@chi_ma_cho
無惨が縁壱さんを化け物だと言う。
自分は化け物ではないと言う。
順番が逆だろう。
無惨のような出鱈目な御伽噺としか思えない存在がいるのなら、縁壱さんのような人が生まれてきてもおかしくはない。
自分が世界に君臨していると勘違いしている者は、往々にしてこんな思い違いをする。
闘いながらこんな雑念を浮かべるのは、縁壱さんに刻まれたその傷の位置が、すべて急所であるかららしい。
目視出来るようになったことを、縁壱さんに深く感謝したい。
夜明けが近いと知り、無惨は隊士たちの亡骸を踏みつけにして逃げる。
炭治郎は怒りのあまり涙を流しながら、彼らの刀を無惨に投げつける。
せめて彼らの遺した刀で、無惨に一矢報いてやりたいという気持ちが、痛いほど伝わってくる。
炭治郎の機転で愈史郎さんの血鬼術の紙を使い、伊黒さんも視界を得る。
共有するのは鏑丸の視界。
蛇の視界というと、サーモグラフィー画像の世界、プレデターさんと同じ視界である。
伊黒さんにはさぞかし新鮮だろうと思う。
というか、もしその目で甘露寺さんを見たら、代謝のいい彼女のことだから、全身が濃いオレンジ色のホカホカした対象物に見えることだろう。
ともあれ視界を得た伊黒さんと炭治郎は各段に連携が取りやすくなり、逃げようとする無惨をその場にかろうじて繋ぎ留められるようになった。
無惨は投与された薬の分解と並行して闘いを余儀なくされ、息切れを感じるまで体力が衰えてきた。
そんな時、とうとう禰豆子が、闘いの現場が見える高台にまで辿り着いた。
珠世さんとしのぶさんの開発した薬は、本当に完成していたようだ。
禰豆子の片眼は人間の瞳に。
すでに半ば人間に戻っているらしい。
果たして無惨に対抗できるのだろうか。
下手をすれば、無惨に取り込まれて奴に太陽を克服されてしまう。
だが逆に考えれば、禰豆子は人間に戻す薬を分解していない。
その効能がもしも継続しているとしたら、そしてその構造が他の鬼とは違う禰豆子の中で変化しているとしたら、無惨に取り込まれた時に分解も効かず、むしろより強力に効きはしないだろうか。
もしくは、弱った無惨を逆に禰豆子が取り込み分解し、無に戻すことが出来はしないだろうか。
表紙では、甘露寺さんが茶々丸の治療薬で回復を待っているようだ。
一人だけ状態がはっきりわからない不死川さんも、早く様子を教えてもらえたらと思う。
夜明けまであと40分。
苦しいが、ずっと見ていたい時間でもある。