X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです
Xフォロワー限定公開・リスト限定公開の停止について

[古論P♀]酔っ払いクリス

全体公開 1 1697文字
2018-08-17 12:53:35

「ふふっ、その言い方だと、早く帰ってきてほしい、と言っているように聞こえますね」

飲んで遅くに帰宅した超絶酔っ払いクリスさんってどんな感じなんだろう?というお話です。

Posted by @toasdm

 駅まで迎えに行かなくても大丈夫だろうか、と私は最後まで心配したまま電話を切った。日付が変わって間もなく、やけに賑やかな話し声を背負ったクリスさんから電話があったのは、ほんの十五分くらい前だ。

「遅くなりまして、すみません」
「お疲れ様です、そろそろ帰ってきますか?」
「ふふっ、その言い方だと、早く帰ってきてほしい、と言っているように聞こえますね」
 はい図星。図星です。いつも寝る時に隣にいるクリスさんがいなくて寂しいです。私は素直に、早く会いたいと白状する。電話の向こう、小さく息をのむような音がして、その後は、また喧騒の隙間から、いつものクリスさん。
「そうですか……もうそろそろお開きですから、待っていてください」
 やけに陽気なころんー、の声は、山下さんだろうか。今いきますー、と後ろへ叫んで、クリスさんは早口で、愛してますよ、と囁いてから電話を切った。

 迎えは大丈夫です、と言っていたから、待っていればその内、ちゃんと、帰ってくるのはわかっているけど。結構陽気な雰囲気だったし、そこそこ飲んできたのかな?とぼんやりしていた私の耳に、バタン、ドタッ、とやたらと派手な音が響いてきたのは割とすぐだ。
「えっ、ちょ、クリスさんっ!?」
「あはははははは、あーーーー、ただいま帰りましたぁー!」
 いきなり笑ってる。陽気になるにもほどがある。壁にバタバタとぶつかる音がするから、多分結構、千鳥足だ。慌てて玄関に走った私の目に映ったのは、なんだかとても、すごい、クリスさんだ。
 寿司折を土産縛りにしてぶら下げて、壁にもたれて赤い頬を緩ませて、ただいまぁ、と間延びした声で。
 これぞ、日本の、酔っ払い。
 日本人離れした体格と、同じく日本人離れした整った顔立ちに、典型的な日本の酔っ払いお父さんをそのまま落とし込んだ、なんともいえない奇妙な光景がそこにあった。
「一度、やってみたかったのですよ、これを!」
「こ、これって」
「今帰ったぞぉー、と、土産縛りをぶら下げるこれですっ!」
 お酒臭さを振りまいて全身で泥酔したクリスさんがそこにいた。プロデューサーさん、と私を引き寄せて抱きしめて、耳元にすりすりと頬を寄せながら、クリスさんはいつもと変わらない、ただいまのキスをしてくれる。
「お酒臭い……
「キスもお酒臭いですね、あはははは」
 しっかりしてください、と支えてなんとか部屋へ上げて、ソファまで誘導すると長い足を投げ出して、クリスさんは転がった。こちらへ来てくださいよぉ、と実にクリスさんらしくない物言いで私を呼びつける。これは、これは大変貴重な、古論クリスの生態です!と、心の中でいつものクリスさんが言いそうなことを呟いて苦笑して、私は大人しくクリスさんの隣に腰掛けた。
「あーーー……
「ふふふ、お疲れ様です。結構飲みましたね?」
「飲ーみーまーしー……
 ゆらりと上体を、腹筋だけで起こしてクリスさんは勢いよく私に抱きついてくる。
「たっ!」
「わっ!!」
「あはははははは! あー、あなたは本当に可愛らしい!」
 大好きです、と叫ぶように言い放って、クリスさんはそのまま、情熱的に舌を絡ませて深い口付けを落としてくる。息苦しさに胸を叩いてもなかなか気付いてもらえず、危うくクリスさんで溺れ死にそうになった頃になって、ああ、とようやく、クリスさんは私を解放してくれた。
「は、はぁっ、くっ、クリスさん、あの」
「お酒のおすそ分けですよ……ふふふ」
 酔っ払ったらどうしてくれるんですか、とぼんやりする頭で脊髄反射のように返した私を抱きしめて、クリスさんは間延びした口調を仕舞いこんで囁いた。

「酔いしれて下さいますか? 私に」

 何を言ってるんですか、とドキドキを誤魔化して叫ぼうとして私に、ずしりとクリスさんの全体重が乗せられて、身動きが取れなくなる。離れてください、と押し返そうとして、私は軽く絶望した。
……こ、このまま寝ないでくださいよ!」
 呼べど叫べど起きる気配はゼロ。酔っ払ったクリスさんは、お酒臭い寝息を立てながら私ごと、眠ってしまった。


投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.