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紙吹雪が舞っている

@evui_kikaku
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2019-05-16 19:35:41

お名前だけお借りしました。
たまがわさん宅ねむちゃん
もへじ宅無崎ちゃん

今日はヘルメスに言い渡されていた『謌サ』をお札に書く作業を行っていた。どうして雨も降ってないのにアルバイトへ行かず、コンテナににこもってそんな作業をしていたのかは、理由はあんまし覚えてない。気分が向いたからだったし、少し休みたいからだったし、いろんな理由が複合した結果のことだった。
50枚ほど書いた辺りで、一旦ペンから指を離して伸びをする。机に向かってこんこんと何かを書くのは慣れているのでそれほど疲れてはいなかったが、訳の分からない文字を目的も分からないまま書くのは精神的にだるい。息抜きのためにそのまま立ち上がって、外へと出る。目を休めるために適当に見上げた先には、何故か紙吹雪が舞っていた。

「何だありゃ……」

そこはビルの屋上で、何で紙吹雪が舞っているのかとよく見てみる。なんだかやけに細長い……、さっきも見たので気が付いたが、あれお札か?あんなところで書いてる奴がいんのか……。案の定紙は風に攫われてビルの屋上から次々と飛び降りていく。結構な枚数だ。折角書いただろうにもったいねーの。
後で拾ってやろうと思って、どのあたりに多く落ちたかを探る。まだまだ紙は舞っている途中だから、とりあえず今の分が落ち着くしたら拾いに行こう。
ビルに近づきながらぼんやり屋上を眺めていると、人影が現れた。ここからではよく見えないが、女子の制服を着ていた。こっちを指さして何かを示してる?いや、こっちというか、多分ビルの下を指さしてるのか。後ろからもう一つ人影が出てくる。ものすごく目立つ色のヘッドフォンをしているので、彼女は分かった。鎌倉ねむだ。もう一人の女性生徒が指さす先を覗き込むようにして見ている。紙の落ちた先を探してるのか?
2人はしばらくビルの下を眺めて、気が済んだのか引っ込んだ。紙の行方は大体検討がついたらしい。その頃には舞い散るお札はほとんどなくなっていた。屋上では舞い散った分の続きをまだ書いている事を考えて、途中で重しを拾っていくか。今度はもう飛ばされないように。
屋上を眺めながらゆったりとビルへ向かう。また人影が出てきた。今度は鎌倉が、ビルの淵にッ……!?
驚いている間にもう一人の人影も出てきたが、その立ち位置は鎌倉のすぐ前。今から鎌倉を突き落とす意思表示にしか見えねえぞ!?
ゆっくりと進めていた歩を駆け足に帰る。2人からなるべく目を離さないように走るから変な所で躓いたりしながらも、ビルへと走る。2人は未だ淵にいた。もう一人はほとんど動かないが、鎌倉は何かを訴えるように話している様子だった。命乞いにしては長いが、ただのおしゃべりにしては切迫した雰囲気で場所が物騒すぎる。近づいても近付いても声は聞こえない。当たり前の話だが、ひどくもどかしい。
体力がないながらも必死に走る、走る。そのお喋りを着くまで続けてくれと願う傍らで、冷静な自分がそれは叶わないという。だからスピードをあげた。呼吸が苦しくなってきたとかわき腹が痛いとかそんな事言ってる場合じゃなかったから。ようやく2人の顔が認識できる程近くに来て、もう一人の顔も判別がついた。あれは、無崎だ。
気付いたと同時に無崎が鎌倉を、押した。聞こえないはずなのに「どん」と音がした。さっきまで舞っていた紙と同様に、鎌倉はビルから落下する。俺の立っている場所はまだ少しビルに遠く、ちょうど鎌倉の横顔が視えた。彼女の表情は、どうしてか安堵しているようにしか見えなかった。


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猫健忘症末期患者
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