ウォッチャーの皆さまお待たせしました!!初めて儀式に参加し落ち込むジョンウと励ますマーク……の翌朝です(殴)僕裏書けるよ、本番シーン書けるよという方大募集です(殴)裏書けない僕の代わりに書いてくださる方はぜひご一報の上UPしてください(殴)お待ちしております←
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@risa_natsuko
ジョンウ視点
―――男が好きなんて気持ちが悪い。恥さらしだから隠していろ
義父の言葉に僕は凍り付いた。そうか、同性愛者はただそれだけこういう扱いを受けるのか。まるで犯罪者のように、愛することも愛されることも許されず、自分を偽って生きて行かなければならないのか
僕は劣等感を抱えているくせにプライドが高い、面倒な性格をしていた。義父が隠せというなら、堂々と胸を張ってやろうじゃないか。誰にも隠しはしない。そういうコミュニティにだって顔を出すし、マークにもストレートに想いをぶつけた
―――僕はジョンウ兄が好きだよ
―――嘘じゃない。だから信じて?
マークは手を繋ぐのも恥ずかしがるくらい初でシャイなのに、自信を無くした僕を抱き締めてくれた。子供みたいに唇をくっつけて、たどたどしく愛情を示してくれた
子供の頃母がくれたオスカー・ワイルドの小説を思い出した。マークは王子でありツバメだ。この世に神様がいて、天使に「最も尊いものを持って来なさい」と命じたら、きっとマークを連れて行ってしまうのだろう。だから僕は絶対にマークの手を離せない。エゴで縛り付けてでもそばにいてほしいと思ってしまう
―――ヌナのために動いてくれてありがとう
―――雑貨屋が怖かったのはヒョンも同じなのに、守れなくてごめんね
―――ドヨン兄の掟に引っ掛かるようなやつの目に、ヒョンを映したくなんてなかったのに…
マークは僕の髪を梳くように撫でた。僕はその手を引くと、素直に腕の中に納まってくれる。キスすると、頬を赤くして抱き付いて来た
目を覚ますと既に8時を過ぎていた。眠気が去らない中、胸にふわふわと触れてくすぐったいものの正体に気付いて眠気がふっ飛んだ。マークがシーツに包まって丸まっている。夏とはいえ服くらい着せようかとは思ったのだが、風呂場で気を失ったまま眠ってしまったのだ
「マーク、まだ眠い?」
返事がないので起こさないように腕を抜いてベッドを出た。身支度をして朝食を作る。ずっと自分の食事なんてほったらかしの生活だったので、料理はほとんど出来ない。かろうじて野菜をちぎってドレッシングを和えるとか、パンと卵を焼くとかその程度だ
お湯を沸かしながらつい思い出して緩む口元を押さえていると、寝室からどったんばったんと音が聞こえてきた
「マーク、大丈夫ー?」
MK「…ッだ、だいじょ…ぶ!!」
目が覚めて昨夜のことを真っ先に思い出し、ベッドから転げ落ちた。きっとそんなところだろう。と、今度はバスルームから悲鳴が聞こえてきた。朝から元気な子だ
「どうしたの?」
MK「ぎゃー!!来なくていい!!」
「来なくていいったって、そんな悲鳴上げられたら……ああほら暴れないの」
シャワーを浴びようとしたのかシーツに包まったまま蹲っている。頭からすっぽりかぶっているのを見て、思い至った
「あぁ…痕つけ過ぎたかな」
キシャーッと唸られた。パニックが過ぎて人間の鳴き声も出ないらしい。からかい甲斐があり過ぎて楽しい。僕はにんまり笑ってシーツを引っ張った
「シャワー浴びないの?ほらシーツ取って、洗濯するから」
MK「…ッ!!、!、……!!!」
「あんまり可愛いことしないで。またここでいじめちゃうよ」
MK「ッ~~~~~!!!」
「いいの?そのシーツ昨夜のいろいろと染み込んでると思…」
シーツをバサッと被せられ、体当たりでバスルームから叩きだされた。僕は笑いをこらえるのを諦めて、ドアに向かって声をかけた
「昨日着てきた服は洗濯機に入れちゃったから、今日はクローゼットから僕の服好きなの着ていいよ。今度からうちに着替えおいとくようにね」
悲鳴も出ないらしい。楽しくってしょうがない
初めて儀式に参加した。ビニールで地下室全体を覆い、ラップでぐるぐる巻きにした生贄をテーブルに固定する。ナイフを研ぐドヨンさんの横顔は、あの日暗闇の中で僕に契約を突きつけた彼と同じ顔だった
だが一番ぞっとしたのは名前さんだ。彼女はこれから殺される生贄を見ても、まったく感情を動かさなかった。恐怖も憎悪も何もない。彼女にとってあの雑貨屋は、テーブルに括り付けられた時点で既に人間ではなく、生贄でしかなかった。だがそんな彼女も、ドヨンさんがナイフを生贄に突き立てた瞬間顔を変えた
―――きれい
目を輝かせ、呟いた。返り血を浴びるドヨンさんを見つめるその目は煌煌と輝き、口元には笑みさえ浮かべていた。殺されているのが生きるに値しない犯罪者とはいえ、目の前で殺人が行なわれている時にする表情としてはそぐわない気がした
