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風切 凪 キャラ設定
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風切 凪 プロローグ
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@Coltwing
十七歳の夏、風切凪は死んだ。
凪は小説が好きだ。
凪はよく「まずは死体を転がせ」と言うくらいには小説が好きだ。
その本人が死ぬなんて……笑えない。
正直、考えたこともなかった。
死因は交通事故。
街灯もまばらな田舎道で起こった、不幸な事故。
例え、運転手が酒に溺れていなかったとしても、きっといつか起こったと思う。
だから、これは
『不幸な事故』
……なーんて、そんなのもう聞き飽きちゃった。
*
何回やっても、墓前に手を合わせるのは、不思議な気持ち。
つい数日前まで生きていたのに、凪はもうこの世にいない。
近くて遠いって、こういうことを言うんだろうか。
「凪はいつも笑ってたよね」
凪は好奇心の塊だからね。
凪の世界にあるのは、好きと大好きの二つだけ。
でも、知らないでしょ? 特別な好きもあるんだよ。
「それなのに、同じだけ泣いてた」
凪は感受性が豊かなんだ。それに『乙女の涙は切り札』だからね。
うん、これも口癖だった気がする。
なんだか懐かしいなぁ。涙が出る度に言ってたっけ。
凪はかわいいから、意外と絵になってたと思うんだ。
「走ってる時は結構カッコよかったよ」
当然。
凪はかわいいけど、カッコイイから。
きっと、それはいつまでも変わらない。
だって、この世は惚れた方が負けだからね。
だから、凪はずっと君の理想だよ。
「どうして死んじゃったの」
理不尽な言葉が飛んでいく。
それは凪の胸を貫いて……あぁ、もうダメだ。
死人に口無し。塞いでいたのに、ぽっかりと穴が空いちゃった。
『凪だって生きたかったさ』
漏れ出した言葉が突き刺さる。
胸が痛い。やだなぁ、涙が出てきそうだ。
「約束、一緒に走りたかった」
『ごめん、破っちゃった』
「全国で借りを返すはずだったのに」
『ごめん、勝ち逃げちゃった』
「神さま。ねぇ、私の声、届けてよ」
『届いてるよ』
やっぱりダメだ。
凪の墓前で嵐が生まれる。
大粒の涙は雨、泣き声は雷模様。
あの世とこの世に、交わらない声が響いた。
君の声は届くのに、凪の声は届かない。
*
「じゃあね、また来るから」
『またね、親友』
凪の声は届かない。凪の姿は映らない。
自分の墓にずっと座っていても、
親友の隣で泣いてみても、
もうこの世に風は吹かない。
そう思うと、また泣きそうになる。
凪は泣き虫だから、君がいないとダメなんだ。
あぁ、凪の心の曇天は、いつまでたっても変わらない。
*
白の正装を身に纏う男が立っていた。名をGeorge。荒くれマフィアの鉄砲玉だ。
相対するは青いジャージに身を包んだ女子高校生。
二人はこれから戦うのだ。
新たな生を求めた者同士、壇上へと上がるための零回戦が行われようとしていた。
「君に勝って、宴の主役をいただくよ」
凪は人差し指を向け、勝利を宣言する。
Georgeも負けじと反論。しかし、凪に英語はわからぬ。残念ながら英語かどうかもわからぬ。
「なんて言ってるの?」
『お嬢さんが降参したら、俺が死んでから積み重ねた財産を全部くれるってさ』
「へぇ、粋だね」
『どうする? 降参するかい?』
審判役の幽霊がニヤついたまま語りかける。
凪はそれを見て鼻で笑う。目には目を、嘲笑には嘲笑を。
「風切凪は靡かない」
試合開始。
それと同時にGeorgeは銃を突きつける。
凪はそれを見て驚愕。本物の銃なんて見たことが無いのだ。動かない心臓も反射的に飛び上がる。青のポニーテールがぴょこんと揺れた。
「Fire!! Fire!! Fire!!」
Georgeは早打ちが得意だった。世が世ならキッドにだって負けはしない。彼の口癖だ。
それは事実だった。道が違えば、現代でもオリンピック選手として歴史に名を刻んだだろう。
しかし、それは所詮その程度。現実を受け止めることは叶わない。
「――――《断空疾走》!」
パン! と、言う音と共に、凪の姿が消えた。
否、正確にはGeorgeの視界から消えたのだ。
《断空疾走》は風を切る能力。
風は常に世界を巡る。そして、ありとあらゆる場所で、鍔迫り合いのように勢いが拮抗している。
凪は自身の前方、Georgeとの間にあった風を切った。抵抗が一瞬で消え去ったのだ。
もはや邪魔するものはなにもない。勢いは決壊したダムのように怒涛となって吹き荒ぶ。
「shit!!」
凪を貫くはずだった弾丸は、風に煽られてGeorgeを貫いた。
風の影響を受けるのは、それだけではない。
「ばいばい、かっこいいお兄さん」
風に運ばれた凪による鉄山靠が、Georgeの身体を吹き飛ばした。
*
拝啓
凪の親友様
凪は、死霊の宴会場に来ています。
ここは凄いよ。何が凄いって、ご飯が美味しい。
もうちょっと待っててね。最後の夏には間に合わせてみせるから。
かしこい凪ちゃんより