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資料番号:00000000 Psyche「プシュケ」

全体公開 13714文字
2019-02-23 14:56:43

尚、当哲学人は特例がない場合カウンセラー、蝶野あみとして扱います。

「へ、なに?君たちの能力なら簡単だよ、彼女を保つことなんてさ。だって、君たちは命の源、なんだよ?力を合わせれば特に負担もなく助けられるよ、1人の人間なんて。

うーん、でも、そうなると君たちと彼女には繋がるための何かが必要にはなるだろうね。それは、彼女が人とはちょっと違うものになるってことかもしれないって、こと。

まぁ、でも、いなくなっちゃうよりは全然マシだとは思うよ?だってそれは彼女が安全な地に移る可能性をあげるし、友達もできるかもしれないじゃないか。特に今の時代はね。

そしたら、きっと彼女は幸せだろうさ。」


《概要》

哲学人は20■■/■■/■■、哲学人研究所等に存在が確認されていたぬいぐるみ8体が異常性を示したことにより認識されました。
当人に至っても自覚がない様子であり、この現象に対しても能力ではないとしています。
しかしながら、全てのぬいぐるみとコミュニケーションを取っていたと話していることから、無自覚であっただけなのではという過程の元認定されました。
某哲学人によって特定されましたが、その事案が起こる前まで分からなかったようです。
よって、普通の人間が哲学人と成った可能性があり、事例として究明が求められています。
現在、本体は日本人成人女性だと思われていますが、当人はぬいぐるみの中に入っている霊体、または蝶と発言しています。
現在この哲学人はカウンセラーとして哲学人研究所に所属しています。
現時点においてこの哲学人を公表することは認められていません。
なお、すべてのぬいぐるみは定期的なメンテナンスが義務づけられています。
スケジュールに従って彼女に渡し、修理期間の間持っていた人物のケアを行うようにしてください。
破損した場合、すぐに彼女のところへ届けてください。


《事案1》

当ぬいぐるみ「しろもるふぉ」、愛称しろちゃん、名前をは20■■/■■/■■に制作されました。ぬいぐるみの意思により当哲学人の元に留まっているそうです。形状は一般的にいうキャラクターの「おばけ」であり、縫い目が真ん中に走っているという特徴があります。20■■/■■/■■、知らないうちに哲学人本人の前まで移動し、活動できることを示したそうです。能力としては哲学人本人の感情を共有、考え方の反復や動作による感情の表現などが挙げられます。会話は本人にのみ認識されるようです。職場の彼女の隣によくいることが確認されています。本人は「私が知っているプシュケの意味は、この子のことなんだと思います」と発言しています。

「それはあなた自身である」

《会話データ》
20■■/■■/■■
談話室にて
研究員■■:蝶野さん、これから質問に少し答えてもらってもいいですか?
当哲学人:あ、まだ業務を終えてないんですけれど……
研究員■■:大丈夫ですよ。これも業務内ですから。その業務は■■さんが変わってくれましたから、心配しないで。
当哲学人:そうですか。じゃあ、今度お礼しておきますね。
研究員■■:ええ、それがいいでしょう。
当哲学人:んで、そのー。
研究員■■:はい。といっても、ぬいぐるみのことを聞きたいだけですから。
当哲学人:ああ!そういうことですか。ええ!どうぞどうぞ。
研究員■■:ほら、わんちゃんとか、とりさんとか。彼らは僕らも話ができるんですけど、そうでないぬいぐるみたちも多いじゃないですか。
当哲学人:そうですね。話せばいいのに。
研究員■■:彼らが決めているんでしたっけ。
当哲学人:ええ。私は何個もぬいぐるみたちをつくってるので、どこに入るかは彼らの好みです。
研究員■■:なるほど。じゃあ、けっこう好き勝手してるんですね。
当哲学人:変なことしてないといいんですけどー
研究員■■:それは大丈夫ですよ。彼らも貴方と同じように、人助けが好きみたいで。
当哲学人:よかった。あ、話しそらしちゃいましたね。どのこについてとか、あります?
研究員■■:じゃあ、その、おばけ、ちゃん?くん?で。
当哲学人:このこは、しろちゃんです。あ、男の子ですけど。
研究員■■:じゃあ、しろちゃん、で、いいのかな。しろちゃんはいつごろから、蝶野さんの元へ?
当哲学人:ああ、このこは、一番初めに私のお友達になったこです。なので、うーん、ほんとに、小さいころからですね。
研究員■■:そうですか。うーん。しろちゃんは、人前だとあまり動かないほうですかね。
当哲学人:多分、気を使ってくれているんだと思いますよ。
研究員■■:しろちゃんは、他のぬいぐるみたちからどう思われていますか?
当哲学人:うーん、ムードメーカー、でしょうかね。どうおもう?しろちゃん。
(しろちゃんはうなずくような動作を見せる)
研究員■■:あってる、ようですね。
当哲学人:というか、なんかあの、ひらがな下敷きみたいな、そういうものを持ってくればそのまま会話できると思いますよ。
研究員■■:そうですか、なら持ってきましょうか。他の子たちも同じで?
当哲学人:ええ。あ、手がない子は難しいかもですけど。
研究員■■:分かりました。じゃあ、後日に。

