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夢で逢えたら

全体公開 2895文字
2019-08-10 19:05:44

Rエツィオ×Eエツィオ

Posted by @acbh_dmc4

ここはどこだろう辺りは暗く、とても冷たい何もない空間が広がっている。
温度はない筈だが、ぶるりと身を震わせた。
暫く呆然と辺りを見回し、己の置かれた状況を分析するが、前後の記憶を呼び起こしても特にこれと言って特別な事はなかったと思う。
ではこれは夢なのかと思うが、それにしては感覚もしっかりとしていて現実感がある。

どうしたものか、一先ず何かが見つかるまで歩いてみるかと一歩を踏み出した処で、目の前が急に光輝きだした。
眩しさに手を翳し、目を眇めてその光が何なのか確かめようとする。

するとその光は調度私と同じくらいの人の形を模していき、ついには見覚えのある姿となって目の前に出現した。

「エツィオ、か
導師?」

目の前に10年ほど前の私が、ポカンとした顔をして佇んでいた。
己の過去とはいえ、愛しさに胸を締め付けられる。
対する過去の自分も同じように思ってくれているのだろう、甘苦しく切なさに相貌を崩し、その震える腕を伸ばして私を抱きしめてくれた。

「夢でもいいずっと貴方に逢いたかった」
「ああ、私も暫くぶりだな」

ぎゅうと力強く抱きしめてくれる彼を抱き返す。
昔はこちらが追うばかりで、振り返らなかった事を思うと感慨深い。
最期に互いに心を寄せて、僅かばかりの時を過ごして以後、随分と寂しい思いをしたものだ。
それでも進んでいかねばならぬと、私は前を向き、己の目的を果たしたのだ。
ああ、これが夢だったとしても良い。また逢えたのだ。
しかしまだ現役然とした厚みのある体躯に内心で驚く。あれから10年程は経っているが、こうも差が出るものかとどことなく寂しい気持ちがわく。
年を取ったものだと過去の自分に抱きしめられながらしみじみと感じていると、するりと滑らせるように舞い降りたエツィオの手が、私の尻に這わされた。
これは夢なのだろう。私にはこんな風に出会って心を通わした記憶がないのだから。
体験してきた事ならば、私はこのエツィオの年齢で導師と睦みあった事を覚えている筈なのだから。
少しだけ寂しい思いが胸を過ると思ったのだが、その間もなく目の前のエツィオに唇をふさがれた。
熱く情熱をぶつけるようなそれは、かつてあの人から奪われるように愛された時を思い起こさせた。
思わず殺しきれない笑いが漏れ出す。
それに気づいたエツィオが恨みがましく私を見つめた。

「すまない。いつもと逆だと思ったのだああ、私はお前にこんな風に愛されたかったのだな」
「どれだけ恋しかったと思っているのです。貴方に逢えないことが苦しくて、寂しかった
「私もだ、エツィオずっと逢いたかった」

そう言って微笑めばエツィオは切なさに泣き出しそうな顔をして、また私を掻き抱いた。
まるで身の内に取り込もうとするかのように、力いっぱい抱きしめられる。まるでこの腕の中で溺れているようだと、甘苦しく体を締め付けられる。

「愛している」

耳元で掠れた涙声がまるで赦しを請うように愛を囁いた。
まるで迷子のような、心細くて堪らないと震える愛しい身体を力いっぱい抱きしめて、宥める様に背を撫でる。

「私だって、ずっとずっと言っていただろう?お前を、ずっと愛していると」
「ええええ、そうでしたそうでしたね」

その顔を見せてほしくて、ポンポンと背を叩いて見せるが、情けない顔を見せたくなくてか、縋り付くような抱擁が解かれる事はなかった。
動かせる首を引いて、愛しい彼の米神や頬に口づける。
わざとリップ音を立てて耳たぶに口づけてやれば、ようやくその愛しい顔を上げてくれた。

「貴方に愛されていることを実感したい。有体に言えば、貴方を抱きたい」
「!」

暫し驚いて彼を凝視してしまう。
何度か意趣返しの一環か、下克上を目論んだことはあったが、彼と触れ合う中で、刻みつけられた習性のようにやはり最後まですることはなかった。
今回もその流れになるかとも思ったが、しかし私が持たないだろうと思い直す。
やってやれないことはないのだが
両肩にエツィオの手が添えられた。真剣な顔が彼の本気を私に伝えた。
ゆっくりと同意を得る様に唇を重ねられる。

「今回は途中で止めたりしません」
「そうしてくれると助かる。私はお前を満足させてやれないだろうからな」

目の前のエツィオは複雑そうな顔で微笑し、優しく私の腰を引いた。
互いに夢中で唇を貪り、互いの存在を確認し合うように体を掻き抱き、そして肌に触れた。
互いのローブは脱がせるのに些か色気にかけ、私は思わず失笑したが、私に早く触れたいと余裕のないエツィオは、まるで獲物を狩る狩人のように鋭い瞳に熱を込めて私を見つめていた。
愛しさの嵐が心を吹き荒れ、そして甘い幸福感が私を優しく包み込んだ。
彼の掌は熱く、そして体中を愛撫してくれた。
私も彼に触れたくなって、私よりも逞しいその肢体に触れる。
年を取って萎れたような私とは違い、張りのある筋肉を纏った太股を撫でると途端に心を怖気が走った。
衰えた私は、彼の目にどう映ったのだろうか?失望しただろうか?興覚めしてしまうのではないか?
疑い深い心が、相手の見えない心に恐怖し、怖気づいた。

「何を恐れているのです?泣き出しそうな顔だ

エツィオの言葉にビクリと肩を揺らした。
失望しただろう彼の顔を見たくなくて、私は顔を伏せたまま、いつでも彼が止められるように口を開いた。

「私は、随分衰えた
「ええ、私の腕にすっぽりと収まってしまう。以前はこの腕に私が収まっていた。
でも、今は私が貴方を逃がさぬようこの腕に閉じ込める事が出来る」
「皴も多くなったし
「それでも貴方は美しい」

何を馬鹿な、と思わず呆れて彼の顔を見上げた。
そこには熱に浮かされたままの、私を愛しいと見つめる瞳が一対優しく見下ろしていた。

「貴方だって今の私のように導師を愛しいと思っていたのでしょう?ずっと恋焦がれていたのです」
「私は、お前の頃にこうして導師と睦みあった記憶がない。だから、お前の心は私にはわからない」
……そうなのですかですが、少し考えればわかる事です。もし貴方が導師に再会できて、こうして抱きしめることが出来たらどうです?衰えたからと言って萎えますか?」

柔らかく笑うエツィオに心が解れていく。

「私は悪食ではなかったはずなんだがな」
「何を今更導師、煙に巻こうとしても逃がしませんよ。今は私の方が上だ」

にやりと意地悪く笑みを浮かべるエツィオに、もしや今までの意趣返しをされるのかと肝を冷やす。
だが、どんな風に求められても、きっと私は慶び彼を受け入れるだろう。


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