@mugenwars
「いっ、たああああああい!!!」
少女は大声で叫んで飛び起きて、
隣で気怠そうにのろのろと起き上がった少年に顔を向ける。
「アタシ何回死んだ?!」
「知るかよ。あー、しんどい、気持ち悪い、だからこいつと組むの嫌だったんだ」
少年はがしがしと前髪の長い頭を掻きむしり悪態をつく。
「そう邪険にするものではないですよ」
そんな二人に声をかける青年が一人。
二人はそろって顔を上げて青年を見た。
「どーだった?でーた取れた?」
「ええ、貴重な資料になります。協力感謝しますよ」
「そりゃよかった。で?わざわざ死にに行ってまで手に入れた情報の期待値は?」
青年は一冊のファイルに目を落とす。
「"予想通り"でしょうかね。勇者も魔王も」
少女は寝台から足を投げ出してぶらぶらと揺らしながら口をとがらせる。
「なーんだ、じゃあもう計画始めちゃう?」
「それはまだ早いですよ。我ら三人で得られる情報などたかが知れています。今回戦った勇者や魔王が、次回までに力をつけないとも限らない。今回戦ってない勇者や魔王だって未知数です」
パタンとファイルを閉じられる。
「では、私は報告に。二人はゆっくり休んでいてください」
そういって青年はくるりと踵を返した。
「次はもっと頭いいやつ連れて行こうぜ……もうこいつのお守りはごめんだ」
「おなかへった!ねえ十五!おなかへったよぉ!」
「うるさいな近寄んなアサルト女、おい三番!部屋変えてくれよー!」
二人が喚こうと、涼しい顔で青年は片手をひらりと振って部屋を立ち去る。
しばらくは廊下まで声が響いていたが、
長い長い廊下はいつしか青年の足音しか反響させなくなっていた。
青年は歩きながら再びファイルを開く。
これは終演から来た者たちが、
演目中のキャストに"混じって来た"記録。
「すべては万全の状態で最期を演出するために。我らが神が望むがままに」
青年はそう呟いて、
ファイルを閉じた。
【終演より来る者】 第1章 終幕