X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです
Xフォロワー限定公開・リスト限定公開の停止について

[次郎P♀]大人のハロウィン

全体公開 1551文字
2018-10-16 12:41:07

「ほらこの時期はさぁ、大人ってお菓子持ってないと悪戯されちゃうでしょ?」

じろちゃんと大人のハロウィンしちゃうPさんのお話です。

Posted by @toasdm

 終わった、と伸びをする。がちがちに固まった右肩が、真横に伸ばした腕によってわずかにほぐれる。そのまま左腕を真上に伸ばせば、背筋もぼきぼきと音を立てる。
「お、三時?」
 後ろから、台本に目を通していた次郎が声をかけてくる。お疲れ、とかけていた眼鏡を外してローテーブルに置き、ついでに台本も閉じて隣に置き、次郎は立ち上がり、彼女の方へと歩いていく。
「三時……?」
「そ。右腕は横にまっすぐ、左腕は真上だから、こっちから見たら時計の三時」
「あー……
 そういうことか、と納得して、彼女は笑う。三時ならおやつの時間だねぇ、と実際の時計を無視して、次郎はポケットからキャンディをひとつとりだし、きゅっ、と両端を引き指でつまむ。
「はい、おやつ」
「んむっ!?」
 強制的に彼女の口に、甘くて柔らかいミルクキャンディが放り込まれる。母親の味、などとキャッチコピーのついた、懐かしい、甘い味が、彼女の疲れをどこかへと吹き飛ばしていく。
「懐かしい……ふふ、子供の頃よく食べたなぁ……
 コロコロと口の中で転がして、彼女は目を細める。
「ほらこの時期はさぁ、大人ってお菓子持ってないと悪戯されちゃうでしょ?」
「あーーー……そっか、ハロウィン」
「そ」
 だから持ち歩いてんの、と次郎はポケットの中からいくつかのキャンディを取り出して、彼女のデスクに置いた。
「もらっちゃったから、私は悪戯できなくなりましたね……
「えー、プロデューサーちゃんまで悪戯する気だったの?!」
 やめてよー、と情けない声を上げて、次郎はくしゃりと笑った。
「この前なんて高校生軍団がお菓子か悪戯か選べー、って集団で襲い掛かってきたんだからさぁ」
「ふふふ、みんな元気ですもんね」
「無駄にねぇ、ホント。若いってうらやましいねぇ……
 がしがしと後ろ頭をかく次郎を見上げて、次郎の言う、高校生軍団について思いを馳せる。恐らくは、事務所に所属している高校生アイドル達のことだろう。元気のいい彼らが次郎に群がって、お菓子の無心をする光景を思い描いて、彼女はくすくすと笑った。
「どんな悪戯されたんですか?」
「されなかったよぉ? ま、たまたまキャンディ持ってたから命拾いしたんだけどねぇ」
「うーん……見てみたかったですね」
 プロデューサーちゃんそんな事言うー?と後ろから彼女を抱きしめて、次郎はすりすりと彼女に頬をすり寄せる。
「だいたい、高校生にもなってお菓子だなんだってはしゃぎすぎなんだよねぇ」
「大人でも、はしゃぎますよ」
 次郎さんははしゃがないんですか?と水を向けられて、はしゃぐねぇ、と次郎は、彼女を抱きしめたまま考えてみる。お菓子をねだって悪戯を仕掛ける、悪くはないように思えた。
「ね、プロデューサーちゃん」
 耳元で低く囁いて、次郎はにやにやと笑う。
「おじさんにもお菓子ちょうだい? 悪戯されたくなかったらさ」
「っ!?」
 悪戯って、と思わず振り向いた彼女の唇に高さを合わせて、次郎は上からキスを落とした。
「んんっ!?」
…………ッフ」
 柔らかな舌先で彼女の唇を優しく突き、緩んだ唇の隙間から躊躇なく滑り込ませて口中をねぶる。既に体温と唾液とで半分以上溶けかけた彼女の口の中のミルクキャンディを捉えると、次郎はそのまま、舌でくるんと丸めて奪い、ゆっくりと、唇を離した。
「ぁふ」
……お菓子だけもらうつもりだったんだけどねぇ」

 悪戯、しちゃった。

 そのままちゅっと耳を食み、次郎は彼女から離れる。
 次郎さんのえっち!と叫ぶ彼女の頬の赤みにまたへらへらと笑い、次郎は帰宅を促した。やっぱ大人のハロウィンはえっちになっちゃうよねぇ、とからかう次郎を肘で小突いて、彼女は帰り支度を始めた。


投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.