20■■/■■/■■
後日、「しろちゃん」と研究員での一対一の会話が試みられました。その際、文字サイズ、キー共に大きめに設計されたキーボードが使われました。

研究員■■:こんにちは、しろちゃんさん
「しろちゃん」:こんにちは
研究員■■:これからいくつか質問します。わかる範囲で構わないので、答えてくれるとありがたいです。
「しろちゃん」: ^ ^
(うなずく様子を映像で確認)
研究員■■:蝶野さんのことはいつから知っていますか?
「しろちゃん」:うまれたときから
研究員■■:おお、他の皆さんもそうなんですか?
「しろちゃん」:ちがうよ ぼくはずっといたけど みんなはあとから
研究員■■:そうなんですね。あなたは、どのプシュケなんですか。
「しろちゃん」:あみちゃんの しってるの
研究員■■:じゃあ、分析心理学、ですかね。
「しろちゃん」:たぶん
研究員■■:ほかのプシュケたちのこと、聞いてもいいですか。例えば、入ってきたときとか。
「しろちゃん」:はじめに ぼくと あみちゃんで はなしてた
        あみちゃん おはなし つくるの とくいだから
        ひめちゃん へれちゃんは そのとき はいってきた
研究員■■:ほうほう。ひめちゃんはうさぎのこで、へれちゃんはまるいこで、あってますか?
「しろちゃん」:うん つぎに もんちゃんきいちゃん 
        そのころには あみちゃんは しょうがくせい
研究員■■:なるほど、もうその時点で4人いたんですか。
「しろちゃん」:あみちゃんは ぼくらを みんなみえてると おもってた
研究員■■:そうなんですか。親は何か言っていたりしました?
「しろちゃん」:(15秒程度の沈黙) わすれちゃった
研究員■■:そうですか。じゃあ、残りの子たちのことを続けてお願いします。
「しろちゃん」:あみちゃん ちゅうがくせいに なって
        ぼくらのこと わからなくなる はずだった
        だって あみちゃんは にんげんで ぼくらは ちがうから
研究員■■:まあ、一般的にはそうだとされていますからね。
「しろちゃん」:そのころ びょういんに いって しらべものも してた
        あみちゃんが おちこんでることが ふえたのも そのくらい
研究員■■:多感な時期ですしね。
「しろちゃん」:ほんを よむことも おおかったからだと おもう
        あかねさんが きた。
研究員■■:ああ、鳥の方ですね。
「しろちゃん」:うん あかねさんは あたまが いいからね
        あみちゃんに ぼくにはできないことを してくれる
研究員■■:だから「さんづけ」なんですか?
「しろちゃん」:いやー じゃないと むすっとしちゃうし
研究員■■:ははは。やっぱり誰にでもそうなんですか。
「しろちゃん」:^ ^
        そのあと、せせりもすぐにきた。かれ、あかねさんとにてるから。
研究員■■:似ているんですか?あの二人が?
「しろちゃん」:^ ^ にてるよ じつはね
研究員■■:へえ……。びっくり。
「しろちゃん」:のこりのひとは みんな あとにきたんだ
        あみちゃんが てつがくじんを しってから。
        これでいい?
研究員■■:はい。わかりました。あと一つ、質問があるのですが、よろしいですか。
「しろちゃん」:^ ^
研究員■■:あなたにとって、あみさんはどんな人ですか。
「しろちゃん」:あみちゃんは みんなの おねえちゃん
《会話データ終了》



