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問いかけ

全体公開 1179文字
2018-12-24 09:24:38
Posted by @takonsm

茜色の空は黒に沈み木の葉は薄暗く変貌した時の中で、1人の少女は病院のベッドの上で一点の光明を見出していた。
「素体として自身を提供し改造を行い人造人間となることで、ランデル機構の水面下で進めている計画に参加できる」
衰弱し失明し、病院のベッドの上が人生の全てである少女にとって、ランデル機構の一職員からのこの申し出は非常に喜ばしいものであった。
「ランデルが自身の難病を治療し、私を再び健康的に生活させてくれる。だからランデルの仕事のお手伝いは恩返しである」
自身の現状が変わればそれで良いとしか思っていない少女には改造が絶対条件であるランデル機構の計画の重みを理解していなかった。
だからこそこのような楽観的な解釈しか行うことができずにいるのである。
この申し出の解答は一ヶ月後であり、ランデルの一職員の言い分は親族と良く話し合って決めて欲しい。とのことであったが
少女の本心としてみれば、今は何よりも自身が治ることが重要なので、即決でランデル機構の手伝いをしたかった。

夜が更けると、病棟の電気は全て消灯している。少女にとっては普段と変わらない光景である。
そんな少女にとって不可解なことが起きた。足音がする。その足音は自分のいるこの病室へ向かっている。
「看護師?それともランデル?ランデルだったらいいな」 少女は何も警戒していなかった。
ついにはその足音は自身のいる病室に侵入した。そしてその足音の主はたった一言の問いを投げかけた。
「君は、もう一度光を見たいか?」
少女は理解した。この人はこの人はランデルの職員だと。もっとも声は違うことから別人ではあることに疑いはない。
でも、きっと他の職員が来た。きっとそういうことだろう。ただ、どうしてこの人はこんなにも震えた声で、苦しそうな声で、私に問いかけるんだろう。
……私は、光を見たい」 少女は自身の思いを全てたった一言に込め、口にした。
銃声は響く。少女は命を失った。
銃声の主は少女を運び込み、車へ乗せ、森の中へ遺体を埋め込んだ。

森は一切の少女の心の苦しみを取り払うことができた。
少女の殺された恨みからか、それとももう一度光を見たかった心からか、少女は森の中で息を吹き返した。
自身の見ていた暗かった世界に光は宿り、手足は動き、立つことだってできる。一切の不自由はない。

時は流れ、少女はある診断を受けていた。この問いかけが少女の居場所を内定させる。
「みんなといっしょに あそびたい そのきもちは  ジェネラスカップ!」
……えっ。ほ、本当!?ねえ、僕、皆と一緒にいていいの?1人でいなくたっていいの?一緒に皆と同じものを見ていいの!」
「うん! さあ、きみの みたいせかい みて おいで」

後に星の王子様と呼ばれる1人の人は生きていても叶わない夢が、死んで初めて叶ったのだ。


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