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スキップカード。

全体公開 3445文字
2020-04-26 18:44:41

田町めぐみとカウンセリング。
空白が多すぎる。


突き飛ばされた勢いで前につんのめっておきた時ガタンと音がした。
「え」
足が地面について安定したけど何故か腕に固いものが当たって画面が急に明るくなって物がばっとあらわれた。
「あっ」
そのまま前に倒れそうになったのを誰かに支えられるけどこれだれ?!
「ひっ!!」
離れようと後ろに倒れたら何故か後ろに板がある待ってここは家じゃなかったっけ僕床にいたよな何これ?!
「まっ」
そのまま何故か身体が後ろに進んで前の手がついてきて
「田町君、田町君!」
あれ聞き覚えがある声だ。目をぱちぱちしたらぼやけていた目がちゃんと見えるようになる。……あれ?
………けん、きゅう……じょ?」
瞬きをすればするほど研究所の、よこの、カウンセリングルームの部屋だ。あれ、あ、前にいる人西湖さんだ。え、でも僕部屋で……
「うん。研究所だよ。」
……でも、僕
よくわかんない。夢?哲学人の仕業?知らない。でもここにいるってことは僕がやってたのは家じゃなかったの?助けでも呼んだっけ?いや、電話とかかけてないしあれ?
……………。」
「うん。色々わかんないだろうけど、まずは落ち着いて。」
……ひゃい。」
深呼吸をする。すったり、はいたり、すったりする。どうやら椅子に座ってたからこんな感じになっていたらしい。……周りは本当にカウンセリングルームみたいだ、……紅茶の匂いって思ったら、奥で蝶野さんが入れてたみたいだ。あれ、僕のとこに持ってきてくれた。
「はい!どうぞー」
「あ、ありがとうございます。」
「じゃー行ってきまーす」
「はーい、行ってらっしゃーい」
僕は何となく挨拶できなくて、頭を下げていた。蝶野さんはニッコリしていた。……ちょっとほっとした。
……。」
紅茶。いい匂い。僕がうつってる。紅茶も赤っぽいから僕の赤もそんなに目立たない。一口いれると、身体があったかくて、少し苦くて、お砂糖が甘い。美味しい。
ふと横をみたら、西湖さんも美味しそうに飲んでいた。
「蝶野さんの紅茶美味しいよねー」
「そう……ですね。」
きちんと笑えていただろうか。
紅茶のカップは震えてしまうので、両手で持つことにして。時計をみたら、お昼くらいで、のんびりした風が流れていた。
……少しは落ち着いた?」
「あの」
「なに?」
「これは、ゆめですよね。」
「急に哲学だなぁ。現実だよ。」
違う、僕はもう死んでいるはずで、こんなに穏やかにお茶を飲めることなんてなかったはずなんですよ。だからこれはゆめなんです。なんて、言えるわけもなかった。
どうして今僕は血塗れで部屋に倒れてないのだろう。
「まぁ、夢みたいなことは話さないといけないんだけどね。」
「?」
ゆめみたいなことって、なんだろう。
一応ちゃんと座り直して、ぱっとみたら、左手の切ったところはちゃんと塞がってて、ミイラみたいになってた。でも、結び方が蝶々結びみたいになってたり、ねじれてたりするみたい。
でも僕、巻いてないよなぁ。傷も縫ってあるし……
「田町君」
西湖さんが、真剣な顔つきなのは珍しい。
「はい。」
「今日何日だと思う?」
日付?えっと、昨日が4月の7日だから、ここに運ばれてきたりしたとして、
「4月の……8?とか、9とかじゃないですか。」
ああ、間違えたかな。困ってるみたいだ。向こう向いて、確認して。
言葉にしにくいみたいに、いつもより少し低い声でその人は言う。
……24日。」
「え。」
「今日は4月の24日だよ、田町くん。」
???
「よく、わからない、です……
よくわからない、よくわからない?そんなに長い間気絶してたのかな。でも、だったらなんで椅子にいるんだろう。気絶から起きるならベットだし……ん、えっと、研究は?
「田町君」
……はい。」
「君ね、携帯を見ればわかるんだけどさ、鈴城さんが何回か君の家に様子を見に行ってたんだ。……覚えてる?」
パッ、と携帯をとって調べる。先輩の、先輩のとこを開くと知らない会話が山のようにでてきて。遡る、遡って、僕のメールは前の使いまわしで僕っぽいけど、先輩の。先輩のところに、僕の知らない、僕、僕の知らない言葉がある。僕から送られた、え、送ってない。アカウントのっとり?いや、でも僕とくに連帯もしてないし、先輩の、知らない、こことここにくる日程と、返事してる?え、え、わ、わからない、思い出せない。知らない。
……おぼ、おぼえ………
こ、怖い。身体の震えが止まらない。携帯落とした。と、取れない。とれ、な、
「あー、はい、落ち着いて落ち着いて。吸って、吐いて。うん。今ので分かった。ちゃんと説明するから。はい、すー、はー。」
てのふるえが、とまらない。腕でギュッとして、それでも。とまらない、あたまのおくがきゅーってする。すー。はー。いきのおとがして。
全部夢ならよかったのに?
そうなんだろうなぁ。