《事案2》

当ぬいぐるみ「あかねあげは」、愛称あかねさん、は20■■/■■/■■に制作されました。要望にそぐう人物が現れないという理由で当哲学人の元に留まっているそうです。形状は
どこか一般的な「とり」を思わせるようであり、赤く、羽にあたる部分は丁寧に刺繍がされています。様々な黒い装飾が日ごとにつけられており、統一して紋様を描くようになっています。前述した事案1の時に羽ばたく様子が見られたそうです。現在は当哲学人の側に留まっている他、羽ばたいて研究所施設内を散策している様子も確認されています。能力としては浮遊するということと、任意のものに測定不能の耐久性をつける(ただし本人は含まない)、一定期間(五分程度とされます)対象へのミーム汚染無効能力の付与などが確認されています。
その強い能力から、危険な哲学人の対応をする上でのアシストに使えるかもしれないと一部で意見が上がっています。対象との会話はテレパシーで行われます。
哲学人イデアとの面会を心待ちにしていると発言しています。また、性格なのか哲学人ドクサ
に対しても普通の人間に対しても少し見下し気味であるようです。

「それは身体を超えた知であり、不滅である。」

《会話データ》
20■■/■■/■■
なお、「あかねさん」の応答は■■研究員補助が筆記で書き写したものです。

研究員■■:あかねさん、少々お時間いただけますか。
「あかねさん」:野暮用なら別の蝶に頼んでいただきたいんだが
研究員■■:いいえ、我々はあかねさんのことが知りたいのです。なので、申し訳ないのですが。
「あかねさん」:……そうか。ならいいだろう。続けなさい
研究員■■:では、始めさせてもらいます。質問は全部で3つほどです。よろしくお願いします。
     まず、あかねさんの性質についてお教えいただければと思います。
「あかねさん」:データで確認された通り、だが、まあ、話そう。浮遊は我の大本の知性が飛べるからだ。我は知性のもとに永久に不滅であるとされたプシュケーである。よって、我はそれに関連した、というとなんだが、別の物体や生物を一時的に我と同一にすることが可能だ。はたから見たら破損しない、または染まらないように見えるだろう。まあ、生憎この身は綿と布だから効かないのだがね。
研究員■■:ぬいぐるみになる前は、自分を強化することも可能だったんですか?
「あかねさん」:ああ、かつて我はその言葉通り不滅だったのだ。しかしその頃は他人にかけることは出来なかったから、まあ、利点も欠点もそれぞれあるものよ。
研究員■■:そうなんですか。なにかきっかけでも?
「あかねさん」:……まあ、あの子だ。
研究員■■:蝶野さんですか。
「あかねさん」:あの子は不思議な子だよ。なんであんなに蝶ばかり集まってるのか、未だにさっぱりだ。今はもう協定を組んでるから、当たり前になってしまったがね。騒がしいが、それも一興だ。
研究員■■:そうですそうです。協定のことについてお聞きしたくて。どうやら役割を分担していらっしゃるようじゃないですか。
「あかねさん」:……誰から聞いたんだ?
研究員■■:ひめちゃんさんから。
「あかねさん」:全く、ヒメジャノメも口が軽すぎだ。いいか、
研究員■■:はい。
「あかねさん」:本人にばれないようにしてくれ。悩まれたら困る。
研究員■■:それはその通りですね。もちろん、情報の扱いはしっかりしておきますので。
「あかねさん」:よろしく頼む。
       では、お話しよう。我々8匹は彼女のために協定を組み行動している。まずはしろもるふぉだ。しろもるふぉは、彼女のもとに留まるよう決まっている。彼は古参だし、あみも一番心を開いている。能力も向いているからな。もししろもるふぉが壊れることがあったら、それはあみ自身に危機が迫っていると我々は判断する。まあ、最近壊したあいつは宗教上の問題だったから、我が警戒解除通達をしたがね。
研究員■■:えらい皮肉ですね。
「あかねさん」:何故彼はわざわざ来るのか。理解不能だ。まあ、いい。