あぁ、この人はもう向こう側の人なのだ。そう思った。義父を死に追いやった僕や親の仇を殺めたマークでさえ、まだこちら側にいるとそう思えた。名前さんは生贄を殺したいわけではなく、殺意もない。彼女はただ生贄を殺すドヨンさんを見たいだけなのだ。まだナイフを開き殺意をむき出しにしている彼女の方が、僕たちに近く思える
「マークを引き留めろって……そういうことかよ」
彼女は自分が普通ではないことを自覚しているらしい。おそらくドヨンさんよりも
マークは僕のパーカーを被って首元まで閉め、フードを被って戻ってきた
「…暑くないの?」
MK「大丈夫」
「髪乾かした?…あぁほらしずく垂れてるよ。おいで」
手を伸ばすとびしっと固まった。逃げる前に捕まえてフードを外すと、バンッと顔を手で覆った。痛そうな音だな
「照れてないで、ほら。今更隠したって無駄だよ全部見ちゃったんだから」
キシャーッ
「まったくもう可愛いんだから、猫め。暴れるんじゃないの、観念して髪拭かれなさい」
パーカーを脱がせてタオルで髪を拭いてやる。首筋やTシャツの襟ぐりから覗く肌に散ったものを見て、心が満たされる気がした。マークは僕のものだ。そうであることを、マークが許してくれた
「はい、いいよ。座って」
簡単な朝食を出すとさっそく食べ始めながら、マークが僕を見た
「…ん?」
MK「ヒョン、元気出た?」
昨夜僕はマークを抱き締めたまま泣いてしまった。図書館で吐いたことも知っている。情けないとは思ったが、マークは笑わなかった
MK「ヒョンは意外と繊細だから」
「意外と?僕はいつだって硝子のハートだよ。マークにセクハラ扱いされて割れちゃう」
MK「懲りずに繰り返すあたり毛が生えてる部類でしょ」
「僕は大丈夫だよ」
マークはしばらく黙って食事を続け、ゆっくりと口を開いた
MK「僕の父さんを殺した奴は法を掻い潜ってて、捕まることもなければ死刑になることもない。だから自分で殺したんだ。ドヨン兄がそれを助けてくれた」
「……」
MK「殺された子のご両親だってきっと殺したいと思ってた。だって時効だ……自分の息子を殺した罪であの雑貨屋は裁かれないし、何より証拠がない。ちょっと頭のいい弁護士なら“当時遺体を発見して面白半分に撮っただけだ”と言って言い逃れ出来る」
法でさばけたとしても、それはおそらく里親の女性を殺害した罪だけだ。嘘の通報で子供達を奪ったことも、おそらくそれ以外にも子供を傷付けているだろうことも、立証するのは難しい。法律なんて善人を縛り付けはしても、悪人を罰してはくれない
MK「誰かが殺さなきゃいけない。法が殺してくれないなら、自分でやるしかない。でも僕はそれが正しいことじゃないってちゃんとわかってる。たぶん父さんはすごく悲しんでるから…」
「マーク…」
MK「だから僕と同じ手段を、あのご両親には取ってほしくなかった。ドヨン兄が儀式をしてくれてよかったよ。それに……僕に見せないように守ってくれてありがと」
マークは優しくていい子だ。きっと殺された父親が大事に愛情を注いで育ててきたのだろう。父子2人で渡韓して、苦労しながらも温かい家庭を築いた。それを奪われたからこそ、マークは“中間”にいる。人に悪意など向けない純粋な優しさを持っていながらも、奪われた憎しみによる殺意を理解してしまう。簡単にはこちら側に引き戻せない
怖いのは彼の純粋さだ。純粋な殺意は止められない
「…バンクーバーだっけ、マークの生まれ故郷」
MK「いや、生まれたのはトロント。その後一度ニューヨークに行って、カナダに戻って来た。渡韓前に住んでたのがバンクーバー」
「連れってってよ、いつか。そこで結婚しよう」
マークがびっくりして固まっている
「ダメ?カナダって確か同性婚合法でしょ」
MK「だっ…ダメ、じゃない」
「子供が欲しかったら養子をとろう。幸せにならなきゃいけない子を2人で探して、2人で幸せにしてあげよう」
MK「…うん」
恥ずかしがって返事はないと思っていたので、素直な返事に驚いた
MK「いいよ。一緒にトロント行こう」
「…ほんとに?」
MK「今すぐじゃないよ。名前ヌナやドヨン兄に僕が必要なくなった時。僕じゃない誰かがニナを守ってくれると確信出来たらね」
きっとだいぶ先だろう。ニナはまだ赤ちゃんだ。それでも頷いてくれたことが嬉しい
「…それならまず同棲から始めようか。いい加減越しておいで」
MK「やだ、ニナのそばにいたい」
「もーシスコン……僕はマークといたいよ」
MK「……体がもたないから嫌だ」
マークが俯いたのを見て、僕は顔を近付けた
「んー?何考えてるの」
MK「別に!!」
「えっち。朝から煽らないでよ」
MK「ドヨン兄に言いつけてやる!!」
「それ確実にマークも恥ずかしいけど、いいの?自爆覚悟?」
身を乗り出してキスしようとするとマークは僕の顔を押しのけ、ばしばしと胸を叩いてから寝室に逃げ込んでいった
今自分がどちら側にいるかなんてどうでもいい。自分が善人でも悪人でも気にしない。どうせ鉛の心臓を持つ王子にも、渡り損ねたツバメにもなれっこない。それでも構わない
神様や天使に認めてもらえなくたって、マークが僕のことを認めてくれている。それだけで僕は十分幸せだ