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イツビ独身寮 ーとある一日ー

全体公開 1 2568文字
2018-07-17 21:41:04

登場メンバー(※ご応募ありがとうございました!)
ドール(メイト)/ライラ・ミトロヒン(でって)/鈴真砂羽己(九六丸)/浅間桜子(ニャルラトホテプ)
彼岸花絵馬(コマ)/陸道玖夏(あたい)/八十葉凍羽(しらたまこ)/風和景織子(ろこ)/漆原望(桑畑)

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■イツビ組独身寮
イツビ組に所属する人員で独身であるなら誰でも入居が可能な職員寮。
単身用なので広さはそれほどでもないが、設備の割には破格の家賃である。
食堂も併設されているので、料理が苦手でも安心。
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テーブルへ二度ほどぶつけ殻を剥く。ゆで卵の食べ方でも個性はでるものだ。
注文を受けたチャーハンを作りながら、吉江はそんなことを考えていた。

卵を茹でただけの単純な調理法。シンプルな家庭料理の一品。
割る、殻を剥く、調味料をお好みで少々、口元へ運ぶ……ただのそれだけ。

そのはずだが、彼女の「それ」には今まで見たことのない美しさがあった。
まるで指揮者に従い、決まった音色を奏でるオペラ奏者のような優美さ。
ついつい目線を奪われ、手元が疎かになっていた。慌てて鍋を掻き混ぜる。

ドールと呼ばれる彼女が此処、イツビ組独身寮の食堂へ来るのは比較的珍しかった。
寮の食堂といえど、万人が活用するわけではない。普段は自炊をしているのだろうか?

「ああっといけない、いけない。やだわぁ、もう。これだからオバチャンは」
結局、目線だけでなく思考まで奪われてしまっている。一人ごちて作業に戻ろうとする。
が、静寂さすらある優美さとは裏腹の喧騒が、今度は眼でなく耳を引きつけた。



「ん。スズマサ君じっくり見てどうしたの。珍しいかい?」 

「珍しいも何も普通食わねぇっての。絵具喰うって何事だよ」 

「んもぉー、絵馬さんってばぁ」 

「若いってイイヨネー」 

「若さとか関係ねえだろ。というか止めろよライラ」

「えー、ペンギン先輩興味ないんですかぁ~」くすくす

「アンタら俺からかって楽しんでません?」

「桜子ちゃん何飲む?ビール?」

「んー……飲もうかなぁ。やっぱり初めは同じのを味わいたいしね」

「すいませーんビール二つで」

「朝っぱらから酒頼もうとするんじゃねえ!」

勤務体型が少々特殊なイツビ隊では、時間を合わせでもしない限り
中央の四人掛けのテーブル席が埋まるのは珍しい。任務を完了したあとだろうか?
目線をそのまま、騒がしいテーブルへ向けていると隣の二人席の異様な雰囲気に気付く。



……

……

相席ながら互いに一言も発していない。そのうちの一人、八十葉凍羽が此方をギロリとにらむ。

(貴様ぁ……ッ!謀ったな!!)

ああ、なるほど。原因は吉江(わたし)だ。くすくすと笑いがこみ上げる。
定食の付け合わせのサラダに本来、トマトは入っていない。"だからこそ"頼んだのだろう。
こちらは"だからこそ"トマトを入れたのだが。好き嫌いを無くしてほしい老婆心からだ。
まぁ半分は面白がってだけれど。睨まれたことなど、何処吹く風で受け流してやろう。



……

二人の攻防の横、たまらないのは玖夏だった。
…………副隊長、怒ってる……
あちらは青龍。こちらは玄武。管轄こそ異なるものの、組織の間柄上は上司だ。
何か不味いことをしたのだろうか?いや、それこそ話題として切りだしにくい空気である。
食事内容に不満……?いや。寮の食事がバランスよく出来てることは、自分が保証できる。
何より血走った目が明らかに食事時にするものではない。どう考えても何かある。

…………
「(副隊長……一緒にたべたかった、……な)」
既に満席である、隣の4人席に座るもう一人の副隊長。桜子への無言のSOS。

「(あらら。かわいそうに)」
「相変わらず真面目だねー、副隊長。しかし、食堂で説教することもないだろうに」
それを解釈を間違えて、景織子だけが受け取っていた。

「ええと、開いてる席開いてる席……
勤務体型が特殊とはいえ、比較的朝は混みやすい。トレーを持って空席を探す。


\ハァー!キエェー!最高ですかーッ!/

……?」

「ちゅうちゅうたこかいな、ちゅうちゅうたこかいなっと

へばっさばっさと何かを振った後、札束を取り出し、ウシシと枚数を数えている。

「神様、今日も大儲けのチャンスを恵んでいただきありがとうございます☆」

食堂に何故か出来ていた、キンキラキンの悪趣味な神棚。
神棚の真下の席はほぼほぼ漆原望の専用席になっていた。

「あ。ここ座ります?6万でいいですよ」ふっふっふっ

……別の席探そ」




やれやれ。せっかく今日はいいものが見れたと思ったのに。
吉江は少し溜息をつく。所属も、種族も、性別も、嗜好も千差万別の空間。
小さくはあるが、この食堂も並行世界同士の交流を体現したようなものだろう。

騒がしいし、面倒事は起こる。けれど決して悪いものでない。
同じ釜の飯を食った仲とはよく出来た言葉だなと思う。今では、すっかりお気に入りの職場だ。




「あのー……いいかしら?」
「はいはい、注文かい?」

白いワンピースを着た少女が話しかけてくる。これまた、彼女も他世界出身の種族である。
一歩間違えれば滅ぼし合う仲が、今はこうして気軽に声をかけてもらえる。改めて凄いことだ。

「いや。そうじゃなくてね」
「私の頼んだチャーハンまだかなって」

……

手元の鍋へと視線を移す。すっかり真っ黒になった米らしき何かが出来上がっていた。


……
「はい、特製チャーハンおまち」コト
「特性?そういえば、色が黒いわね」
「チャーハンは火力が命!つまりは……火力が高いほど美味しくなる!」
「なるほど?」
「さ。熱いうちに御召し上がれ」
「ええ。どうもありがとう」



よし。無駄にせずに済んだ。
やっぱりこういう時にレプタイルは便利だ。


並行世界交流、サイコー!


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@smokedsalmon108
訂正:風和景織子(九六丸) です!失敬!
2018-07-17 21:47:22

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