「名前は解離性同一性障害。平たく言えば多重人格だね。」
「たじゅうじんかく……
ぼーっとしたまんまの頭の中で、西湖さんの声が響いている。
「うん。例えば、君が生まれてから今までのことがこんだけあるとする。」
近くの机の上で、紙に絵が書かれてく。まるい、あ、あれ。
……パイ」
「ん?」
「いや……なんか、見た気がして。」
でもそれにしては記憶になくて、まぁ、いいや。
「続けるよ?これが、君が生活する時に重すぎるから、もう少し分ける人を増やそうとした。こう、半分とかね。」
西湖さんが線を引く。ペンで、分けられていく。既視感と、初対面と、ショートしている感覚。
「こっち側が田町君が分かる方。でも、こっちは田町君じゃない誰かが持ってることになるよね。だから、こっちにあることは思い出せなくなったり、知らないうちに別の場所にいたり別のことをしていたりする。……実は、君はこの椅子に来る前までちゃんと動いていたし、ちゃんと会話もしていた。でも、態度も違えば名前も違ったんだよね。」
……そう、言われても」
「わかんないよねー。」
いつものように笑う西湖さん。ファンタジーって言った理由がわかる。あまりにも違いすぎるし、自分って言われてもなんていうか。
「これ有名だからさ。診断する前は気を使って嘘じゃないかとか見るんだけど、だって、怖いんだもんね。今までなかったわけだし。」
……そ、ですね
……さっきの「田町君」、メグ、って名乗ってたけど。……心当たりあるかな?」
めぐ。
なにかはひっかかる。なに、って言われると、わかんないけど。……あたまはうごかないし、なんだかクラクラしてくる……
でも、僕はこの名前を知ってる。
……知って、ます。でも…………わかんなくて
「そっかー、思い出せないかー。」
……すみません。」
「いいよー。今度また聞くね。色々あったし疲れたね!今日はこのくらいにしよう。あ、今後どうするかだけ話そっか。」
……終わりらしい。もう頭が動かなくて、とりあえず、肯くしかない。
「とりあえず、有給は1ヶ月以上あるみたいだから、1ヶ月間はとろっか。田町君疲れてるし、ゆっくり休んだ方がいいからね。」
……
ダメだ声がでない。首を振る。
「うーん、とりあえず薬は次回考えようね。今日は多分そもそも疲れてるからってのもあるだろうし。」
こくん。首が動くとぽわぽわする。
「来週また来てね。あ、紙に書いておくから、貼っといてね。……あと、日記かな。」
……にっき?……です……か?」
「うん、出来るなら、他の人とも話せた方がいいよ?君のことだから。みんなで頑張ってるなら、お話できた方が情報も作業もうまくいくよ。」
……そですね。」
「うん。交換ノートだね。」
交換ノート。なんか、よくあるやつだ。学校とかで。……よくは、わからないけど。
西湖さんが印刷した紙を渡してくれる。僕はそれを受けとって、ぽっけにいれる。他のものはバックに入ってた。これも、誰かが持ってきてくれたの?……わかんない。
わかんないことだらけだ。悲しくなるくらい。
立ち上がって支度して、ドアから出る。
……ありがとう、ございました。」
「はーい。気をつけて帰ってね。」
挨拶と共に、閉まる扉。
ぴしゃりという音。
しまるおと。
……。」
つかれた。
かえろう。
どこに?
どこだろ。
いえは、いえだけど。
……わかんない、と頭が答えた。


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