@kengaku25
………
……
…
目が開く。
また暗闇。
もう一度目を閉じる。
ゆっくりと意識が落ちていく。
………
……
…
目が開く。
また暗闇。
もう一度目を閉じる。
意識が落ちない、異常が起きている?
『っだぁ!どこが放棄されて安全な研究所だ!
無人とはいえセキュリティ生きてるとかぶっ殺すぞヘボ情報屋め…!』
暫く待機していたら、誰かが激しい音と共に入ってきた。
だれ?
『とりあえずここが一番奥っぽいがお宝は…あん?
おーおー、誰だか知らんが趣味の悪いことしてやがるぜ、生きてんのかこりゃ?』
だれ?
『反応はしてやがんのか、ってこたぁアレはコイツを外に出さないためのもんってことか?
…ああ、いいから寝てな。後で出してやるからよ』
…うん。
もう一度目を閉じる。
ゆっくりと意識が落ちていく。
………
……
…
「おう、目が醒めたか?」
声をかけられて目を覚ます。
だれ?
…揺れている、車両の中だろうか?
「お?俺か?俺はまぁ、なんだ、今からお前さんの父親みたいなものになる男だ」
父親……?
「で?…おいおい、不思議そうな顔すんなよ、俺の事は分かった、なら次はお前の番だろ?名前は?」
名前……ない。
「かーっ!マジかおい!神様は俺に名前をつけろってのか!」
車が停まる。
鏡越しではなく、髭を生やした顔が私の顔を見る。
「ドール…はさすがにまずいか、色々とな。
じゃぁ…テオだ、テオドール。テオドール・コルネイユ、いい名前だろ!」
テオドール。
「おう!そうだぜ我が息子?手前にはこれから色々と学んで貰うんだ、名前はその最初の一歩!
次はそうだな…メシの美味さでも教えてやるか!はっはー!」
上機嫌そうに口角を上げながら、再び車両のアクセルが踏まれる。
テオドール。それが私の名前。
………
……
…
「やれやれ、人手が増えたからずいぶん送る物も増えちまったぜ。そっちはどうだ?」
目を開ける、どうやら少しうとうとしてたみたいだ。
「うん、大丈夫。荷造りは終わってる」
答えながら仮宿にあった机の方へと二人で移動する。
明日は空港までいってそれで日本、最後はマビノギオンへと向かう事になってる。
パスポートは…そういえば戸籍とかってどうしたんだろ…気にしない方がいいやつかな。
「よしよし、んじゃ入学式は先だがマビノギでの注意事項って奴を教えてやろうかねぇ」
「? すごい学校だとは聞いたけど、そんなに?」
おうとも、いいか?という言葉と共に改めて聞くのは、
魔法事件に幾つか関与した僕でも荒唐無稽だと思うような話し。
日常から何まで騒がしい世界。
「ってなわけで頼るならまずルチルだ、アイツなら悪いようにはしないだろ。
次点では赤か?今の寮監は知らんがどうせ赤杖だしな」
「…後2つは?ええと、青と緑?」
「おう、青はやめとけ、基本的には問題ねーが偶にすごい大事になりやがる。
緑は……まぁ、なんだ、色々あるんだ、色々な」
「分かった。黄杯のルチルと、赤杖の寮監だね、覚えておく」
あの父さんが同情するレベルって一体…
父さんは泥みたいなコーヒーを口にして暫く沈黙が続く。
「…ああ、約束3つ、覚えてるな?」
「え?覚えて…うん、大丈夫。覚えてる」
「よーしよし、なら完璧だ、明日に備えてさっさと寝ちまいな!」
「ん、いい夢を」
手をひらひらとさせる姿を後ろにベッドルームへと向かって。
……
………
『…おう、ルチルか?』
『なに、大したことじゃねーが明日の荷物についてな。俺の息子がいるから…』
『おいバカやめろ、そもそも結婚してないし慌てて結婚祝いを見繕うとすんじゃねぇ!』
『ったく変わんねー奴め…。おう、本題なんだが』
『もしそっちの寮に入るようなら面倒みてやってくれねーか?ああ、別に他の寮生と同じ扱いでいいからよ』
『言われるまでもないってか?はっはー!頼もしいねぇ!』
『ん?もし違う寮に入ったらって?おいおい』
『血がつながってなくても俺の息子だぜ?十中八九はジェネラスに決まってんだろ!』