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[想P♀]冷えてなくても

全体公開 2 1765文字
2018-07-16 18:01:09

「金ダライー、涼を求めて、足浸すー……気持ちいよー?」

お昼寝から起きたら縁側に氷水張った金ダライがあったので(Pさんがスイカとラムネ冷やすつもりで用意しておいたもの)そこで涼んでしまった想楽君のお話です。

Posted by @toasdm

 そんなの冷蔵庫で冷やせばいいでしょー、と文句を垂れる想楽。
 情緒がないです!とむくれるプロデューサー。
 縁側でバチバチと火花を散らしている彼らはいわゆる、痴話げんかの真っ最中だった。

 縁側の金ダライには、大きな氷を浮かべた水が張ってある。昼寝から起き出して、暑さにうだりながらのそのそと縁側にやってきた想楽は、それを見つけて嬉々として、そこに両足を突っ込んだ。
「っっあーーーーーー! 冷たぁい……
 生き返るー、と夏の涼をかみ締めて震える想楽の背後から、ただいまーと家主の帰宅する声がした。おかえりー、と振り向きもせず答えた想楽に、彼女は買い物袋をぶら下げて近付く。
「あ、起きたんですね想楽さ……んっ!?」
「んー?」
「あーーー!」
 何してるんですかー!と叫ぶ彼女の様子に、想楽も慌てて振り返る。え、何、何と彼女の手にした買い物袋を見て、想楽はしまった、と内心冷や汗をかいた。
 ネットに入ったスイカ、手提げにはラムネの瓶。そして想楽は、自分のひんやりとした足元を見る。どうみても、今想楽が足を浸しているタライに入れるために、この炎天下わざわざ彼女が買ってきたものだ。しかも、自分が寝ている間に。しかし足は冷たく、寝起きの体に心地よい。そもそも、一度足を浸してしまったところに、口に入れるものをつっこむのはどうかと思う。想楽の頭が導き出した彼女への切り返しは、情緒のないものとなってしまった。
「金ダライー、涼を求めて、足浸すー……気持ちいよー?」
「それは、スイカとラムネを冷やすために用意したものですっ」
「そんなの冷蔵庫で冷やせばいいでしょー?」
「情緒がないです!」
「冷えたら一緒だよー?」
「一緒じゃない! もぉー……金ダライ洗い直しー……
 どいてください、と凄む彼女を無視して想楽は、タライの中で足をぱしゃぱしゃとばたつかせる。
「さすがに僕の足と一緒に冷やすわけにもいかないしねー」
「わかってるんだったら」
……えいっ」
 ばしゃ、と想楽は徐に足を蹴り上げて、水しぶきを背後の彼女の方へと飛ばす。寝て吐くつばは自分に返るように、背後に蹴り上げた水は自分にもかかる。うわ、と水を被った彼女と想楽は縁側で顔を見合わせて、それからくすくすと笑い始める。
「ふふふ、プロデューサーさんびしょ濡れー」
「そっ、想楽さんだって……ふふっ」
「濡れてブラが透けてるよー」
「嘘っ!?」
 ばっ、と胸元を隠す彼女をけらけらと笑い、想楽は嘘だよーとタライから足を離して立ち上がる。濡れた足もそのままに彼女の手からスイカとラムネを奪うとそれを脇に避けて、彼女を抱きしめて再び縁側に腰掛けて想楽は、タライの中にざぶん、と足を浸させた。
「うわああああああ冷たいっ!」
「っあーーーーーー、はははは、あーー冷たくて、気持ちいいでしょー?」
 彼女を抱えたまま同じように足を浸して、縁側で彼女を背中から抱いたまま想楽はにんまりと笑う。こんな気持ちいいなら仕方ないよー、とタライの中で足をばしゃばしゃとばたつかせながら、想楽はラムネの瓶を手繰り寄せた。シュ、とビー玉を押し込んで、カロン、と鳴る音。夏の音色を聞いて想楽はそれをゴクゴクと飲み干した。
……うぇ、ぬるい」
「だ、だから冷やそうって、思ってたんですよ……
「でもさー」
 ぱしゃ、と冷えた足を彼女の足の甲に乗せて、想楽はぎゅっと彼女を抱きしめる。
「冷え冷えのまま飲んだら、一緒かなぁ、って思わないー?」
「で、でも……
 夏らしく楽しみたいじゃないですか、とぽつりと呟いた彼女の耳元で、想楽は低く呟いた。
「だったら、これも夏でしょー……?」
 ラムネを口に含んで、振り向いた彼女に唇を重ねる。んぅっ!と驚いて目を見開く彼女にゆっくりとラムネを移しながら、想楽はじっとその瞳で覗き込む。炭酸がパチパチと二人の間で弾けて、金ダライの中の氷がガシャと音を立てて溶け崩れていく。

「冷えてても冷えてなくても、これなら一緒でしょー?」

 にま、と笑う想楽に、彼女はひたすら照れながら、頷くより他なかった。冷たくて気持ちいー、と彼女を抱えたまま想楽は、しばし夏を堪能した。
 二人が冷えたスイカにありつけたのは、花火が上がるその日の夜のことだった。


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