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鬼滅の刃 第199話感想

全体公開 1227文字
2020-03-23 17:59:44

ネタバレ注意。自己責任でお読みください。

Posted by @chi_ma_cho

数多の人々や、自分が鬼にした者たちでさえ、何の躊躇もなく殺してきた無惨が、自身の死を間近にして、死に物狂いの抵抗をする。
それは今の無惨にしてみれば、善も悪も無い生物としての本能そのものの選択。
対して、その死を激しく願い命を懸けて滅しようと迫る柱、剣士、そして隠の人たち。
彼らには無惨とは違い、多くの想いがある。
愛する者たちを殺された身を切るような悲しみがあり、深い怒りがある。
3ページ目と5ページ目の下段の3コマに、それらを比較しやすい表現がある。
それぞれよく似たレイアウトの3コマに、炭治郎は心のありようを、無惨は肉体のことを言っている。
双方の大事にしているものが、解りやすく対照的に表されている。
鬼滅連載前のネームを拝見する限り、ワニ先生がいずれ主人公すら五体満足にしてはおかないだろうとは思いつつ、正直、柱たちまででそれは留めるのかも、と安易に考えていた。
先生が、主人公にも全く躊躇しない方であることを忘れていた。
無惨にも似た冷徹さで、描きたいものを存分に描く。
解っていても、やはり炭治郎の左腕がちぎれ飛んでしまったことは、痛い。
どうしようもなく。
片手で串刺した刀を赫刀にしようと粘る炭治郎に手を添え、共に束を握りしめる、右腕を失った義勇さん。
巨大な肉塊の赤子となって這い逃げる無惨に、本棚を落として行かせまいとする下級隊士たち。
車を駆使して逃げ道を阻もうとし、ややまごつきながらも決して引かない通常は戦いに参加しないはずの隠たち。
すでに肉体損壊の重傷を負いながら、今できる精一杯の闘い方で逃がすまいとする柱たち。
それでも無惨の生きる本能はそれらを退け、あらゆる方法で逃げようとする。
地面に潜り朝日から逃れようとする無惨に、中から炭治郎のにぎる赫刀がおそらく急所の一つに一撃を加えたのだろうか、叫び声をあげて潜りかけた身を起こし、朝日を浴びた無惨の肉体に崩壊が始まる。
だがその肉体は、実は着ぐるみのようなものではないだろうか。
一番核の部分が、まだ中で温存されているような気がする。
灼けて崩れ行く肉塊に包まれたままの、炭治郎の命は?
握りしめた刀は赫いままだが、その手には力がこもっているのか、それとも硬直した状態なのか、判別がつかない。
そして禰豆子は、彼女の体の組織は、本当に以前と同じものに戻れたのだろうか?
無惨は太陽を克服できず、禰豆子は克服していた。
禰豆子の血液から作った「鬼を人間に戻す薬」の効能にもし、太陽が鬼の細胞に与えるダメージと同じような作用があったとすれば、無惨の細胞には効いて禰豆子の細胞には効かない部分があるかもしれない。
それともやはり、禰豆子は無事完全に人間に戻ったのだろうか。
それはそれでも良い。
この戦いをずっと見てきた彼女の想いが、そこにあればいい。

泣きたくなるような結末が待っている気がする。
温かくも、哀しくも、優しくも。
それだけは、逃れられない気がする。


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