@niziirononanika
注)以下の資料は哲学人:社会契約論が■■研究所に所属していた時のものである。現在の彼の人格、主張は大きく変動している点を留意すること。
彼は現在【呈する恵智の会】に所属しています。
名称:社会契約論 The Social Contract
能力:所属する団体内の人間全員の利害を抽出した『一般意志』を自身の人格とする。
決定された人格(一般意志)による、命令と判定される発言に強制力を付加する。
※この時、命令を受けた人間(暴露者)はその個別意志を無視されることに正常な抵抗感を抱くが、一般意志に背くことに対しそれ以上に強い罪悪感を抱く傾向にある。個別意志により命令に反することは困難だが可能である。
『一般意志がどのような理不尽なものであったとしても、それを守ることにより結果的に自身の個人意志を尊重することとなり、その団体の平和が保たれる』との認識を植え付ける。
解説:社会契約論(彼)は執事風の衣装を着こなす老紳士です。外見年齢は八十代程ですが、1762年の生まれであると主張しています。これはジャン=ジャック・ルソーの『社会契約論』発行年と一致しています。
法律について深い知識を有していますが、一般意志に基づいた願望による新法を既存のものであるかのように語ることがあります。それは彼が所属する集団に必要であるルールであることが多いため、必要であれば研究所の規則に組み込みます。
彼の人格は所属団体の『一般意志』により構築されます。この場合の一般意志とは、所属団体の構成メンバーの意思を尊重し、なおかつ団体の利益を得る最適な行動傾向を指します。その多くは、『他人を傷付けてはならない』『困難には協力し挑む』などといった単純かつ重大なルールであり、些細なものや合意の上のものであったとしてもそれらに反していると行為をやめるよう『命令』します。
これは単純な多数決によるものではなく、また、団体メンバー全員の意志を融合し平均化したものでもないことに注意してください。また、平均化、数値化した最大幸福を求めているのでもありません。団体メンバーの意志に反していようとも、団体の存続と団体の平和の為であると判断された行いは一般意志の範疇に存在します。
■■■■/■/■ 追記)団体外の人員には効果が及びませんが、団体の人間と社会契約論からは団体外の人間の人権が軽視される傾向にあります。
彼は研究に協力的です。しかしこれは、現在の彼が所属している研究所が哲学人の生態解明と安全な収容確立を主に対象としており、研究員ほぼ全員が『哲学人にむやみに能力を使わせてはならない』と考えている為であり、彼自身の人格・主義は謎のままです。
対応:■■研究所付属哲学人居住区にて生活。必要に応じて研究所に呼び出し、能力の使用を依頼する。
発見経緯:老人ホーム内に出生記録のない人物が入所しているとの通報により、哲学人犯罪取締課に保護された。
補足:彼が入居中の老人ホームは様々な業務が円滑に進み、住人や職員の関係も通常時より良いものになっていたという。
対話記録
■■■■/■/■■
■研究員「はじめまして、貴方の担当に決まりました■です。貴方は社会契約論と名乗っているようですが、そう呼ばせていただいていいですか?」
哲学人「うむうむ、構わんよ。わしの名前は何度も変わっておっての、呼ばれてもようわからんのよ」
■研究員「では、社会契約論。貴方はここに来る以前、老人ホームでどのような役割を担っていたのか教えてくれませんか」
哲学人「あいわかった。といっても、わしは特別なことはしとらん。ただ、あの場のルールを皆に伝えただけじゃ」
■研究員「ルール?」
哲学人「そう。皆が何をするべきで、何をしてはいけないのか。皆、それはわかっとるが、だぁれも言葉にせんから知られずにおるんじゃ。それを伝えるのがわしの役割なんじゃよ」
■研究員「それは、社会契約論における一般意志のことですか」
哲学人「そうじゃ。皆の意見の総意であり、皆がよく生きるために求めとる相互契約……なに、難しいことは置いとこう。要するに、お互いの為を思って生活しようということじゃ」
■研究員「お話を詳しく」
(対話内容の要約を【解説】に記載。ここでは割愛する)
哲学人「ここでぬしらがせねばならんことは、まず、勤勉であること。わしらの研究は日々進歩しとるからの。次に、慎重であること。些細な油断が命取りとなる」
■研究員「なるほど。その通りです」
哲学人「わしら哲学人側も、無駄な能力の使用は控えるべきじゃな。哲学人はわしの言葉に耳を傾けんもんで、わしから指示できんのが惜しいわい」
■研究員「いえ、十分です」
哲学人「そもそも奴らは頭が堅いんじゃ。自分の構成哲学に素直なのはええことじゃが、やれ絶対王政だの魔女狩りだのと……リヴァイアサンらとイドラのことじゃがな」
■研究員「はい」
哲学人「奴らはこの国にはまだ渡っとらんのか? ここの研究所には居らんようじゃが。何にせよ奴らには気を付けねばならんぞ、皆ろくでもない哲学から生まれた哲学人じゃ」
(以下、社会契約論による他の哲学人への愚痴であるため割愛)
■■■■/■/■■に起きた呈する恵智の会による襲撃事件後、長く行方不明となっていましたが、事件から五年後の■月に■■■駅前で『呈する恵智の会』会員と思われる人間と共に演説を行っているところを発見されました。
以下はその音声記録です。
「やあやあ、よくぞお集まりいただいた。わしの名は社会契約論、見ての通りの哲学人じゃ」
「さて、我々呈する恵智の会は、その名の通り君たち民間人へ恵みを与えることを信条としておる。より多くの智により、より多くの豊かさを得るように、と。それを与えようとしておる」
「ここで問題じゃ。哲学人が人間へ与える智とは何じゃろうか? ああそこの若いの、何だと思う?」
(話を聞いていた民間人が答える。マイクを通していないため回答は不明)
「ああ、嘆かわしいことじゃ。そうではない。おぬしは何もわかっておらん」
「おぬしらは盲目で在らねばならん。おぬしらは実直で在らねばならん。全てを受け入れ、有り難がらねばならん。愚か者でなければならん!」
「素晴らしかろ! 喜べ人間よ!!」
この後、少なくとも五名の哲学人が駅前にいた民間人■■■名に対し能力を使用、■■名が重軽傷を負い、■名が死亡。■名が消滅した。
哲学人犯罪取締課が出動したが、呈する恵智の会会員と思われる人物の妨害により、問題行動を起こした哲学人の確保は失敗。
妨害行為を働いた人間の約半数は「犯罪行為だとはわかっていたが、脱会や命令違反をすれば皆に迷惑がかかる」と発言している。社会契約論の能力による強迫観念である可能性が高いと見て精神鑑定を実施予定。
コメントログ:
NTR系AVを見せられた気分だ。―■研究員