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[硲P♀]愛の言葉の暴力

全体公開 2 789文字
2018-12-20 08:29:34

「君が好きだ」

いやほんとあの、勢いだけですでもあまあまです。

Posted by @toasdm

「君が好きだ」
 タイミングがうまく掴めない。
「君を愛している」
 プレイリストはとうの昔に最後の曲を流し終えてしまっているし、リピート再生しているわけじゃないから、その――イヤホンしてるし、さっきまでは確かに、爆音で流してたけど。音漏れしちゃってたと、思うけど……
「君は可愛い」

 ぜっ、全部、聞こえちゃってるんです……っ!!

 と、道夫さんに言うタイミングが掴めない。
 聞こえてないと思っているであろう道夫さんが、さっきからこちらを一切見ないで呟いている愛の言葉の暴力は、その、そろそろ限界だ。耐え切れない、と真っ赤になった私がとうとう身動きすらできなくなっていると、視界の隅で、隣に座った道夫さんの肩がぷるぷると揺れ始める。
「え……?」
 こらえきれない、と破顔した道夫さんの指が私の耳に伸びてきて、する、とイヤホンが取り外される。
「いつまで聞こえないふりをしている」
「な、うっ……え、あ、いやほんとあの」
 道夫さんはこっちを見て、涙目になって爆笑している。純粋にからかわれているだけだってわかってしまうと、あとはもう恥ずかしさしかない。
「最初から最後まで聞いていたんだろう」
「うぅ……おっしゃるとおりです」
 爆音で流していても、道夫さんが私にずっと愛の言葉を囁いてくれていたのは、本当に、全部聞こえていた。曲を流し終わったあとは、よりはっきりと、聞こえてしまっていたけれど。
 ぷしゅーと音を立てて私の頭と顔から出た湯気で、道夫さんのワイシャツにアイロンをかけられるのでは?と思うくらいには、今、顔が熱い。
「聞かせてもらおう」
「え?」
 何をですか、と顔を上げた私の耳元で、道夫さんが妖しく囁く。

「私の愛のささやきに対する君の返事を、聞かせてもらいたい」

 イヤホンもプレイヤーもどこにもないのに、それは随分と、ダイレクトに聞こえた。


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