       他の物はそれぞれ自分に近しい概念に寄り添いつつ、何かあったら人形から離脱するようになっている。まあ、なるべく出ないほうがいいんだがな。我には当てはまる哲学人がいなかったのでこうして補佐をしている。
研究員■■:なるほど。蝶野さんのところにとどまらないのは、どうしてなんですか?
「あかねさん」:言ってしまえば、リスク分散だ。
研究員■■:……と、言うと。
「あかねさん」:ああ、分からないか。我々は耐久性がほぼ無だ。いつもなら、あみの技術も上がってるからすぐに作り直してくれる。でも、あの子に危機が迫ったとき、全員がその場にいて薙ぎ払われたら、我々はひとたまりもないわけだ。だから、別の場所かつ近くにいるようにしている。
研究員■■:ああー。聡明な判断ですね。なるほど。
「あかねさん」:まあ、あの子にはみんな好き勝手してるように見えるだろうな。そういうわけなんだ。
研究員■■:ありがとうございます。では、最後のしつもんです。
「あかねさん」:ああ。
研究員■■:貴方にとって、あみさんはどんな人、ですか。
「あかねさん」:……
研究員■■:あ、もしあれでしたら、
「あかねさん」:大丈夫だ。……我々は責任を取らないといけないんだ。あの子の。
研究員■■:責任、ですか。
「あかねさん」:ああ。……あの子は今、幸せそうか?
研究員■■:ええ。いつも快くお話をしてくれますし、元気そうですよ。
「あかねさん」:なによりだ。我は比較的最近あの子に出会った。そのころから、暗い顔でいることが多くてな。我に手伝えるのは分析のみで、解決それ自体ではない。
研究員■■:心配、なんですね。
「あかねさん」:だな。……幸せでいてくれているならいい。我々はなるべくその幸せを長くもたせ、不幸を退けるように満たすしかないのだ。それが、責任だ。……言えないが、我々はあの子に対して取り返しのつかないことをしてしまったんだよ、残念ながらね。
研究員■■:……言えないんですよね。
「あかねさん」:さすがにな。これでいいか?
研究員■■:はい。本日はどうもありがとうございました。
「あかねさん」:ああ。
《会話データ終了》


《事案3》

当ぬいぐるみ「こちゃばねせせり」、愛称せせりくんは、20■■/■■/■■に制作されました。事案2にともない哲学人ドクサの元にあるぬいぐるみを調査しようとしたところ、「彼の足音とされる音」と共に何者かの叫び声が聞こえたことにより異常性が確認されました。形状はどこか一般的な「いぬ」を思わせるものであり、丈夫な素材で作られています。大きな口がついていることも特徴です。現在は哲学人ドクサの「おもちゃ」の1つになっています。能力としては、会話能力と、任意の情報における忘却の停止能力が確認されていますが、哲学人ドクサには通用していないことから人間のみであると考えられています。
あまりにも痛そうな為、代替となるおもちゃを用意することが考慮されますが、ぬいぐるみ本人が会話を試みようとしている為暫く処置は行いません。

「それは完全から来た知恵、それを我々に伝えるためのものである」

《会話データ1》
20■■/■■/■■ 12:30頃
このデータは哲学人ドクサの収容室にある監視カメラにより撮影されていたものです。

(ドクサの声と思われる犬の声)
「こちゃばねせせり」:「お前さっきご飯食べたなら昼寝しろおおおおおおおおおお!!!!!なんで今日にかぎいいいいいいいいいい」
(ドクサの声と思われる犬の声)
「こちゃばねせせり」:「ああああちぎれる!そこは丈夫じゃない!!!!!噛むなあ!!!!!」
(ドクサの声と思われる犬の声)
「こちゃばねせせり」:「そうそう、そっち、そっちね。おっけーじゃなあああああいいいいいいいそこはつなぎめだわあああああああああああ!!!!!!」
(ドクサの声と思われる犬の声)
「こちゃばねせせり」:「ぷぎゅっっ……踏むな!!!」
(ドクサの声と思われる犬の声が遠くなる。扉が開く音がする)
「こちゃばねせせり」:「……なんで犬なんだよ……おとなしいやつになれよ……。」
《会話データ終了》

