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2014/9/20 ふし遊ワンクリ 軫宿/一口だけ

全体公開 351文字
2014-09-21 00:38:12
Posted by @satomi8429



長引く夏風邪はもう三日目で、どこも痛くないのに熱だけがしつこく残る。
「ちゃんと眠らないと治らんぞ」
声の方に顔を向けると枕がひやりと頬に当たった。だって、と大袈裟に唇を尖らせる。
「退屈なんだもの」
「薬は」
「飲んだ」
どれだけ苦かったかを顔をしかめて表すと、大きな手が頭に触れたかと思うや、唇を奪われた。たった一瞬、触れるだけの遠慮がちな口付け。
うつるわよ」
「平気だ」
なんてこと。ものすごくびっくりしたのに口をついて出た言葉はそんなもので、確実に熱のせいではなく顔から火が出ている。
「うつした方が早く治る」
「医者としてそれはどうなの」
冗談だ」
「顔が赤いわ」
「いいから寝ろ」
目をそらしたままあなたが言い、私は無言で壁を向いた。
無茶言わないで。眠れるわけないじゃない。


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