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縮緬問屋旅愁 / かりそめ御寮

@yuri_neko_0
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2019-08-03 21:34:30

Twitter300字SS様への参加作品2本です。当月のお題「旅」

『縮緬問屋旅愁』

 西山荘を出て半月。新の脚絆や手甲も馴染み、旅は「節介」を挟みつつ続いた。

「ご隠居、腹が減って動けませんよ、もうそこの旅籠で休みましょうよぉ!」

 八兵衛の涙声が宵空へ響く。日の高いうちから、些か歩けば「団子食べましょう」と一服をねだる八兵衛だが、その頼みは毎度聞き入れられてきた。

「八っつぁんは相変わらず食い気だこと」

 お銀は笑い、胸の底ではなんて和やかな旅路かと改めて思う。
かつて光圀公を狙わんとした己をも、老公と一行は──いや、ご隠居と皆は、食い気一方の八兵衛と同じく、拒まず迎えてくれたのだ。

「では宿へ訊いてごらんなさい。夕餉は何でしょうなあ」

 八兵衛と並んで軒をくぐる光圀へ、お銀は密かな礼を捧げた。


(表題含まずで300字)


――――――――――――


『かりそめ御寮』

 旅姿のまま小雪は、旅籠の座敷に運ばれた二人前の夕餉へ礼を言った。その声は、己も驚くほどこわばっていた。

「それでは怪しまれる。我らは『夫婦』だろう」

 半合羽を脱ぐ佐助の咎めに、小雪はさらに身を固くする。

「はっ、しかし……」

 遠国御用の道中、身分と台命を秘すため男女の隠密は夫婦を装う。夫婦なれば訝られず済む故だが、いざひとつ部屋へ二人、横には床も延べられているのを見れば竦んだ。いくら仮の話、佐助に外道な企みなどないと信じていても、共寝など、と怯めば、

「上様の庭番であるお前に手を出す筈もない。明朝に障る、早く休むことだ」

 軽く頭を撫でられる。その忠言に、小雪は肩の力がほどけ、次いであえかな寂寥をおぼえた。


(表題含まずで300字)



 『縮緬問屋旅愁』は、テレビ水戸○門第二十三部の二次創作で、かげろうお銀の話です。「旅」といったらこのご隠居ご一行の諸国漫遊世直し旅ですよ!
 子どもの頃、自分は明治生まれの祖父といつも一緒だったため時代劇が大好きになりまして……水○黄門は東野さん版も西村さん版も好きですが、この話の時期の佐野さん版も好き。原作ではお銀→助さんですが、個人的には飛猿×お銀がツボです。

 『かりそめ御寮』こちらは暴れん○将軍7の二次創作で、上様の御庭番である小雪と桐原佐助の話です。暴将は御庭番ごとに同僚との距離感や上下関係の違いがあって、また熱いんですよね……。
 小雪は佐助を「佐助殿」と呼んでいて、佐助の方は小雪が気づいていない時に肩口を小突いたりとかしちゃうんですが、そこはかとなく……とても……よい感じでして……。
 いつか暴将御庭番アンソロとかやりたいです。本気で。


 ★2019年8月25日ちょこっと文芸福岡内折本フェアさん委託参加します。参加折本は『ばあちゃんと花 ぱーと2』、当方の祖母と花との思い出エッセイになっています。
 次回、一次創作イベントは2019年10月12日テキレボ9です。テキレボ新刊は西洋風ハイファンタジー予定です。→webカタログ https://plag.me/c/textrevo09/2074



@yuri_neko_0
猫宮ゆり*自家通販中+テキレボEX etc
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