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【LETTER(ネタバレ注意)】後編HAPPY VALENTINE

@yudukikiri
Publish to anyone
2019-02-14 10:44:18

これは後編です。
LETTERのTRUE END後の設定(アフターストーリーの後くらい)で作成していますので、各種ネタバレにご注意ください。

「「…………」」
 沙織ちゃんの顔は真っ赤だ。僕も真っ赤になっているはずだ。それくらい顔が熱い。晩ごはんにピザを頼んで待っている間にお互いがお互いを意識してしまった結果、気まずいような恥ずかしいような不思議な沈黙が続いている。


 ーー可愛すぎかよ。


たまに沙織ちゃんがちらっちらっと僕のことを見てくる。可愛すぎる。

 ーーピーンポーン!

「「!」」

 ピザでも届いたかな……ってインターホンの所へ向かう。インターホンのモニターに映った顔を見て、僕は居留守を使うことを決めた。

「あれ? ピザじゃないの? 出なくていいの?」
 さっきまで座っていた場所に戻って座った僕に沙織ちゃんが不思議そうにしていたので簡潔に「ピザじゃなかった。出なくていいやつだった」と答えた。
「もしかして……佐々木くん?」
 鋭い沙織ちゃんにどう答えようかちょっと迷っていたら。

 ーーピーンポーン!

「あいつ……出るまでやる気か?」
 僕達がいないということは考えないのか。仕方ないな……。通話ボタンを押して「はい」と応えると。
『直ー。沙織ちゃんもいるんだろ? 悠里と遊びに来たぞー』
「帰れ」
『いやいや、そう言わずにー』
『ごめんね、遠藤くん! 何度も止めたんだけど……』
「藤堂さんのせいじゃないよ。気にしないで」
『直ー。俺に対して冷たくねー?』
 愁のことを無視して沙織ちゃんのことをちらっと見ると顔に『入れてあげよ?』と書いてある。
「仕方がないな。いいから、入れよ」
 解錠ボタンを押して二人を招き入れることにした。



「本当にごめんね! せめてものお詫びとして、お土産にチキンを買ってきたんだよ〜。良かったら食べて!」
「さっきも言ったけど、藤堂さんのせいじゃないよ」
「そうだよー。悠里ちゃん、気にしないでいいよー」
 申し訳なさそうに謝る藤堂さんを僕と沙織ちゃんで必死に宥める。
「なぁ、直ー。俺、いつまで正座しないといけないんだ?」
「お前が反省するまで」
「沙織ちゃん、助けてー」
「やだ。反省するまで、そのまま正座!」
「愁くん、自業自得だよ〜」

 ーーピーンポーン!

「お。今度こそピザかな?」
 インターホンのモニターで、今度こそピザ屋さんだと確認できたので、ピザを受け取る。
「二人だからって、Lサイズ一枚にしたんだけど、四人だと足りないな」
「はい! はい! 俺、作る! 許して!」
「反省したか?」
「はい!」
「仕方ないな……。愁の作るご飯は美味しいから。沙織ちゃん、それで許してやろう?」
「うん!」
「よしきた! う……っ。あ、あしが、し、しびれ……」
「「「はぁ……」」」
 みんなで一斉にハモるかのように息がピッタリ合ったため息をついた。



 料理をしている愁のことを手伝うことにした僕は愁に話しかけた。
「なぁ、愁」
「なんだー?」
「お前のことだから、ただ邪魔しに来たわけじゃないんだろ?」
「さぁな」
「本当のことを言ってくれれば僕も沙織ちゃんも怒らなかったのに」
「俺はこれでいいんだよ」
「おい、親友」
「なんだ、親友」
「いいから言えよ」
「うーん。別に俺が悪者でいいのにって思うんだけど、それじゃ直が納得しないんだよな?」
「ああ」
「仕方ないなぁ……。直だって沙織ちゃんだってあまり頻繁に会えないんだろ? 久しぶりに二人きりだと緊張して間がもたないんじゃないかって。せめて晩ごはんだけでも俺達が一緒なら、雰囲気が変わって少しは緊張もほぐれるだろって思ってさ。悠里は何も知らないよ。俺が強引に連れて来た」
「それはわかってる」
「ひでぇ」
「藤堂さんは真剣に謝っていたからな。それくらいわかるよ。それにしても、初めからそう言っても良かったのに……僕達のためにって気を遣ってさ……でも、ありがとな」
「おう」



