星鉄二刀に手を伸ばす

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2019-02-23 10:21:01

夏。太陽の光が降り注ぎ、熱気が周囲を包んでいる。
夏季休暇へと入ったマビノギ学園の実技訓練場にて、朝から二刀を振り続ける男の姿。
緑剣八年ラスター・メテオライトは、壁にぶつかっていた。

……ああ、畜生。分かんねえ」

そう呟く。どれだけ太刀筋を精密に、鋭利に研ぎ澄ませても。
鉄火は相変わらず扱いきれないなまくらのままだし、星光は何時も通りだ。
”二刀流”ではなく、”二本の剣を戦いに使っている”だけだ。
二刀を自在に操り、星と鉄の力を等しく扱う
メテオライトの”星鉄二刀”には程遠い。

「技術か?経験か?一体、何だ?」

剣は完璧に仕上げて貰った、だから扱い切れないのは俺の責任だ。
ーーだからこそ。わかる
”何か”が、必要なのだと。

そんな風に、剣をじっと見ていると。

「よう、ホーンヘッド。そんなに剣を見て角の代わりにでもするつもりか?」

聞きなれた、しかし行き詰っている時に聞きたくないタイプの声が聞こえた。

……よう、ボーンヘッド。テメェの寂しい頭の飾りにブッ刺してやろうか」

俺がそう言うとそいつ……スケルトンの姿をした緑剣の寮監、比良坂は皮肉げに肩を竦めた

「おいおい、ツレないな。行き詰ってる寮生に声をかけに来た寮監なんだ、もうちょっと歓迎してくれたって良いんじゃあないか?」

「饅頭やるから帰れよ」

荷物の中の魔力補給用のアストラル饅頭を投げ付ける。普通にキャッチしやがった。

「こんな所で刀振ってたって一生そのままだな?素振りの達人が目標ならオススメだが」

饅頭を食いながらそう笑う骨野郎は、非常にカンに触る。

「だからお前は、ノーブルムースに入ると良い。TDの練習に夏を使うとより良いね」

……は?」

予想外過ぎる事を言われた。

「我らがノーブルソードとしては5月の寮対抗杯における全敗は由々しき事態だし、夏も、な。」

いやそれは知ってるが。

比良坂の表情は、笑みの形を作る

「秋は一泡吹かせたい、そう思わないか?なんせその方が試合を見る楽しみになる」

……俺には時間が無えんだよ、今TDやってる暇なんて……

「”双璧””巨躯なる幸福”。あの辺は今年がラストイヤーだ」

「”勝ちたい”って思う気持ちは、一人で剣振ってるお前より強いんじゃないか?折れ角八年生。」

頭に血が登る。それは。その想いは。俺の”決意”で

「テメェ、比良坂!」

「ぶつけようと思ってみろよ、そいつらに。」

「なんせTDのウェポンは二本とも同じ性能だからな、お前の心の”刃”と違って。」

……クソ野郎!」

「良く言われるよ」

比良坂の姿がその場から消える。あいつは何時だって神出鬼没だ


ふざけんな、マジであいつは嫌いだ、何もかも見透かした様な顔しやがって

……尾上、早川、マルトリッツ、か。

「ああ、クソ」

……プレッツェル、どこに居るかな。研究塔か。







その日、ノーブルムースに新ウェポンと共に一人の男が参加する事になる。

時期的に秋の大会にしか参加出来ないその男の名は、ラスター・メテオライト。

二刀の、挑戦者。







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