@harima___
「大丈夫、大丈夫、まだやれる、できる」
次のステップは右に半回転、後にジャンプ。何十回と繰り返した動きをしながら感情を殺す。
最早得られるものはもう何も無くなった。煌くようなインスピレーションも全て。
ただただ己の持っている物をすり減らしながら進む。
出来上がった傀儡を眺めながら、期待外れだと、無様だと言うように高みの見物をする皇帝を横目に。
ああ、一体何をしているんだろうか。
努力を身にし、美しく舞うセナを横目にふとそう思った。
「ありゃ」
「ちょ、れおくんッ!」
次のステップは左に三歩、前へ二歩。
考え事をしていたおれはそのまま右へと倒れた。
「わはは!スオー!緊張するのはいいけど、考え事をしていてうっかり足を挫くなーんてことにはなるなよ!」
「なっ!そんなことにはなりません!」
色々あった後、正式に迎えた新入りは熱心なようだ。昔の様な停滞している人間では無いことに安心した。
まあおれがいなくたって熱心だからこそアイツらが面倒を見ていたんだろうけど。
「ちょっと王さま!それアンタが過去にやらかした事だからね!」
「え?そうだっけ?ごめんごめん....♪」
ジャッジメント以来5人でのライブは以前に比べて少し増えたように思う。おれはもう引退したものだと思っているから表舞台にあまり立ちたくはないのだけれど。
あの時の戦争の日々を未だに思い出すことがある。毎日毎日曲を書き、浪費していく中でもがく最低で最悪な泥のような日々を。
その中で一等煌くおれの騎士を。
「なに、"れおくん"ぼーっとして。」
「いいや、何もないよセナ。今日も宇宙一キレイだな!!」
「はあっ!?やっぱアンタ今日おかしいでしょ!?なんか変なもの拾い食いしたわけじゃ無いよね!?」
「わは!じゃあそろそろ出番みたいだし行くぞー☆」
「ちょっと!待ちな!」
舞台袖は真っ暗で埃っぽくて、隣にセナが居て。あの日と同じだ。少しだけ違うのはスオーがいること。緊張しているのかおれの右隣で頬を赤く染めていた。
大丈夫、大丈夫、やれる、できる
おれも柄にもなく緊張しているのか、額がしっとりと汗ばむ。震えを抑えて前だけを見据えて。そんなおれに気づいたのか、そっと肩を抱いてセナはため息を吐いた。
「行くよ王さま。アンタの隣には俺が居るんだから怖がることなんてひとつもない。そうでしょ。あの日の続きなんかさせない。アンタを待ってるクソガキやファンだっているんだから」
(司が頬を染めてるのはreaderに認知の言葉を貰えたのと、一緒にライブが出来るからです)