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[冬馬P♀]甘えるみたいに責めてくる

全体公開 1 1869文字
2019-02-19 21:33:40

「な、なにしてんだよ、あんた……

寝ぼけてちょっとだけ(?)アツめのちゅっちゅするあまとうとPさんのお話です。

Posted by @toasdm

 彼は寝ぼけているのだ、と彼女は頭で理解して、寝ぼけているときは本心が出やすいのかもしれない、と思い至って、体中がぶわっ、と一気に熱くなるのを感じた。身悶えするような熱が寝起きの体の隅々まで広がって、目の毒、と閉じた目をうっすらと開けてみてみるが、先ほどと大して変わらない光景が広がっていて、当然、逃げ場はない。
 冬馬くん、と呼びかけようと唇を動かしたが、出てきたのは粘着質な、粘膜同士が触れ合うような音だけで、逆に冬馬の舌が入り込んでくる始末だ。背中に回された手は、ほんとに寝てるんだよね?と言いたくなるほどに力が込められていて、引き寄せられた体の密着度はなかなかのものだ。
 具体的には、持ち主よりも早く目覚めた冬馬の冬馬部分が寝起きに彼女に挨拶をしてくるくらいの密着度だ。密着度は最初から最高値で、キスは、時間経過と共に深くなる一方だった。
「ん、ふ、ぁふ、んんっ……!」
 息苦しさに冬馬の胸を叩いてみるが、起きる気配はまるでない。そもそもこんな風に情熱的なキスをされて、力が入る道理もなかったのだ。口の中をねっとりと這い回る冬馬の舌のぬめりと熱に、彼女は呼吸も覚束ないまま、徐々に思考を溶かされていく。
 はむ、と唇で唇を挟み、ちゅう、とそのまま吸い上げる。冬馬の口の中に吸い込まれた彼女の唇は、舌先で突かれて、弄ばれて、軽く歯を立てられてまた吸われる。その度にびくびくと跳ねる彼女の体を、がっしりとした冬馬の腕が押さえ込んで離さない。彼女の腰が逃げようとする度に、冬馬の手はするりとそこを撫でていくのだ。まるで、それは、冬馬の手が、逃げんなって、と彼女に言っているようで、それだけでも彼女はくらくらとする。
「と、ま……んっ」
 一瞬離れた唇に、は、は、と息を乱しながらなんとか冬馬を起こそうとした彼女だったが、それはあえなく失敗に終わる。先ほどは笑いながら言っていた冬馬の手の逃げんなって、は、少し荒々しく、逃げるなよ、くらいになって彼女をぐっと抱きしめた。滑り込んできた舌先は彼女の下の側面を優しく撫でくすぐって、彼女は夜に出すような声を朝のベッドで漏らしてしまう。
「んんっ! ん、んぅっ、んーーーっ!」
……ん」
 は、と漏らした冬馬の吐息が、少しだけ彼女にとっての希望の光になる。漸くお目覚めかな、と安心した彼女だったが、冬馬の舌は彼女の歯列をざらりと撫でて舌に絡んだ。
「んぅぅぅっ!!」
「んっ……
 まだ寝ぼけてる――!っていうか寝ぼけながらこんな激しいキスをするとか冬馬君どうしちゃったの?!
 彼女は心の中でそう叫んだ。そもそも冬馬とは付き合っているとはいえ、あまり押せ押せではないタイプの冬馬は、彼女と唇を合わせるときにも本当に「合わせるだけ」だった。夜に体を重ねないこともなかったが、そういう時にでもならないと、こんな風に、舌でガンガンに彼女を溶かすような情熱的なキスはしなかった。
 きっと、いつもは恥ずかしいからしないだけで、本当はこんな風にしたいのかな?
 そう思うと愛おしくもあり、気恥ずかしくもあった。甘えるみたいに責めてくる、とくすくす笑い始めた彼女の目の前で、冬馬がゆっくりと目を開けたのは、ちょうどそんなことを思い始めた頃だった。
……んっ!?」
「っぷあ、あ、はぁっ、はぁっ……
「な、なにしてんだよ、あんた……
 第一声がそれーーー?!彼女は全力で脱力した。してきたのは冬馬君の方でしょ、ととうとう彼女は堪えきれずに笑い出してしまう。
「なに、笑ってんだよ……
 寝起きの掠れた声で文句を垂れる冬馬は、頭をがしがしと掻いてむくりと起き上がる。あぁ、と小さく呟いてから、冬馬はそっぽを向いて白状した。
……なんか、あんたとそういうことする夢、見た気がすんだよな……
「それ多分夢じゃないよ」
 横目でちらりと確認した彼女の唇が濡れている理由を思い出して、冬馬は真っ赤になって再び布団にもぐりこむ。
「あ、冬馬君ダメだって、起きて」
「うるせー……
 きっと恥ずかしいんだろうな、とまたくすくす笑って、彼女は冬馬の背中に抱きつく。その油断があったからこそ、なのかもしれない。
「夢の続きで、もっとすげーこと、あんたとする……
 その油断があったからこそ、冬馬の冗談は驚くほど彼女にクリティカルヒットしたのかもしれない。笑う背中にからかわれたことを知り、彼女も冬馬に背中を向けて布団にもぐりこんでしまった。
 二人の朝は、一瞬やってきて、一瞬で去って行ってしまった。


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