   ◇◆◇◆◇◆



 愁と藤堂さんが帰った後で、僕は沙織ちゃんに愁が来た目的を話すことにした。
「そっかー。そうだったんだね。佐々木くんにお礼言わなきゃ」
「いらん」
「本当に佐々木くんに冷たい……」
「半分冗談だよ。愁にメッセージでも送っとく?」
「うん。それって、半分本気ってことだよね……? まぁいいか。えーと。『さっきは気を遣ってくれてありがと。悠里ちゃんにもよろしくね』っと。送信したよー」
「沙織ちゃん、テレビでも見る?」
「うん。え? 返信早!『おう。気にすんな。またみんなで遊ぼうぜ!』って来たよー」
「もうかよ。返信早すぎだろ!」
「スタンプ返しといたから、これでよしっと。ねぇねぇ、何かやってるー?」
「んー。この時間って何やってるんだろ……え?」
 二人でテレビ前で固まる。ちょうど恋愛ドラマがやっていたみたいで、クライマックスのキスシーンがアップで映し出されていた。

「「…………」」

 急にさっきみたいな気まずいような恥ずかしいような不思議な空気に戻されて、再び訪れる沈黙。
 ここで動かなかったらヘタレ過ぎるよな……?

「さ、沙織ちゃん」
「な、何?」
「僕、沙織ちゃんとキスしたい」
「い、いいよ。私も直樹くんとキスしたい」
 沙織ちゃんはそう言って、キス待ちをするかのように目を閉じて顔を上げた。



   ◇◆◇◆◇◆



 ーーあれ?

 直樹くんがキスしてくれて、キスが深くなって、押し倒されて。もしかして、エッチしちゃうのかなって思っていたら、キスも止まって。おそるおそる目を開けてみたら、直樹くんがフリーズしていた。

 ーー何があったの?

「な、直樹くん?」
「ーーあ、ごめん。沙織ちゃん。痛くない? 怖くなかった?」
「大丈夫だよ。直樹くん、優しかった」
 ラグの上だったから押し倒されても痛くなかったよ。
「そっか」
 直樹くんが私を起こしてくれた。そのまま直樹くんはベッドの上の掛け布団と毛布をめくって、また私の元に戻ってくる。
「ふぇっ!?」
 そして、私を横抱きにした。これって、お姫様だっこだよね!?
「え? え??」
 直樹くんは困惑する私を優しくベッドの上に降ろすと、自分もベッドに……って、え!?
「な、直樹くん?」
 毛布と掛け布団をかけて、私を抱き枕にした直樹くん。ど、どういうこと!?
「ね。直樹くん、どうしたの?」
「…………」
 直樹くんからの答えはない。もしかして、混乱してる?
「え、えーっと、腕だけ出してもいい?」
 あ。ちょっと力が緩んだ。腕を出すことができたので、私は直樹くんの頭をなでなでしてみた。落ち着くかなー?
「え、え!? な、直樹くん!?」
 直樹くんがぽろぽろと泣いているのに気づいた。
「ごめん……沙織ちゃん。泣くつもりはなかったんだ」
 抱きしめていた腕をほどいて直樹くんは目をゴシゴシとこすっていた。
「キスしてから理性が飛んでさ。押し倒したあたりで一旦我に返ってさ。『僕は何をしているんだ?』って思ったら、どうしたらいいのかわからなくなっちゃって。そこからあんまり記憶にないんだ」
「混乱してた?」
「多分。沙織ちゃんに頭を撫でられて泣いたのに驚いてやっとちゃんと我に返ったんだよ。撫でられた記憶があんまりなかったからかな?」
「え? お父さんにも、お母さんにも?」
「うーん。物心ついてからはないなぁ。祖父母もいなかったから。撫でてくれたのは、愁と愁の両親くらいじゃないかな?」
「寂しかった?」
「そりゃあね」
 よーし。直樹くんが安心するまでなでなでするぞー。
「ふぇっ?」
 直樹くんに頭をなでなでされて思わずびっくりしてしまった。
「あ、ごめん。沙織ちゃんもそうなのかなぁって思って……」
「私は、いろんな人に撫でてもらったし、お母さんと一緒にいるときに撫でてもらったから。でも、直樹くんになでなでしてもらうのも嬉しいよー」
「そっかー」
 お母さんに「撫でて」って言った時のことを思い出した。お母さんは、一瞬だけ驚いたような顔をしたけど、すぐに「はいはい」と呆れ口調ではあったけど優しい顔で私の気が済むまで撫でてくれた。
「直樹くん。今は、二人きりだよ? 恥ずかしがらなくていいんだよー」
「うーん。頭じゃわかっているんだけどなぁ。何か恥ずかしいんだよ」
「そっかー。やめるー?」
「もうちょっとだけ」
「はーい」



