@takonsm
これは赤羽銀と自転車で転んで足擦りむいたその辺の少年との公園での激闘の物語である……!!
opening/舞台の由縁
「うぇーん! うぇーん!! 足擦りむいちゃったよー!! 痛いよー!!!」
「そうか! じゃあまず怪我の手当てするぞ! 良いものはあったか……!?」
「もう自分で手当てしたよ」
「最近の子供は行動が速すぎる」
「でも悲しいんだ! 痛いんだもーん! うえーん! うえーん!」
「そうか……じゃあ風呂を覗きに行くしかないな……」
「それは軽犯罪法1条23号の「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」に該当するからやめた方がいいよ」
「最近の子供は頭が良すぎる」
open/自賛のナルシズム
「でもまあ、ちゃんと自転車こいで家まで帰れるのか? 俺が自転車押してやってもいい」
「100m走9秒58だから足腰めっちゃ凄いから大丈夫だよ」
「最近の子供は量産型ボルトすぎる」
「お兄ちゃん"最近の子供は"が口癖なの?」
「お前がヤバいからだよ……」
middle/鳴り物入り
「天才少年現る! って触れ込みでテレビに売り込んでみようぜ? 売れるぜ、こいつは!」
「僕少年探偵役なんだけど知らないの? ああ、お兄ちゃんの寝てる時間帯だから知らないか、ハハッ」
「天才」
☆まさかの天才子役――!
battle/喝采せよ!
「……まあ全部嘘なんだけど、お兄ちゃん手伝ってくれる?」
「お前のその立ち位置は一体何なんだ」
「やっぱり自分で帰る~~」
「ええ……」
かくしてその辺の少年に敗北した赤羽銀の前に、謎の女怪盗が現れた……!!
名はクエストリア・ディフォー=ササンドラ! 黒い仮面を被った謎の女怪盗である!!
場所はその辺の路地である!!
Surrender/感情のペルソナ
「……あ。何か出た」
「そう、何か出たのである。それはこの俺、赤羽銀さんだったのだ!」
「ははは、笑ってるね」
「お前も笑ってるじゃないか。そういえば今度デートの一つでもどうだい、お嬢さん」
「ごめんなさいね。予定がいっぱいなの! またでいい?」
「……ああ。いいさ。しょうがないさ。はは、楽しいデートはまた今度だな」
「うん、次は貴方の四肢がもげて血反吐を吐きながら私に許しを請うた時だね。それまで許さないぞ☆」
「ナチュラルに怖」
かくして女怪盗に敗北した赤羽銀の前に、自転車をこぎながらゲートで転移してきた少年が立ちはだかる……!!
Escape/全世界は一つの舞台であって、すべての男女は、その役者にすぎない。
それぞれ舞台に登場してはまた退場していく。人はその時々にいろいろな役を演じる。
舞台は年齢によって七幕に分かれているのだ。
「お前頭おかしいんじゃないか?」
「「「「「「「お兄ちゃん程じゃないよ~~~」」」」」」
「その辺の自転車のガキがゲートから大量に転移されている!!!? 怖っ!!!!」
「「「「「「「「「「「「うえーーんうえーーん足擦りむいちゃったよ~~~~~~~」」」」」」」」
さ、最近の子供は……
「ぐおあああああああ!!!」
new game/
うねる自分に気が付くと、目覚まし時計が自身を叩き起こしていたことに理解した。
恐怖に淀む自分の胸を抑え、それから自分の額に手を添えた。
「はっ……夢か。……はは、怖かったな。何だよボルト並に走れる子供って。しかも分身するとか、ハハハハ」
呆然としながらスマートフォンを握りしめ、なんとなしに今日のネットニュースに目を通す。
今日のトップニュースはずばり、"100m走9秒58の少年、今年の大会足怪我の為自転車で参戦"
「何の大会だ? 何の大会だ!?」
漠然と動揺している自分を抑えて、冷静に物事を受け取る。
ニュースを良く読んでみれば面白いお兄ちゃんが手当てしてくれるって言ったけど断った、と少年の談がある。
「えっと……夢見てたんだよな。俺」
「どこから、どこまで……?」
赤羽銀は朝から情けない。