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「かみさま」の回想

全体公開 1 3326文字
2018-12-31 11:43:37

忘れてはいないさ、だって無意識にいるんだからね

「誰?」
そう言われたのは初めてだった。いつも呼称されるのに。強い不安感。と、ちょっとの興味。えっと、と材料をかき集める。
「僕が見えるの?」
「うん」
少年はその瞳に僕を本当に移しているらしい。たまにあるけど久しぶりにきたなぁ。しかも誰にもなってないときた。ええ?マジ?変わってないの?よくわかんない生物に見えるわけだ。人間ぽいけどええと、哲学、そうかそんなものを想像してるから僕がこう見えるのか。
「そうか……えっと、たぶん、てつがくじん、なんじゃ、ないかなあ?」
我ながら間抜けな返答をしたと思ったが、彼はそれを聞いて少し驚いて焦った。
「じゃあ、」
いろんな感情が通り過ぎた。そんなに考えなくても。
「大丈夫、僕は君以外には見えないよ。物も、ほら、触れない。」
そっと傍にある粗雑で壊れかけの食器に触れ、すぐにすり抜ける。まあ、分かってはいたけど、やっぱり環境が悪いなあ。はあ。
そして、この不信感。そんなにわざとらしいかな、自然なんだけど。
「じゃあ、僕のことさわってみなよ」
そういうと、少年はゆっくりと空に手を伸ばし、僕のほうへ。
緊張感と不安感。
でも、ほら、やっぱり、すりぬけた。
君はやっぱり驚いた。でもさ、君こういうのあんまり知らないし、信じてもいないだから触れないだけだよ。たまに触れる人もいるんだ。
「どうして」
どうしてこんなこときいても大丈夫かっておいおい。
「んな、僕は質問いっぱいの子は好きだぞ???」
……え」
「そうだ。だって、考えるから哲学ができるんだよ。質問いっぱいってことは、考えてるからだろ?」
……なんで」対等に話すのか?まあそうだなあうーん分かるけどどう答えればいいのか
「えーっと、だって、ダメー???」
……
困ってるなあ。まあ、こんな奴初めてだからなあ。ほらほら友よ。心配しないで。
「大丈夫だって大人に見えないんだからさ。例えば俺がそこのお姉さんの前でピースピースしたって、きがつかないんだよ???……ほら、どーせなら埴輪ダンスでも踊ってこようか。ほれほれほれほれ」
テキトーに踊ると少年の目にちょっと光が戻った。続けると柔らかさが広がった。やはり子供は、子供だ。
そしたら、ついに笑いが抑えられなくなったみたいで。
……クスッ」
その瞬間、女の人の目がこちらを向いたのが分かった。少年が口を覆う。
一瞬和やかになりかけていた空気が急激に冷える。冷たい氷が周りを走る。ああ。せっかく打ち遂げられると思ったのにー。
……おっと。……口に出すとばれちゃうかな。」
下を向いてしまった。うーん。難しいなあ。僕は大丈夫なのに。じゃあ、どうせならばらすか。
「実はなんだけどさ、僕は君と声を出さなくてもはなせるよ」 
びっくりした少年はまた顔を上げる。『ほんとに?』
「そうさあ。なんてったって君の一番の友達だからね。」
びっくりしてる。あはは。君ったら面白いね?僕の概念知ってそうなのにさ。そしたらなんか思い直してこんなこと言い出すし。
『てつがくじんだからじゃなくて?』
「あはは、あたまいいなあ。そうともいうよ」
『てつがくじん、で、ともだち』
「そうだよ。そういうのもたまにはいいんじゃないかなあ?」
……わかんない』
友達って言葉に感情がないね。知識だけか。珍しいなぁ。こんなこともあるなんて人間は不思議に満ちてるなぁ。
「そうだねえ。初対面だしねえ。じゃあ、場所を変えようか。」
帰ってくるものは失意、やら、いろいろ。ははは、現実的な見方だなあ。刷り込まれてきてるというか、押されてきているというか。
……。無理だよ』
子供にこんなこと言わせるなんて、ひどいなぁ。あはははは。でもね、
「ちがうんだよ、僕は現実には干渉できない。でも、場所ってのはこの部屋とか、その建物とか、その先にある空間以外にも、言えるだろ?行くぞ、冒険だ!」
