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IF 獅子の騎士時空 指ポロリ回

@sin_niya_b
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2019-08-08 00:37:07

 ──己の指が、切り飛ばされるのが見えた。その直後に傷口を焼かれるような激痛。
 しかし男はまったく怯まず、指が揃っている方の手で相手の喉笛を鷲掴みにした。そのまま思いきり体重をかけて押し倒し後頭部を床へ打ち付け、胸に膝で乗り上げる。
「サイモン、布!」
 はっと我に返り駆け寄ってきた青年は取り出した布を男の手へ当てようとしたが、頭を振られる。
「違う、口!」
 なにか言いかけるも結局は言わず、青年は布を丸めると朦朧とした様子で床に縫い止められているジェラルド・バイロンの口へとそれを押し込んだ。自決防止だが、あまり必要はないだろう。
 ゆっくりジェラルドの胸から降りる男の右手から、指が二本ほど消えている。断面から血は出ていない。その代わり、肉の焦げる臭いがしていた。
「ヘルムート卿、」
 ジェラルドを拘束していた青年が、なにか小さな、ウインナーのように見えなくもないものを床からそっと拾い上げる。男は静かに頭を振った。
「傷口を焼かれた、もう無理だろう。捨てておけ」
 青年に背を向け、床に転がっている己の戦鎚を拾おうとする男。三本だけの指で持ち上げようとすると手が震え、ある程度持ち上がったところで滑り落ちけたたましい音をたてた。
 男はなにも言わなかった。青年もまた。
 ただ、大きく深呼吸をした男の唇は、少し震えているようだった。その震えは一瞬で止まったため、恐らく誰にも気付かれることはなかったが。
「だから生かすのは殺すより難しいって言ったんだよ、まったく」
 何事もなかったかのように指が全部揃った方の手で戦鎚を拾い上げ、男は笑顔で青年を見た。
「じゃ、そいつ連れてあいつのとこ帰るか」
「はい」
 ジェラルドを引っ張り立たせる青年。ようやく意識がはっきりし始めたらしいジェラルドは、男の方を見た。男がそちらを見ることはなかった。


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新矢 晋@企画用
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