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Ezio's -Memory 4- Assassin's

全体公開 5101文字
2018-10-22 19:23:22

遅筆ゆえ、出し惜しまず多分書き加えいっぱいする。

Posted by @acbh_dmc4

日を遮るカーテンの隙間から一筋の光が漏れ目を覚ます。
隣で安らかな寝息を立てる青年を起こさぬよう、そっとベッドから降りる。
寝乱れた髪を手櫛で軽く整え、鏡台に無造作に置かれたリボンの一つを手に取る。

長い髪を一つに結び、リボンできつく纏める。
アサシンのローブに袖を通し身支度を整えた。

昨日マキャベリからチェーザレの動向に関する情報を聞いた。
裏でボルジアと繋がっているロムルス教団が街を襲撃するという話しだった。
その指揮を執るであろうリーダーを始末する。

眠っている青年を残し、一人敵の元へ赴く前に、青年には今日は一日大人しくしているようにと走り書いたメモを枕元へと残した。

ここで少しでも奴の戦力を削ぎ落す。
そっと部屋を出て、厩へと向かう。
まだ人通りのない通りを馬で駆け、目的地へと急いだ。
コロッセオの近くで馬を繋ぎ、ロムルス教団の現れる場所へと急いだ。

ロムルス教団が隠れ家としている地下へと通じる道に、前夜から見張りを立てておいた弟子達に合図を送る。
メインの入り口を固めていた弟子に近づくと、弟子が静かに頭を垂れた。

「動きはあったか」
「いいえ。時折例の入り口からロムルスの使徒が出入りしていますが、これと言って大きな動きは」

弟子の報告に頷き、いくつか見つけた出入り口を固めるように指示を出す。
俺ともう一人の弟子を先陣に、ロムルス教団のアジトに潜入する。

弟子に合図を送り、アジトの入り口へと滑り込む。
ローマへと来て早々に叩き潰した拠点であったが、また再結成されたロムルスのグループがここを使用しているようだ。
入り組んだカタコンベに松明がともる通路を足音を立てないよう、そして耳をそばだてて慎重に進む。
奥の崩れかかった広間に、無数のロムルス教徒が手に武器を持ち、これからの計画を話し込んでいる。
いつもの奴らの手口である、そこここで暴れまわり、民を脅えさせ虐げる。
しかし今日はその暴れまわる規模がいつもより大きい。
そして弟子達に探らせた中で、今日暴れまわるロムルスの集団は、総指揮を執るリーダー以外、民衆の前でテンプル騎士達が直接討伐する事になっていた。
勿論、下々の使徒達には知らされていない。
彼らはロムルスを心底から信じ、自分たちが救われる事のみ願って動いている。

だが、同情の余地はない。
ロムルスの名の下、それはもう悪逆を尽くしているのだ。

頃合いを見て、配置についた弟子たちに合図を送る。
一斉に油断している使徒に向かって投げナイフを投げつける。
ナイフの雨が降り注ぎ、使徒達の悲鳴を合図に弟子たちが飛び出した。

ロムルスのリーダーが一目散に地上に直結している奥の部屋へと逃げ込んで来る。
俺は見越して既にその部屋へと移動していた。
男が部屋へと飛び込んできた瞬間に、その男に足払いをかけ、倒れこんだところへその男の首筋へアサシンブレードを突き付けた。
恐怖に引き攣った顔を無感情に見下ろし、短く悲鳴を上げる男に詰問する。

「暗号表はどこにある?」

恐怖に顔を白くする男の首にブレードの刃を食い込ませる。

「し、知らないも、持ってない!」

ゆっくりと喉元にブレードを差し込む。

「本当だ!お、俺は口頭で指示を受けたんだ!!俺は字が読めねぇ!あ、あそこにいるほ、他の信徒たちもっ!!頼む!!頼むっ!どうか!!」
「果たしてお前たちが襲おうとした民達が、同じように命乞いをして、お前たちはその者たちを助けたのか確認しようもないな

一気に男の喉元に刃を突き入れる。
せめて苦しまぬよう、絶命させてやる。

背後で騒がしかった叫び声が止んでいた。
絶命した男の瞼を閉じさせ、ゆっくりと立ち上がる。
広間に続く部屋の扉へと体を向けると、ちょうど弟子が部屋へと入ってくるところだった。

