@toasdm
「ふふ、柔らかいねー……」
「へ、変なこと言わないで……」
ちゃんとしてください、と恥ずかしがる彼女の目の前で、想楽はむにむにと揉みしだく。これでいいのー?とからかう口調で彼女に確認する想楽の手の中で、胸の肉はしっとりと、想楽の手に馴染んだ。
「ちょっと待ちきれないかもー……」
「あ、やっ、ダメ、生は危ないから……っ」
お願いだから待って、と涙目になる彼女に、もうこんなにぐちゃぐちゃなのにねー、と名残惜しそうに手を離して、想楽は彼女に手渡した。
「すごくおいしそうな匂いなのになー……ねー」
いくら想楽が本気で、彼女の耳元で、甘えるように囁いても。
「ちょっとくらい、舐めてもいいよねー……?」
「ひぁぁぁ、あ、あぅっ……だ、ダメ、だよ、想楽君……っ」
彼女にはどうしても、許すことができなかった。
「な、生の鶏肉にはサルモネラ菌が……」
からっと揚げるまで待って、と想楽から受け取った鶏胸肉に片栗粉をまぶして、彼女はひどく熱い油の中にそれをゆっくりと入れていく。
「待てないよー……」
「ああああっ!!」
ダメ、と彼女が言う前に、想楽はそれらを一気に、油の中に全てぶち込んだ。爆ぜる油と弾ける音が、じゅうじゅうと、キッチンにこだまする。
「ダメ、ああっ、ダメ、です、油の温度下がっちゃうから、ゆっくり……んぁっ!」
「混ぜちゃえばいいかなー?」
無遠慮に突っ込んだ菜箸で、想楽は油をかき回す。その度に肉が触れ、油はそこらに飛び散ってキッチンを汚した。
「あぅ……想楽君……」
「っふふ、いい音ー……」
にんまりと微笑む想楽は、本当に待ちきれないようで、うろたえる彼女を尻目に、程よく揚がったひとつをつまみあげて、大きく口を開けたまま上を向く。
「想楽君、想楽君ダメ――あっ」
「熱っっっっっつ!!」
想楽の口の中を、揚げたてのから揚げが灼いていく。噛み付いたそこから迸る肉汁も、脂も、味がわからなくなるほどに想楽の口を蹂躙する。だからダメって言ったのに、と困り顔の彼女の前で、想楽は涙目になりながら悶絶していた。