられて笑顔になってしまう。
 「憧れてしまうのも、仕方ないよね。だって、あの時轢き殺してやろうか、なんて思ってたリア充の方に、俺たち入ってるんだもん」
 「じゃあ、昔のみのりさんみたいな過激な人に、私達も轢き殺されちゃいますかね?」
 ノリと冗談でそう言った私を、みのりさんは真剣な声で抱きしめるように囁いた。

 「させないよ、俺が絶対守るから」

 正当防衛ならなにやってもいいよね?と笑うみのりさんが本気なのかどうなのか、ちょっとわからないけれど。でもきっと、みのりさんなら、何があっても守ってくれるんだろうな、と信じられる気がする。私の王子様はちょっと過激で血の気が多いみたいだけど、でも誰よりもかっこよくて、強くて、優しい。
 せっかくだからクレープでも食べよっか、と店を指すみのりさんの表情からは、血の気の多さは今は感じられない。どれ食べる?と聞かれた私は上の空で返事をしながら、さっきチラ見せされた荒っぽい男らしさと血の気の多さを思い出して一人、ドキドキしたままだった。


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