《会話データ2》
20■■/■■/■■ 
哲学人ドクサの収容室外廊下で音声データを録音。

研究員■■:はいはい、あっちのひとに遊んでもらってねー
(ドクサの声と思われる犬の声と、走り去ると思われる音)
研究員■■:では、インタビュー、始めますね。よろしくお願いします。
「こちゃばねせせり」:おねがいしまーす。
研究員■■:まず、貴方のことについて教えてください。
「こちゃばねせせり」:えーっと、名前がよびにくいらしいのでせせりでいいでーす。概念的には、神秘主義かな、の、プシュケでーす。もとはプラトンの考え方から派生?してるとかよくわかんないけど、まあ、あかねさんとはそれなりに話が合うかな?ってかんじで。でも、僕はまあ、どちらかというと人に近めの位置にいるんであんなに強くないわけで。
研究員■■:なるほど、それで能力が忘却阻止なんですかね?
「こちゃばねせせり」:知識の流れの定着の一歩手前なのでそうなるんじゃないかと思ってますー。だからードクサさんのもとにー来たんだけどーなああー。
研究員■■:ははははは!まあ、彼は自分の意思でああなってるみたいで。
「こちゃばねせせり」:ええ……人間じゃん……ええ……
研究員■■:でも、戻らないんですね。
「こちゃばねせせり」:だって、もう、ね、ここまできたら意地ですよ。はあ。
研究員■■:そんな、変なところで張らなくてもー
「こちゃばねせせり」:まあ、やになったら抜けますよ。
研究員■■:そうですか。……次に行きましょう。貴方は、どんな役割を?
「こちゃばねせせり」:ん?ああ、あかねさんにでも聞いたんで?
研究員■■:そんなところですね。
「こちゃばねせせり」:まあ、そういうとこしっかりしてそうなので言ってもよさそう。まあ、この能力なんで、外敵への「念押し」と、必ず覚えておかないといけないことのリマインダー、ですかね?
研究員■■:……念押し……
「こちゃばねせせり」:まあ、そんなことないといいんですけどねー。今んところやったことはない、かな。
研究員■■:それはなによりですね、ええ。
「こちゃばねせせり」:普段は、例の協定内容とか、あみちゃんの情報とか、そんなんをちょうちょ同士忘れないためにちょっと使うくらいで。そんなもんですよ。まあ、使い道次第ってね。
研究員■■:たしかに、強力だからこそ、使い道によって、って感じなんですね。
「こちゃばねせせり」:そそ。本当はあかねさんのほうが僕のうん十倍強いです、まあ、なんか出し惜しんでるから僕のほうが凶悪に見えるんですけどね。あ、そうじゃんドクサさんに噛んじゃいけないところだけ覚えさせればいいじゃん。
研究員■■:……ドクサさんのことはどのくらい知っています?
「こちゃばねせせり」:ああ、若干聞きましたよ。覚えてます。あ、大丈夫ですよそこは。だって、あみちゃんの夢を壊すわけにはいかないでしょう?
研究員■■:それを聞いて安心しました。
「こちゃばねせせり」:僕らはあみちゃん第一ですからね。あみちゃんここのこと、好きみたいだし。
研究員■■:いいことですね。ところで、気になったのですが。
「こちゃばねせせり」:はい?
研究員■■:どうして、蝶の皆さんはそんなに蝶野さんのことを思って動くんですか?あまりにも、献身的というか。
「こちゃばねせせり」:あー確かに不自然かもですね。まあ、みんなに優しくしてくれるいい子だからってのももちろんですけど。でも、みんな理由があって優しくしてる。僕らは同じことを考えているわけではないので、そこは別々に考えてるんじゃないかなあって思いますけどね。
研究員■■:では、あー、せせりさんでいいんでしたっけ。
「こちゃばねせせり」:おっ、さっそく。いいですよー
研究員■■:あなたはどう思っていますか?
「こちゃばねせせり」:……あかねさんが、後悔していたでしょ。
研究員■■:そうですね。
「こちゃばねせせり」:僕は、その行動については、僕らの最善だった、と、思ってますねー。
研究員■■:後悔はしていない、と。
「こちゃばねせせり」:そうだなあ。でも、善意がうまくいかないことだってあるじゃん、そういうことだとおもいますよー。僕があみちゃんに優しくするのは単純にあみちゃんがいい子だからって理由が一番です。ま、多少の同情とか責任とかもありますけど、そんなに悩んではないかなあ。なんか、楽しいことがあるとオッケーにしちゃうたちなもんで。
研究員■■:そうですか。それにしても、せせりさんって意外と頭がいいんですね?
「こちゃばねせせり」:意外とってなんですかね意外とってー。あ、叫んでばっかだからか。
研究員■■:大正解です。
「こちゃばねせせり」:ほんとわんこ野郎、どうしよっかなああああー
研究員■■:あははは。では、これで終了にしますねー
《会話データ終了》



