盗賊王の愛人のその後

@Delusion_E
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2018-11-22 20:01:13

古代に生きる盗賊王バクラの愛人夢主、その後。
たぶん最初で最後の夫婦+子供妄想。
※不穏です。










↑の時系列のその後妄想です

♢ ♢ ♢

盗賊王のことが大好きな夢主は、彼が自分の元に会いに来てくれるのをいつも心待ちにしていた。
しかし彼は盗賊、そして復讐という血塗られた道を歩んでいるため
夢主がどれほど彼に寄り添っても、彼にとって夢主は、人生における一時的な『休憩所』にすぎないわけで……

そしてある晩を境に、彼は全く夢主の元へ姿を現さなくなってしまう。
彼が去り際に残した「しばらく会えない」という言葉は、決して別れの言葉ではなく
「だから待ってろ、」という意味だったはずだ。

しかし彼は一向に夢主の元に帰って来ない……
噂では、王宮に戦争を仕掛けた彼はお尋ね者になり、その後ファラオによって倒されたとか何とか……

しかし夢主は信じなかった。
夢主はいつまでも、彼が帰って来るのを待ち続けて、そして……


ある日。
疲れからつい昼寝をしてしまった夢主の頭を、優しく撫でる者があった。

その人は、他でもない盗賊王バクラその人で……
驚いて飛び起きる夢主、それから彼に抱きついて嬉し涙をこぼす。

やった、やった、彼はちゃんと約束通り帰って来てくれた……!
夢主が彼にギュッと抱きつけば、彼も前と変わらない力強い腕で夢主を抱き返してくれた!

今までどうしてたのとか、理由なんてどうでもいい。
彼には夢主の知らない彼なりの事情があって、それでもちゃんと夢主の元へ帰ってきてくれたのだから!
それだけで十分だ……!

夢主は喉の奥から絞り出すように、ずっと言いたかったけど言えなかった言葉を吐き出す。

「もうどこにも行かないで、そばに居て……、
お願い、どこかへ行くなら今度は私も連れて行って、お願い……!」

それは勝手な言い分だと分かっていたけど、しかし溢れ出る激情は止められなかった。
大好き、大好き、大好き……!

バクラは、フフと少しだけ笑って夢主の耳元で囁く。

「もう何処にも行かねぇよ」


そして…………


数年後。
夢主は盗賊王と一緒に暮らしていた。

もう前のように、いつ会いに来てくれるのかと気を揉むこともない。
彼の『帰る場所』は、ここなのだから……

彼は外見も性格も口調も以前とほとんど変わらなかったが、それでも増えた家族にはそれなりに優しく接してくれている。

増えた家族……そう、数年前にはまだ生まれていなかった子供たち。

お互い元は日陰の身。
けれど、こうして拙いながらも家庭を築いている。
それはとても幸せで……

こんなに幸せでいいのかな、と微笑む夢主。
大好きな人と、大好きな人の子供たちに囲まれて毎日を楽しく生きていける……なんて幸せなんだろう。

ああ、幸せだなぁ……、
あはは、なんか幸せすぎてつい顔が綻んじゃう、あはは、……

あ、子供たちが手を振ってる。
ご飯だからそろそろ帰っておいでー!
下の子は歩き疲れちゃったのかな、あの人に抱っこされてていいなぁ~

ふふふ、あはは、えへへ……
いいなぁ……とても暖かい、幸せだなぁ……

こんな日々がずっと続きますように……

あはは、あはははは………………

うふふ……

…………

……





「……もう何日だ? あいつが寝込んでから」

「熱が全く下がらないんだよ…………
悲しいけれど、このままじゃ……」

「もう駄目かもわからんな」

「全く馬鹿な子だよ……!
帰って来ない男をずっと待ち続けて、それで病に倒れちまうんだから」

「きっと帰って来るからって、頑なに信じ続けてな……
あの男はファラオの手勢とやり合って死んだらしいじゃないか。
憐れな奴だよ……、あの子も『奴』も」

「でもあの子、高熱にうなされてるのに、何故か笑ってるんだよ……
まるで、とても幸せな夢を見ているように」

「幸せな夢……か。
穏やかに逝けるだけでも、まだマシかもしれないな」



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