@kmkymr
「また盗まれたのよ!昼間はあんなに立派な看守を付けるのに、夜はからっぽなんておかしいわ」
「わざとだからね、僕は君のことを皆に知ってほしいんだ」
恋人の不服を宥めるように彼は穏やかに答えた。
日照り続きの不毛の砂地、肥やしもなく日々手塩にかけることのみで収穫までこぎつけた。
薄紫の花が咲いた夏は、息を切らして届けた彼の前で王は上着に王妃は結い上げた髪にそれを刺し、取り巻きたちを驚かせた。
隣国では捕虜から大王まで等しく芋を食べる。
豚の餌だと蔑む自国でも調理が広まれば、飢饉に苦しむ貧者を、否、国家を守る一番の薬になるはず。
薬剤師でありジャガイモの普及に努めた彼の名は、今もフランスの家庭料理に残されている。