地面の下につなげる形で円型にウサギの穴を作る。僕らはさも当然かのようにその穴の重力に引っ張られ落ちる。ほら、現実のつまらない社会の女性像から逃げた少女がその庭に作りあげたユートピア。絵本なんか読めない君でも君の中から君だけのお話を作ればいい。それだけだし、僕はストーリーテラーにならなれるよ。ははは、少年。もぐって、もぐって、もぐっていけば君は誰にも見つからない!
「ずいぶん驚いてるようだね。落ちるのは嫌い?」
少年はそこらへんにあるブロックの残骸もどきとか本もどきとか掴もうとする。けどまぁもてないんだなぁ決めつけてるから。どんどん落ちるぞー!
「これは、ゆ、ゆめ、だよ、ね?」
焦りと混乱となんか!
「そうじゃない???」
「なんでそんなびみょうなの?」
「えー?なんでも曖昧なものなんじゃないかなぁ。」
って思ってたらもう落ち着いてきてる。すごいな。大人じゃん。大人じゃないけど。
「あいまい?」
「そう、曖昧。」
「みんなこたえをもって、もとめているのに?」
「曖昧だから、答えがあるんだし、曖昧だから答えを求めてるんだよ」
「あいまい……
世界が歪んでく。いい歪みだと思うからほっとくけどね。人間。悩むのは大事だし、これはコアを作るのに必要な新聞紙を丸める作業だ。内臓を作るガッツのいる作業。あははは。周りの世界との境目が溶けていくのが見えるなー。曖昧になってくなー。曖昧、曖昧だ。君自身だけが残る。ははは。あれ?でも一向に何も来ないなぁ。僕の事は認識してると取ってるみたいだ。
「僕と君が残ったね?」
「うん。だって、いるから。」
「そうかな?」
「わかんないけど、いいんだ。」
「ふぅん。」
「だってあいまいなんでしょ?」
「そうだね」
「いまだって、ぼくじしんとはなしてるみたい。」
「そのとおりだし、そうじゃないかもねぇ」
実際僕はその点曖昧なんだけどね。ところで読者の皆様、どちらがどちらだかお分かりでしょうか。あはははは!
「でも、ぼくはいるよ。」
「そうだね。ぼくはいる。それはわかるね。」
「だって、こうやってはなしてるときに、かんがえてるから」
「ははは!そうだなぁ。かんがえてるなぁ。」
「うん。」
「じゃあ、それがきみだね?」
「そう、だとおもえばそうだよ。」
「あはははは!」
僕は元どおりに彼と別れる。あいまいだった世界は別のところに流されてしまったので、うさぎの穴は使えないのだけどね。でもね、大丈夫だ。
「大丈夫、必要なのは、意思と存在だ。それだけなんだよ。だから、それだけは必ず守り抜くんだよ少年。何があっても揺らがない君自身だ。」
「いし、と、そんざい。」
「考えることと、そこにいることだ。でもわかるからこの単語が出てくるんだしね。」
「うん。しってるよ。」
「ははは!賢いなぁ少年。そら、飴ちゃんのおまけだ。」
僕は彼の思い出から、っていってもあんまないけど、飴ちゃんを引っ張り出すと、彼の手にぽん、と置いた。もう手品には驚いてないが、彼はそれを見て元にあった位置を思い出したらしい。
「あっ!これ、あれとおんなじだ」
「おっと、バレちゃった。」
「じゃあ、ぜったいおいしい。」
「食べてから起きなよ?」
「うん!ありがとう」
……ああ。僕の名前どうしようか。君の名前は?」
「ソフィア」
「じゃー僕はソフィーって呼ぼう。友達だしいいだろ?」
……うん!」
「えーと、僕は……

離れた。
海に流された、とも言う。
無意識の海だ。流れが早かったのか。
あーあ。はじめに全てが水って言い出したのは哲学者だっけな。あはは。だから海なのかも。みんなそう考えるから。ってことは、僕も結局こうしてても哲学人からは抜けないってわけだ。哲学。哲学かぁ。僕を僕たらしめてくれるらしい、僕の概念を見るものたち。そんなのもあるよね。
僕も有から存在するわけだ。
あはは、なにこれ、おっかしーの。周りから見たらなんもないのにね?
でも
あるとしてくれるってのは嬉しいもんだなぁ。
へぇ。個人的無意識が影響を与えあうのはこういうわけなんだなぁ。
ははは。
ステキな感情じゃないか。


「また会いたいなぁ。」


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