《事案4》

当ぬいぐるみ「ひめじゃのめ」、愛称ひめちゃんは、20■■/■■/■■に制作されました。事案にともない哲学人パウリ効果の元にあるぬいぐるみを調査したところ、彼と会話したとの証言により異常性が確認されました。形状はどこか一般的な「うさぎ」を思わせるものであり、大きな目と大きなみみが特徴的です。現在は哲学人パウリ効果のもとで会話相手になっているようです。能力としては、半径5メートル以内の人物との意識共有、テレパシー、記憶共有などですが、距離によって異なります。パウリ効果内でも壊れないため、これらのぬいぐるみは機械的な性質で動くものではないことが確認できます。
哲学人パウリ効果の周りを跳ねる姿が目撃されています。また、耳のような期間で哲学人パウリ効果の頭を撫でる様子も確認されています。

「それは考えること、判断すること、意識そのものである」

《筆記データ》
20■■/■■/■■ 16:30頃 担当■■
「ひめじゃのめ」は哲学人パウリ効果の周りを飛び跳ねている。哲学人パウリ効果が手招きすると傍にはねていき、しゃがんでいる膝の上に乗る。そのまま撫でられているが、嫌がらずむしろ心地いいようだ。哲学人パウリ効果が本を読んでいる間も「ひめじゃのめ」はそこにとどまり、本の内容に関して二人で会話しているように見えた。

20■■/■■/■■ 13:50頃 担当■■■
哲学人パウリ効果が部屋の中で一人で話しており、不審に思ったので話しかけたところ、近くに「ひめじゃのめ」を発見。機械類の有無を確認し、収容室内入室の許可を得て近づいた。哲学人パウリ効果が私のことを紹介すると、「ひめじゃのめ」は耳で近くに来るよう促した。1メートルあるかないかくらいの位置にて「はじめまして」の挨拶がテレパシーとして聞こえた。声の印象は子供。正直、可愛い。この日は世間話程度に終止。

20■■/■■/■■ 18:25頃 担当■■
「ひめじゃのめ」にインタビューをする機会を作りたいと哲学人パウリ効果に相談。同意を得られたので■■/■■に実行する。「ひめじゃのめ」も哲学人パウリ効果が大丈夫なら時間を設けてもいいとのこと。「ひめじゃのめ」の提案により、クイズブックや脳トレパズルの購入を検討。曰く「親元はパウリさんなんでしょう?だったら本だけじゃなくて計算とか理論とか好きかもしれないよ?あと、みんなでクイズ大会しても楽しいかもね」とのこと。

20■■/■■/■■ 14:30頃 担当■■
適度な運動を促すよう、エクササイズの本に従って一日30分ほど動いてもらっているが、今日は「ひめじゃのめ」も参加。耳しか動かないけれど。

