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【クロスオーバー】ある街の酒場にて

@tkaruno
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2014-08-07 02:00:11




ジョジョSSでSRホルホース落ちたよ記念(笑)。
私とごく一部のフォロワーさんしか楽しくないGRとジョジョのクロスオーバー。しかも一場面のみw
単にカウンターで並んで飲んでる二人が見たいだけ。



* * * * *



 平日とはいえ夜の十一時を回った程度ではまだまだ街は賑やかだ。ヒィッツはそんなネオンと車のライトが並ぶ街並みを見やり、通りの一角にある店のドアを開けた。
 一般的な大衆居酒屋と呼ぶには洒落た造りの、だが決して気取り過ぎた雰囲気でもないそのバーはそこそこ混み合っている。広すぎないフロアのテーブル席はいくつかのグループと女性二人組で埋まっていたが、二人のバーテンが並ぶカウンター席には一人の男の姿だけだ。ヒィッツはその姿を見止めると、小さく笑ってその席に近づいた。
 あと数歩のところまで近づくと男が顔を上げてニヤリと笑う。どうやらヒィッツが来た事に気づいていたらしい。
「久しぶりだな、ホル・ホース。元気そうじゃないか?」
「アンタもな、ヒィッツ」
 二人は笑顔で握手を交わし、ヒィッツはそのまま男の…ホル・ホースの隣に座った。
「この間会ったのはいつだったかな。三ヶ月前のアメリカだったか?」
「いや、アメリカはその前だろ?三ヶ月前はタイだよ」
 バーテンにギネスをグラスで頼み、ヒィッツは「ああそうだったな」と片眉を上げると、
「ところで時間より早く来ていたとはどういう風の吹き回しだ?今日も待たされると思ったんだがな?」
「おいおい、随分なセリフじゃねぇか。俺がアンタとの約束に遅れた事はほとんど無いだろ?」
 心外だ、とホル・ホースは肩をすくめて見せ、左腕の時計をトントンと叩くと、
「それに俺の時計は毎朝必ず合わせてるんだぜ?俺は時間は守る男なんだ」
 だがヒィッツはホル・ホースの時計を覗き込むと、
「ふん?相変わらずいい趣味だ。だがその時計はなるべく頻繁に調整してもらった方がいいぞ」
そう言ってヒィッツは自分の腕を差し出して時計を見せると、
「お前の時計は一分進んでる。懐古趣味は結構だが、その一分が命取りになるとも限らん」
 ヒィッツの左腕に光る時計は文字盤式だが、その中身は最新型の電波時計だ。ホル・ホースは即座にその時計を差し出された真意を見抜くと、
「……本当に久しぶりじゃねぇか。アンタが俺に『仕事』の依頼だなんて」
「まあな」
 よく冷えたギネスビールを差し出したバーテンに多少色をつけたチップを握らせると、ヒィッツは一口ビールを飲んだ。ホル・ホースも半分ほど減っていた自分のグラスを煽る。
「いつもの『仕事』なら私でも部下でも構わんが、今回は組織が絡んでいる事が悟られると困るんだ」
「なるほどねェ…」
 ―――ヒィッツとホル・ホースはお互いの素性やどういう組織に関わっているのかを知らない。元々二人は全くの偶然で知り合い、お互いの価値観やスタンスを認めて意気投合した“友人”同士だ。交流を深めていくうちにどちらも堅気では無いことを悟ってはいたが、後ろめたいのは自分も同じこと。詮索するつもりは毛頭無かったし、何より、そんな事を気にするのが馬鹿馬鹿しいと思える程度には二人は気が合っていたのだ。
「組織に属するってのも大変だねェ」
「適材適所ってやつさ。私はお前みたいな立ち回りはできそうに無い」
「ハハッ、褒め言葉に受け取っておくぜ」
 ホル・ホースは肩を揺らしてわざとらしく笑った。だがヒィッツはそんなホル・ホースの顔を見て口角を上げると、
「褒めてるし、感心してるさ」
「ありがとうよ」
 お互いどちらともなくグラスを掲げた。すでに酒はぬるくなり始めていたが、今日初めての乾杯だ。
「……で?内容は?」
 ホル・ホースが煙草を取り出し火を点けながら訊ねる。ヒィッツは内ポケットから小さな紙片を取り出すとその前に差し出した。ホル・ホースはそのメモを黙って目で追ったが、
「なかなかにハードな内容だな。時間も場所も制約つきときたか」
 そう言うと、咥えていた煙草で紙片に火を点ける。小さな紙片はすぐに消し炭となって灰皿に消えた。
「お前の腕なら大丈夫だろう?」
「随分と買ってくれるモンだ。こりゃあ相応のモノをもらわないと割に合わねぇぜ」
 そう言って煙草を咥えたままホル・ホースはニヤリと笑った。その表情と目の色に、ヒィッツはやっと普段通りの不敵な、どこか心得たような笑みを浮かべ、
「以前褒めていたクラブの会員権と、『ホテル・テンペスト』のフルコースディナーでどうだ?」
「プラスここの払いって所かな。……あの二人の分も合わせて」
 ホル・ホースが煙草を灰皿に押し付けながら視線を流す。立ち上り流れて消える紫煙の先には、ヒィッツが店に入って目にした二人組の女性達が二人の様子を伺っている。
「……オーケー。ただしお前さんがうまくエスコートできたらな」
 繰り返すが二人ともお互いの素性は知らない。だが、お互いの趣味や嗜好は…特に女性に対する考え方や接し方は良く知っていたし、理解していた。もちろんその手管も、成功率も。
 ヒィッツとホル・ホースは顔を見合わせ視線だけで笑った。
「報酬の手付けってところか。悪くないねぇ」
「まあ今日のところは焦らず楽しもうか?」
「いーい提案だ」
 ホル・ホースはバーテンに向かって手を上げると、口当たりの良い白ワインのボトルを一本受け取って席を立った。その背中を見つめながらヒィッツは二杯目のギネスに口をつける。
 店はいよいよ賑やかになっており、ホル・ホースが何を言っているのかはもちろん聞こえない。だが、その背の向こうに見え隠れする女性達の顔を見るに、どうやら首尾は上々のようだ。振り向いたホル・ホースがヒィッツを手で呼んだ。
「手付けとしては安かったか?」
 自分も楽しむ事を考えればローリスクハイリターンだな、などと内心笑い、ヒィッツは席を立つ。
 酒場の夜はまだ長い。




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