   ◇◆◇◆◇◆



 しばらく経ったら、直樹くんが落ち着いたみたい。私はまた直樹くんの抱き枕にされております。

「!」

 あれ? 何か当たってる……? あ。これって、もしかして……?
「ねぇ。沙織ちゃん、シャワー浴びる?」
 お誘い?
「うん」
「先にいいよ」
「直樹くんが先でいいよー」
「そう? じゃあ、先に浴びてくるね」
 直樹くんが着替えを持って浴室に向かうので私も着替えを持ってついて行く。
「な、なんで?」
「一緒に浴びる!」
「いやいやいや。なんでそーなるの!?」
 必死で何でもない風を装っている直樹くん。でも、一部は主張しているのでバレバレであります。
「え? この後、エッチするんでしょ? 見たり見られちゃうのは変わらないかなーって」
「そう言われると否定はできないけど……」
「それとも、エッチしない?」
 ちょっとだけ間が空いて、直樹くんが小声で、でもはっきりと「エッチしたい」と言ったから。
「じゃあ、シャワーから上がったら、いちゃいちゃしよう?」
 前にも聞いた自分の声じゃないみたいな甘える声。
「うん……痛かったらちゃんと言ってね? 僕は初めてでちゃんと制御できるか自信ないから」
「私も直樹くんも初めてで嬉しい」
「そっか……うん。がんばる」
「ふふっ」


 それから、シャワー入って、大きさと本当に一部分が元気だったのに驚いたり、私が一部分をガン見しているのに気づいた直樹くんが恥ずかしがりつつも、ちゃんとベッドの上で初めての夜を過ごせたので幸せだなぁと思ったのでした。



 余談。
 エッチの途中で出てきたコンドームとローションに驚いて「準備がいいんだね?」って聞いてみたら、直樹くんがバツが悪そうに答えてくれた。
「だって『そういう意味』かと思うし、そうじゃなくても準備しないのも、痛がらせたり避妊しないのはダメだろ……って思ったんだよ」
 直樹くんが男の人だと再認識したけど、バツが悪く言う姿は可愛くて。直樹くんの優しさと誠実さを感じて、私はにっこりと微笑んだのだった。



 後日。
「なぁ、直」
「なんだよ、愁」
「バレンタインの夜、沙織ちゃんとちゃんとエッチしたのか?」
「ひみつー!」
「なんだよ、それ」
「ははっ。想像に任せる……と言いたいところだけど、愁が想像するのは嫌だから、想像するな」
「理不尽だろ!」
 ちなみに後から聞いた話だけど、沙織ちゃんも藤堂さんに同じように聞かれて「ひみつー!」と返したらしい。



終わり。


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