20■■/■■/■■ 18:10頃 担当■■
発熱し寝込んでいる哲学人パウリ効果の代わりに水分、食事、氷嚢の取り換えを伝達してくれた。耳は思ったより器用に動く。
《現在ここまで》

《会話データ》
20■■/■■/■■
なお、「ひめちゃん」の応答は■■研究員補助が筆記で書き写したものです。

研究員■■:では、ひめちゃん、よろしくおねがいします。
「ひめちゃん」:おねがいします。
研究員■■:まず、貴方のことを教えてください。
「ひめちゃん」:ひめじゃのめ、っていいます。本体はちょうちょで、えっと……
研究員■■:緊張してます?
「ひめちゃん」:なんていうか、おもいつかないです。
研究員■■:じゃあ、聞きたい情報を分けて聞きますね。まず、貴方はなんのプシュケですか。
「ひめちゃん」:えっと、心理学です。認知、だったかな。
研究員■■:では、能力とか、考え方とか、ありますか?
「ひめちゃん」:えっと、んー、その人と同じ考え方ができます。へへへ。
研究員■■:ほう、それが原点である、と。
「ひめちゃん」:ええ。近づくと、私の声も聞こえるようにはなりますが、おもに相手のことを知るためのものです。それで、いっしょに考えます。
研究員■■:なるほど。ひめちゃんは、相手のために動くことが多いんですか?
「ひめちゃん」:そうかなー、もともと蝶々軍団は、人のために頑張る人がおおいですよ。
研究員■■:そうなんですね。皆さんとは、いつもはどんな感じですか。
「ひめちゃん」:みんな、それぞれやくわりにそって動いているから、かかわりのあるひとと、ないひととーありますよ。
研究員■■:役割?
「ひめちゃん」:あ……。グループなので。
研究員■■:……蝶野さんには秘密にしますね。
「ひめちゃん」:よかったーーーありがとうございます
研究員■■:仲がいい人は?
「ひめちゃん」:へれちゃんとしろちゃん、あとーやまきーさん。ほかのひとは、緊張しちゃうのでー
研究員■■:なるほど。じゃあ、ぐるーぷでのー「役割」は。
「ひめちゃん」:うう……情報伝達です。
研究員■■:詳しくお願いします。
「ひめちゃん」:なんていうかー、そのー私がみんなから受け取るのが一番早いので、それを横流ししたり、警告としてみんなに伝え直したりしてます。
研究員■■:なるほど、かなり疲れそうですね。
「ひめちゃん」:つかれますよー。やまきーさんにはそのたびお世話になってて。やさしいし頼りになります。えへへ
研究員■■:やまきーさんの能力は、回復関係でしたもんね。
「ひめちゃん」:そうです。あ、あまりいいませんよ?
研究員■■:はいはい。じゃあ、最後の質問です。
「ひめちゃん」:はーい
研究員■■:あなたにとって、蝶野さんはどんな人ですか。
「ひめちゃん」:あみちゃんは、大事な友達。抱え込みやすいから話す人がいっぱいいたほうがいいかなっておもう。
研究員■■:じゃあ、今の環境はいいと。
「ひめちゃん」:うん。
研究員■■:わかりました、今日は、ありがとうございました。
「ひめちゃん」:はーい。


《事案5》

当ぬいぐるみ「やまきちょう」、愛称やまきーさんは、20■■/■■/■■に制作されました。事案にともない哲学人永劫回帰の元にあるぬいぐるみを調査したところ、調査した研究員を含め不調が改善されたため異常性が確認されました。形状は不定形であり柔らかさを感じさせるもので、ハート形のワッペンが三箇所にあり、特徴的です。現在は哲学人永劫回帰の部屋の棚に置かれています。能力としては、半径5メートル以内の人物のセロトニン分泌量の増加(その後後遺症もなし)、身体的不調の改善などがあげられています。哲学人永劫回帰からは、「なんだかほっとするようになりましたね。だいたいこのくらいの時期でしょうか」との発言がありました。
触れると人肌のように温かさを感じることができます。

