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Re;quartzバレンタイン企画SSS_ナオとチョコ

B-cluster◆CF検討中,詳細とご意見はブログ記事へ
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2019-02-17 23:31:19

ほんのりレイト×ナオ。街でバレンタインを迎えたパラレル時空です。

沢山のチョコレートが、届いていた。
本当に沢山、しかも種類も様々。
モトイがいつもコンビニで買ってくれるものもあれば、見た事の無い立派な彫刻みたいなチョコ、高級そうなチョコ、それに……

(ピンクの鳥……ペリカン? 鳩? どっちだろう?)
(ええと、これは……お酒のチョコレート……)

「……ナオ。酒は良くない」
「……」

弟の声に振り向くと、手のひらの日本酒チョコが取り上げられる。
まるで当然と言わんばかりの仕草に、ほんの少し引っかかる。

「……レイトだって。未成年」
「知ってる」
「じゃあ、どうするの? それ」
「…………」

思わぬナオの反撃に、レイトは逡巡してチョコを握りしめる。
たっぷり十秒近くは、沈黙が流れて……。

「……アルコールは、加熱すれば蒸発するから」
「温めるの?」
「ああ。温めて、溶かして、固める」

(それって……)

いわゆる、チョコレート作りじゃないだろうか。
レイトが、お菓子作り……器用な弟の事だから、きっと美味しく出来るに違いないけれど。

(自分が貰ったチョコレートの調理を、弟に任せっきりはどうなんだろう)

「あの……手伝おうか」
「いい」
「え、でも」
「いい。あんたは、黙って座ってて」
「……分かった」

そう言われてしまうと、もうナオには為す術もなくて。
引っ越し当初からほぼ物の増えない、ダイニングの片隅の椅子に座った。

「——熱湯とか、使うから。来るな」
「う、うん……」

いくら何でも、熱湯を避ける技術くらいは有ると思うのだが。
多分、レイトは台所へ踏み入って欲しくないのだ。

(情けないな、弟に頼りっぱなしで——)
(……あ……)

漂ってきた甘い香りに、簡単に反応してしまう自分が恥ずかしい。
それと同時に聞こえてくる、カトラリーと器が触れ合う音。
黒いエプロンをした弟の背中。
外は雪が舞っているけれど、家の中は温かい。

(……何か、眠くなってきた)
(いや、レイトが料理、してくれてるのに)
(ここで、眠る訳には……)


+++


「……ん……」

眠い目を擦ると、目の前には小さなチョコが置いてあった。
ちょっと歪な四角形に、振りかけられたココアパウダー……
勿論、普段の料理で使うようなものではない。

(……もしかして)
(最初からチョコ、作るつもりで……?)

「……レイト。レイト……?」

すぐに感謝を伝えたかったのに、レイトは居なくて。
……こんな雪の中だけど、ユヅキや同級生に渡しに行ったのかもしれない。

(レイトが帰ってきたら、まず、ちゃんとありがとうって言って)
(それから————)

とっくに自分の分は確保しているかもしれない。
そもそも、几帳面な弟の事だ、味見はきちんと澄ませただろう。

(——でも)

折角だし、一緒に食べようって。伝えたい。

そう決めたナオは、チョコレートの味見を必死に堪えるのだった。


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