@umeshu0876
ガイアへとお金を持ち込んだ夜の王であったが、それらは全て使うことが出来なかった。
夜の王は完全無敵に路頭に迷ったのである。
「どうしよう……」
道の端へと優雅かつ荘厳に俯いて歩き、やたらと綺麗に切られた石へと座りこんだ。
これからの打開策をその思慮深い頭脳で考えるも、言葉は通じず身分を証すものはない、更には少女の身である。
偉大なる夜の王であっても難問であった。
「お腹すいた……」
その上、夜の王は空腹であった。
ガイアへの次元移動は結構な長旅であり、最初に作ってあった保存食も既に尽きている。
そのため、現地調達をするつもりであったのだが、使えなかったのである。
夜の王はどうしようもなく悲しくなってしまった。
「いいえ、ダメよ。次元旅団にも会えてないのに、悲しみなんかに負けてられないわ、私は夜の王だもの!」
夜の王は悲しみなどに負けることはない。
それでもどうしようもなく悲しくなってしまう時、彼女は歌を歌うのだ。
夜の王は立ち上がり歌い出す。
美しく楽しい歌声が、街の片隅を満たしていく。
……歌い終わった時、彼女の前には万雷の拍手を送る女がいた。
女は夜の王へと駆け寄り、身振り手振りで自らの望みと感動を伝える。
「……わたしの歌を買いたいってこと?」
身振り手振りを返す夜の王へ、女は大きく頷く。
しかし夜の王はそう安くはない、もちろん彼女の申し出を
「よくてよ!!!」
……断らなかった、夜の王はアイドルになった。