@acbh_dmc4
俺は生まれてこの方40数年、男色とは無縁で生きて来たし、これからだってその予定だった。
男相手に誘われる事は多々あったが、黙殺するかへし折るか抹殺してきたものだ。
いくら見た目が良くても自分に生えているモノと同じモノが目の前に現れれば絶対に萎える自信があった。
俺は女性が好きだし、触れるなら美しく柔らかくて滑らかな肌以外はお断りだ。
たとえそれが酒が入っていて冷静な判断が出来なかったとしてもだ!
それなのに……
「………なんでこうなったんだ…」
朝目が覚めて目の前にある逞しい胸板を眺めるのが嫌で、思わず両手で顔を覆った。
すると頭上で落ち着いた苦笑の声が零れ落ち、裸の男の腕の中で軽く抱き寄せられて額に口づけが落とされた。
「私も多少酔っていたとはいえ、まさかこうなるとは…が、思いの外…良かったぞ」
昨日の記憶がないわけではない。ぼんやりと思い出す男とのただならぬ時間は、不快感よりも身が疼くような気恥ずかしさと快感をもたらした。
まさかこの俺が男となんて想像もしていなかったし、なんの抵抗もなく最後まで許すなんて誰が予想し得ただろう。
また同じ体であるからか的確に攻められるイイ所への刺激を思い起こすと、あれだけ睦みあったというのにまた体に熱が灯ってしまいそうだ。
思わず顔を隠す様に男の胸に顔を埋めると、ゆっくりと落ち着いた心臓の音に、何故だか少々落ち着きを取り戻せた。
「嘗ての自分にときめく時が来ようとは、人生は分からないものだ。見目が良いのは自分でも自覚していたが、傍からどう見られていたのかを知れたのはいい機会だった。しかしもう人前であのように酔うものではないぞ?
あれでは襲われても文句は言えん」
「……貴方は酔っていた時に襲われたことがあるのか?」
「…あるが、へし折ってやった」
ナニを、と問う間もなく、髪を後ろに引かれて彼に熱く口づけられる。
これは男が言ったようにへし折った方が良いのだろうか…とぼんやり思ったが、その前に彼の舌技で完全に欲を刺激され、また彼に触れられる事を望んでしまった。
「随分元気なんだな。生涯現役ってやつか」
「いつだって求められるものでね」
不遜な笑みを浮かべて俺を組み敷く男に、こちらも対抗するように皮肉に嗤って見せる。
不埒な掌が俺の体の線をなぞり、俺が好んでするようにゆるりと快感を引き出す触れ方で欲望を育てていく。
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