.

ads by microad

【学生戦争】梅雨+菊花@戦場【交流】

明咲千寿
Publish to anyone
2014-09-15 22:47:43

時系列等不明な戦時中の話。

【お借りしました/菊花ちゃん】



【梅雨(妹の方)】
http://privatter.net/p/418242

【追記】
藁が宝物に変わったぞ!ヘリさんありがとう!
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=46002567



**********

 本日幾度目になるのか。
 一戦一戦を取ってみればごく短時間ではあるが塵も積もれば山となる。
 度重なる交戦で白軍、黒軍の両軍共が疲弊していた。
 それ故にここでどちらか、またはそこかしこにいる力自慢の何者かが奮戦し敵を殲滅するより先に消耗せんが先であるのは誰の目にも明らか。
 停戦をした訳では無いが動きを封じられ睨み合いとなったが為に出来た束の間の休息。
 散々争った末に救護物資も多く消費され底を尽き掛けた為一度戦線を離脱するとの報を救護班から受けた真崎梅雨は彼らの居ない束の間、その役割を一部引き受け、戦場を駆け回る事となった。

***

 太く短い丸い眉が心なしか八の字になった気さえする苦味を滲ませた笑みを浮かべ、梅雨は菊花に言葉を掛けた。

「菊花さん気ぃ付けやなあかんえ? ……強いんは分かってやるけれどもお、」

 せやけどもと続く筈の言葉はみなまで言うなと菊花の掌に遮られる。
 菊花は目を細め、赤々しく痛々しい傷の残る頬を緩めて不敵な笑みを形作った。

 そして遠くで停滞しながらも生きているんだと実感させられる蠢く黒い衣服を纏った自分達とは思想の違う個が集まる軍団を見据え、「あがーな奴等にゃ負けるにおえんじゃろうに! 勝つのはわしらじゃけんの~ぉ!」と言って笑い飛ばそうとしたが、それが頬の傷に障ったのか「いっ」と声を漏らし顔を歪め、苦悶の表情が滲む。

「あてやなくて、奴さんに言うてやらんなやねえ」

 肩から掛けた深い緑色をした鞄を手繰り、漁りながら、梅雨は先程の苦さの取り除かれた朗らかな笑顔で返す。

「ふんっ、わかっちょるわ……!」

 その返事にばつが悪そうに噛みつく菊花に梅雨は笑みを深くする。

「ならよろしい。物資の受け取りに手間取ってやるみたいで救護班の到着が遅れるそうやからあ、手持ちでどないかなる怪我だけ手当てさせたってやあ……まずは、腕から行きますえ?」

 言い終わるや否や消毒薬が流れ落ちる液体独特の音と少女の悲痛な断末魔が響いた。

***

「あらあらあ……菊花さんだいじょうぶう? もう手当て終わってやるんやけれどもお、後の方が満身創痍というかあ、お疲れさんみたいやねえ?」

 菊花の叫びに顔色一つ変えず処置を施した梅雨。
 自分が原因なのにと口を尖らせ、怨めしげな顔で梅雨をじっと睨み付けながらも菊花は言い返すことはせず、舌打ちをしそっぽを向いた。

「かんにんえ、菊花さんは大事な戦力やものお。ちゃあんと手当てせやななあと思うたらこう、なあ? かんにんよお」
「スマンで済んだら戦争なんざおっ始めんじゃろう! ついでから軍も要らんじゃろーぉや!」
「菊花さんは難しい事言わはるねえ、謝って済むことやったら、それで丸く収めて仲良うしはったら気い楽になるんとちやうやろうか」
「あがは、ほんに阿呆じゃの~ぉ……」
「おおきにさんどすう。菊花さんに誉めてもらえるやなんて嬉しいわあ」
「誉めてねぇ!」

 梅雨に背を向け、言葉を受け取った端から語気強く噛みつく菊花。
 自身の機嫌が損なわれていくのとは対照的に変わらずの笑みを浮かべる梅雨に菊花は苛立ちを覚えつつも体ごと梅雨へと向き直した。

「でもまぁ、世話になったのぉ」
「かましまへん。せやけれども、単騎で黒軍に突っ込んで行こうとしてはる所見てあて吃驚仰天山椒魚やったわあ」
「なんじゃ、その……けったいな文句は」
「ああ、特に意味はあらへんよお。それより、菊花さんどう言うことどすかあ? 貴方が一人動いたかてままならへん戦況なんは理解してはった様にみえたんやけどもお」

 菊花にじわりじわりとにじり寄り、見慣れた笑顔で迫る梅雨。
 口を歪め嫌そうな顔をしながら「企業秘密」とだけ菊花は返す。

「いけず言わんといておくれやすう。……まあ、菊花さんは単独行動を取らはる時もあるてそちらさん所属のお友達が言うてはったからそれ関連なんでしょうねえ」
「だから企業秘密」
「分かってますえ、あて他所で凡暗呼ばわりされてやるけども菊花さんより先輩やからねえ。深くは聞かへんよお」

 探っていたかと思えば引いてみせる梅雨を不思議に思いながらも菊花は歪めた顔を元に戻し真顔を作る。

「だったら良い、 」

 厳しげだがどこか柔らかく満足気な表情にも思える顔でそう言った。

「せやけれど、無茶と無理はあきまへんえ? これは先輩のお節介やから聞いてもよろしいし忘れてもろうてもかましまへん」
「え……」

 突然けたたましく響き渡る電子音。
 その音を菊花の視線が辿る。

「あてのスマフォからやわあ」

 梅雨はブレザーの右脇に付いている大小二つに重なったフラップポケットの小さい方へと手を入れ、メタリックに輝く深い緑が印象的なスマフォを取り出した。

 「ふんふん、成る程、うん……」

 手慣れた様子で操作し、視線をスマフォに定め上へ下へと動かし何かを読み込む梅雨。そして。

 「救護班の一部が戻らはったみたい。残りは今後激化することを予見して武器の補充と兵糧、夜営に備える為に未だ戻らず。そんでから、併せて兵の増員もとのことよお」

 梅雨の言葉に菊花の眉が寄る。硬い表情になった菊花は傍らにある機関銃に手を掛けた。


 もうまもなく、再び火蓋が切って落とされる――。



end


ads by microad

You have to sign in to post a comment or to favorites.

Sign in with Twitter


Send Message

Profile
明咲千寿 @asaki36
Share this page

ads by microad


Theme change : 夜間モード
© 2019 Privatter All Rights Reserved.