「終わったか?」
「はい。一人残らず」

念のため、この地下墓地に新たな手掛かりがないか改めるよう弟子に指示を出し、その場を後にした。


***


テベル塔へと弟子を連れ帰ると、マキャベリと素顔を曝している青年が俺たちを迎えた。
マキャベリが俺の話を汲んで、青年を奥の談話室へと行くように促す。
青年は俺と弟子とを訝しげに見つめながら、促されるように人気のない談話室へと移動した。
その姿を見届けてから、マキャベリが俺に話しかけてきた。

「それで、どうでした?」
「コロッセオの内部にあったロムルスの一団は潰した。これであの付近では悪さも出来ないだろう」
「暗号表は見つかりましたか」
「いいや。アレは末端の者たちだった。持っていなかった」

ボルジアの多少の戦力を削ぐことは出来たが、この程度では何もならない。
口では小さくとも前進していると皆を激励してはいるが、一番急いているのは俺自身だ。
そして俺からの報告を聞いたマキャベリは、あまり当てにはしていなかったという風に頷くと、俺を弟子から離し、奥の執務机の方へと促した。

「ドメニコが寝ている間に抜け出したそうですね。貴方は彼と一緒に行動するのではなかったのですか」
「あの者にはまだ早いと判断したのだ。あれのフォローをしてくれた事には礼を言う」

マキャベリが俺の言葉に訝しげに眉を顰める。

「手ずから彼を育てようと、そうお考えなのですか」
……彼の境遇は俺と同じだ。彼は彼で討つべき仇がいる。完全にこちらに巻き込みたくない」
「ここに居るならそれは難しいと思いますが」
「わかっている。だが彼は暫くここに身を寄せる他ない」

マキャベリは不満そうに頭を振り、ため息を吐くとそっけなく背を向けた。
彼のその態度にはありありと俺への呆れが見て取れた。
協力しなければいけないこの場において、この事において勝手なことをしている自覚はある。

教団の結束が不可欠な、なんとも間の悪い時期にあの青年は出現したものだ。
ただでさえ不和が広がっている今、さらなる揉め事などごめんだった。
咄嗟の事とはいえ、己が招いてしまった問題に頭を抱えそうになる。

しかしここで俺が途方に暮れることは出来ない。
叔父上の居ない今、皆を引っ張っていかねばならないのだ。
特に入ったばかりの教団員に不信感を抱かせることはならない。

弟子たちに今日は好きにするようにと声をかけると、青年の向かった談話室へと向かった。

青年は暖炉の近くのカウチで不貞腐れたように座り、燃え盛る薪を見つめていた。
青年の姿は、先ほどマキャベリと向かい合っていた時と変わらず、フードは取り払われ、
スカーフも着けていなかった。


「ドメニコ!素顔を曝すなと言いつけただろう。スカーフはどうした?」

苛立ち、少々強い口調で青年を問い質す。
青年は一瞬びくりと肩を揺らし、腰のポーチに仕舞っていたスカーフを取りだした。

「外で番兵に見られたら不味いってだけだろ?ここは室内だし、そんなに過敏にならなくても
「それで気を抜いてそのまま飛び出し、皆の足を引っ張るつもりか?ここに居る間は言うことを聞けと言っただろう」
「そ、そんな風に言わなくても良いだろ!」

青年が非難がましく言い返す。
しかし自分がこの青年の時分、テベル塔へと向かう道中番兵に怪しまれ、後を着けられ撒いた覚えがあった。
その事を青年も思い出したのだろう、ばつが悪そうにスカーフを着けた。

……朝、俺が起きる前に任務に行ってきたのか?」

気まずい空気を打破するためか、青年がポツリと聞く。
チラリと青年を見やれば、弟子たちに視線をやって物言いたそうにしている。
「ああ」と肯定すると、青年が眉を顰めて不満そうに口を開いた。

「なんで置いていったんだ。俺だって手伝いたかった」
「ここにきて日が浅い。今のお前に任せられる仕事はない」

ぴしゃりと言い捨てれば、青年は勢い込んでこちらを睨みつけた。
俺はその青年の態度に無性に腹が立った。
この青年が何を考え、俺を睨みつけているか、過去の忌まわしい記憶が次々と蘇ってきていた。