「それは命の源であり、命が目的とし、きっかけとするものである」

《会話データ》
20■■/■■/■■
談話室にて
研究員■■:話せず、手を使用しないぬいぐるみたちとはどのように会話しているんですか。
蝶野さん:ああ、えーと、テレパシーをする子もいるし、そうでない子もいたりはしますね。あんまり話さないというか。
研究員■■:なるほど、蝶野さんとは会話できるんですね。
蝶野さん:あと、蝶々同士もお話しできてるみたいですよー。だから、多分、ほかのぬいぐるみと一緒に対話させれば教えてくれるんじゃないかなーって思います。
研究員■■:ほほう。わかりました。では、どのようにするかまた連絡しますね。
蝶野さん:はい、分かりました。

《事案6》

当ぬいぐるみ「ヘレナモルフォ」、愛称へれちゃんは、20■■/■■/■■に制作されました。事案にともないマクスウェルの悪魔の元にあるぬいぐるみを調査したところ、異常性が確認されました。形状は大福、柔らかさを感じさせるもので、市販のクッションとよく似ています。現在は哲学人マクスウェルの悪魔とともにいます。能力としては、相手の思うことを理解し、転がることによって判断すること、会話における伝達の完全化などがあげられています。哲学人マクスウェルの悪魔を慰めるような行動、本人の憶測に対するイエス、ノーの提示などが記録されています。また、もともと内向的な性格である彼には正式な理解を得られるようになるため非常に有意義なようです。

「それは内面であり、外面からの影響をうけるものである。」

《追記》
20■■/■■/■■現在ぬいぐるみ本体の異常性が消失しています。それに関して、当哲学人からは哲学人のところに戻ってきているので心配はいらないという連絡がきています。


《事案7》

当ぬいぐるみ「もんしろちょう」「もんきちょう」、愛称もんちゃんときぃちゃん、は、20■■/■■/■■に制作されました。事案にともない哲学人既在・到来の元にあるぬいぐるみを持ち込んでもらい調査したところ、異常性が発現されました。形状はどこか魚を思わせるもの同士で、「もんしろちょう」は中型、「もんきちょう」は小型で、その名の通り白色と黄色です。現在は哲学人既在・到来とともにいます。能力としては、「もんしろちょう」には精神安定作用が、「もんきちょう」には有毒物質の無効化、真実と虚偽の識別直感、信仰心の増加などがあげられています。なお、「もんしろちょう」と「もんきちょう」の距離に乗じて能力は変動するようです。哲学人既在・到来に寄り添う姿が目撃されています。
なお、「もんきちょう」は相対する概念であると、当哲学人が発言しています。

「それは命であり、息であり、ひとである。神のちからではない。」

《事案8》

当ぬいぐるみ「るりたては」、愛称るりくん、は、20■■/■■/■■に制作されました。事案にともない哲学人に問い合わせたところこの一体のみ発見されませんでした。プシュケ本人に問い合わせたところ、ぬいぐるみをもっているのは職員もだが、どれに「友人」がいるのかは彼らに任せているとのことなので内密に調査をしました。その結果、哲学人行動学者、路鹿氏のもとにあるものがそれであると判明しました。持ち込んでもらい調査したところでは異常性が発現されませんでしたが、その後、路鹿氏が異常性を確認しもう一度調査したところ、確認されました。形状はどこか熊を思わせるものですが、青色で、左右の目が異なる形状をしています。能力はいまだに明瞭ではありませんが、持っているときの路鹿氏の主体性が向上したように見えます。が、現在確認中です。観測記録としては、業務における「質問」の増加が確認されています。
食事や睡眠の際、隣にくるそうです。

「それは知と徳の座、である。我々はそれの世話をすることによって、考え、行動し、
≪よく生きる≫ことができるのである。」



《事案1》
20■■/■■/■■、哲学人神は死んだが当哲学人を人間と誤認したまま接触し、ぬいぐるみ「しろもるふぉ」を破損させました。その際、当哲学人が感情的になることが確認されたほか、任意で許可を通し置かせてもらっている防犯カメラには彼女の後ろに一瞬「青く光る白い蝶の羽」が確認されました。その際、「あかねあげは」が一瞬能力を行使した様子が確認されています。哲学人神は死んだは、その様子を確認したと思われますが、詳しいことは判明していません。


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