@soma_ITzDB
夏。太陽の光が降り注ぎ、熱気が周囲を包んでいる。
夏季休暇へと入ったマビノギ学園の実技訓練場にて、朝から二刀を振り続ける男の姿。
緑剣八年ラスター・メテオライトは、壁にぶつかっていた。
「……ああ、畜生。分かんねえ」
そう呟く。どれだけ太刀筋を精密に、鋭利に研ぎ澄ませても。
鉄火は相変わらず扱いきれないなまくらのままだし、星光は何時も通りだ。
”二刀流”ではなく、”二本の剣を戦いに使っている”だけだ。
二刀を自在に操り、星と鉄の力を等しく扱う
メテオライトの”星鉄二刀”には程遠い。
「技術か?経験か?一体、何だ?」
剣は完璧に仕上げて貰った、だから扱い切れないのは俺の責任だ。
ーーだからこそ。わかる
”何か”が、必要なのだと。
そんな風に、剣をじっと見ていると。
「よう、ホーンヘッド。そんなに剣を見て角の代わりにでもするつもりか?」
聞きなれた、しかし行き詰っている時に聞きたくないタイプの声が聞こえた。
「……よう、ボーンヘッド。テメェの寂しい頭の飾りにブッ刺してやろうか」
俺がそう言うとそいつ……スケルトンの姿をした緑剣の寮監、比良坂は皮肉げに肩を竦めた
「おいおい、ツレないな。行き詰ってる寮生に声をかけに来た寮監なんだ、もうちょっと歓迎してくれたって良いんじゃあないか?」
「饅頭やるから帰れよ」
荷物の中の魔力補給用のアストラル饅頭を投げ付ける。普通にキャッチしやがった。
「こんな所で刀振ってたって一生そのままだな?素振りの達人が目標ならオススメだが」
饅頭を食いながらそう笑う骨野郎は、非常にカンに触る。
「だからお前は、ノーブルムースに入ると良い。TDの練習に夏を使うとより良いね」
「……は?」
予想外過ぎる事を言われた。
「我らがノーブルソードとしては5月の寮対抗杯における全敗は由々しき事態だし、夏も、な。」
いやそれは知ってるが。
比良坂の表情は、笑みの形を作る
「秋は一泡吹かせたい、そう思わないか?なんせその方が試合を見る楽しみになる」
「……俺には時間が無えんだよ、今TDやってる暇なんて……」
「”双璧””巨躯なる幸福”。あの辺は今年がラストイヤーだ」
「”勝ちたい”って思う気持ちは、一人で剣振ってるお前より強いんじゃないか?折れ角八年生。」
頭に血が登る。それは。その想いは。俺の”決意”で
「テメェ、比良坂!」
「ぶつけようと思ってみろよ、そいつらに。」
「なんせTDのウェポンは二本とも同じ性能だからな、お前の心の”刃”と違って。」
「……クソ野郎!」
「良く言われるよ」
比良坂の姿がその場から消える。あいつは何時だって神出鬼没だ
ふざけんな、マジであいつは嫌いだ、何もかも見透かした様な顔しやがって
……尾上、早川、マルトリッツ、か。
「ああ、クソ」
……プレッツェル、どこに居るかな。研究塔か。
その日、ノーブルムースに新ウェポンと共に一人の男が参加する事になる。
時期的に秋の大会にしか参加出来ないその男の名は、ラスター・メテオライト。
二刀の、挑戦者。
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