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作品№15 「吾輩の夢」

全体公開 1037文字
2018-10-24 00:02:01

新しい夢は小さな夢?幸せな夢?

Posted by @myon34

 吾輩には夢がある、無限の空を飛び回ると。
 吾輩には夢がある、広大な海へ旅に出ると。
 吾輩には――――

 ふと目を開けると見慣れた庭が目に入ってきた。
 どうやら知らないうちに縁側で寝てしまっていたらしい。
 歳のせいか、少し暖かくなるとすぐに眠ってしまう。

「ひぃちゃんや、お水飲むかい?」
 寝惚け眼で部屋に目をやると、婆さんがお水を持ってきてくれた。
 婆さんは昔より動きがゆっくりになったが、今でも家の事は自分でやりたがる。
 息子夫婦が孫を連れて来たときもご飯の用意をしようとする、とても元気な婆さんだ。

 しばらく前になるが、婆さんは1人で子どもを育てていた。そんな中、吾輩がこの家に来た。
 忙しい婆さんの代わりに子どもと遊び、喧嘩をしたら慰め、寝食を共にした。
 みんなが家族のように吾輩と接してくれた。

 子どもが成人して居なくなってからは、婆さんと普通の生活を送っていた。
 朝起きて、ご飯を食べ、お昼寝をする・・・目が悪くなっていた吾輩はあまり動かず、景色も変わらない日々を過ごすだけ。

 「ひぃちゃん、病院はどうだったの?」
 とても優しい声で婆さんが話しかけてくる。
 何を隠そう吾輩は大の病院嫌いだ、昔は抵抗の意志を見せ、絶対に動こうとしなかった。
 今?今は・・・息子夫婦のなすがままにされている。年齢もそうだが、思うように身体が動かない。
 昔は嫌いだった注射も、今は壁を見つめていたら気づいたら終わるようになってしまった。

「ひぃちゃんが元気でいてくれると、私も頑張れる気がするのよ?」
 優しい声のまま婆さんが呟いた、吾輩は振り向かない。
 頷いてしまうとどこか消えてしまいそうに感じたからだ。

「ひぃちゃんが居てくれたからここまで頑張ってこれたよ、ありがとう」
 婆さんの言葉にビクッとした、まるでお別れの言葉のように感じた。

 待て、吾輩は何もしていない。何もしてやれていない。
 吾輩の思うまま、ただ自由に暮らしているだけだ。
 なにか恩返しをしたい・・・しかし、吾輩の身体はもう動けそうにない。

 若い頃は何にもとらわれず、ただただ自由が欲しかった。
 そして知らない世界へと旅立つ、そんな夢を持っていた。
 今の夢は違う、若い自分に鼻で笑われるかもしれないが、もっともっと素朴なもの。

 吾輩には夢がある、また婆さんに会うと。
 吾輩には夢がある、次は吾輩が世話をすると。
 吾輩には夢が――――


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