青年はこの期に及んでこの世界は自分の夢の中か何かで、どんな行動をしようと精算できるものと思い込んでいる。
確かに御伽噺のような、この現実離れした状況を受け入れ難いのは良く分かる。
俺だってこの青年がここに来るまで信じていなかった。
だが、だからと言って安易な行動をとられ、俺の計画を壊されるようなことがあっては堪らない。
出来たら青年には何もせず、帰れる時が来るまで息を潜めて貰いたい。
だが、無駄に過ごす事も出来ない。
そもそも青年とてじっとしてはいられないのだ。

「お前の行動は、俺の把握するところに置く。それまではテベル塔で指示を待て。
お前を登用できそうな仕事があれば声をかける。アサシンとして、指導もしよう」
「あの、他のアサシンと一緒に?」

青年を見やれば、期待するように弟子たちに視線をやっていた。
実際には皆に見守られていた訳だが、俺はずっと単独で任務をこなし、仲間と呼べる存在に憧れを持っていた。
モンテリジョーニに身を寄せていた時も、ヴェネツィアで盗賊団に加わっていても、どこか皆と一線を引き、孤独に一人で戦っていると思っていた。
“アサシン”という肩書は、俺一人だと思っていたのだ。
だがここには、俺が集めた同じ“アサシン”達が居る。それも自分と同じく、見習い達だ。
初めて見るアサシン仲間に、興味を惹かれないわけがない。だが、青年の心を知ってなお彼らに関わらせるわけにはいかないのだ。

「お前はあの者達には関わるな」
「何故?」
「どんな影響が起こるかわからん。そもそもお前はここに居てはいけない人間なのだ」
「居たくて居る訳じゃない!アンタが無理やり俺をここに連れて来たんだろう!ただでさえ訳も分からない状況で混乱しているのに、黙って聞いていればなんだ!
そんなに俺に関わってほしくなけりゃ今すぐ家族の元に帰せ!!」

青年が激高して怒鳴り声を上げる。
隣の部屋にいる弟子たちが気にしてこちらを見るのを感じ、散るように合図を送る。
そして同時に青年の腕を強く掴んで無理矢理上階にある就寝部屋へと引っ張っていこうとした。
青年が激しく腕を振り払おうとし、思いつく限りの暴言を口にして足を突っぱねる為中々進むことが出来ない。
それでも何とか寝室へと引きずり込むと、扉に鍵をかけてから再度青年へと向き合った。

お前の気持ちが分からないわけではないが、俺自身もお前にまで構ってやれる余裕がない」
「自分で種を蒔いておきながら随分じゃないか!俺はアンタの言葉を信じたわけじゃない。本当は俺を連れ出してテンプル騎士団の手引きをしたんだろう!
全部、全部アンタのせいでなくなったんだ!!」
「黙れ!貴様に何が分かる!」

瞬間頭が沸騰して力の限り扉を拳で叩きつける。
その大きな音と俺の睨みに青年はビクリと肩を揺らしたが、より頑なになって俺を睨みつけた。
怒りで腹が煮えくり返り、うまく思考が働かない。
とにかく目の前の愚かな餓鬼を黙らせ言う事を聞かせなければと、攻撃的な思考に塗りつぶされる。

「本当に閉じ込められなければ理解しないか?」

じり、と青年に近づく。
俺の剣幕に恐れを抱いた青年が、俺が一歩近づくと一歩後ろへと下がり、壁際まで後退し、退路を無くした瞬間に青年の首を、そして毒の仕込まれたアサシンブレードを装着している右腕を掴み上げた。
首を絞められ、青年が必死に俺の腕を放させようと手に爪を立て抵抗する。
足癖の悪い青年の股の間に片膝を割り込ませて体を密着させた。

「他愛のない、この程度の拘束すらも抜けられぬ癖に。何の役に立つ?それともテンプル騎士団に味方し、アサシン教団を壊滅させるのが望みか?」
「は、なせっ!!」
「動けぬようこの両足を折ってやろうか?」

青年の足を払い、近くにあるベッドへと仰向けに押し付け、上から圧し掛かる。
青年は息を飲んで俺を恐れの目で見上げた。

「ご、ごめなさっ!」
「二度と俺にふざけた口をきくな。暫くお前の顔は見たくない。見張りを立たせる。この部屋で謹慎していろ」

突き放す様に青年の首から手を放し、ささくれ立った心のままに扉を閉めると、弟子が居ないか探した。
調度何の指令も出していない弟子が、市中の見回りから帰って来ていた。
その者に上階で不貞腐れている青年を見張るよう言いつけ、俺は一人テベル塔を後にした。


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