@niziirononanika
名称:ハイラスとフィロナスの三つの対話 Three Dialogues between Hylas and Philonous
通称:ハイラス/フィロナス
能力:ハイラス:物体の性質に関する、自身の思想に合わせた現実改変。
フィロナス:ハイラスの引き起こした現実改変を修正。
解説:ハイラス:本来は短く切り揃えた赤毛の青年です。
能力により『無彩色になる、あらゆる音を発さなくなる、質量を失う、視覚に映らなくなる、観測している第三者の角膜内に移行する』等の変化が起きますが、人格と容姿は変わりません。
生真面目かつ負けん気が強く、他の哲学人の思想に対し、必ず何かしらの反論を行おうとします。そしてその反論通りに身の回りの状態を改変します。しかし同時に他人の意見に染まりやすく、例え道理が通っていなくとも、毅然とした態度で説明することによって容易に説得が可能です。
また、現実改変能力の使用に関する自覚がありません。研究員が説明を行い、その危険性について一応の理解はしましたが、気にしていない、もしくは忘れてしまう様子です。
フィロナス:長い赤毛の青年です。ワンピースを愛用しています。
温厚な性格であり、根気強く、自身の思想説明を丁寧にわかりやすく行うことへの若干の強迫観念を持ちます。その関係から、思想を理解されない場合に強い苛立ちと不安を覚えます。
ハイラスの現実改変の影響を受けず、改変を修正する能力を持ちます。現実改変の危険性を理解しており、ハイラスの抑制に尽力していますが、精神的負担が大きいためか時々議論と修正を放棄します。
二人で一種の哲学人です。共に熱心なキリスト教徒であり、宗教的知識と認識論的知識を有しています。
両者の関係は良好ですが、思想的に対立しており、物体の存在否定をするフィロナスの主張をハイラスが覆そうとする形での議論を常に行っています。その時、ハイラスが『物体とは何か』を発言した場合、ハイラスの周りの物体はその発言通りの性質に変化します。
ハイラスの引き起こした現実改変は、フィロナスが口頭で訂正しハイラスを納得させることにより修正されます。フィロナスの証言によれば、重大な改変は事前に防いでいるとのことですが、時に間に合わず物理法則の異常により周りの人命に被害が現れることがあります。
対応:■■大学附置哲学人研究所内収容室にて、二人を同室に配置し収容。必ず二人一組で行動させる。引き離す場合は鍵の閉まっていないドアによって繋がっている隣接した空間内を最大距離とし、現実改変に対応できるよう職員がハイラスの様子を監視すること。
行動制限レベル2。移動申請は担当研究員■■■へ行う。
週に一度、ハイラスの現実改変に対する認知の指導と、フィロナスのカウンセリングを別室にて一人ずつ行う。
※『シミュレーション仮説』に該当する哲学の話題をハイラスの前で行ってはならない。また、該当する哲学人との対面も安全性が保証されるまでは禁忌とする。
発見経緯:■■■■/■/■ フィロナスが■■大学附置哲学人研究所に現れ、自身の哲学人名を名乗り、ハイラスの収容と保護を申し出る。
実験記録:
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実験内容:両者に対話を行ってもらい、現実改変を映像記録として保管する。
実験結果:ハイラスに接近すれば小さく、離れれば大きくなる物体の記録に成功。
考察:ハイラスの主張は「物体とはどのようなときも変化しない絶対的なものである」であり、ハイラス視点では物体の主観的大きさが変化しなくなったのだと考えられる。
哲学人の様子:冷静に議論を続けている。
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実験内容:ハイラスが思い付いたときに、フィロナスがハイラスの口を塞ぎ発声を阻害する。
実験結果:現実改変は行われなかった。
考察:発声が改変の鍵である可能性が高い。
哲学人の様子:両哲学人は不満を露にしている。議論は当哲学人の成り立ちに関わっているため、長期的な抑制は負担を与えるようだ。
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実験内容:ハイラスが何か思い付いたときに、研究員が物理的に口を塞ぎ、発声を阻害する。
実験結果:現実改変は行われなかった。
考察:声に出さなければ現実改変は行われない。
哲学人の様子:両哲学人には実験の趣旨と内容を説明済みであったが、ハイラスは酷く苛立ち、口を塞いでいた研究員を力で引き離すと突き飛ばした。その後興奮状態のままフィロナスと議論を続け、最終的に現実改変は行われ室内の色が消失した。
この行動について聞き取りを行うと、「圧力により言論を封じることは許されない」と主張した。
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実験内容:ハイラスが思い付いた内容を声に出さず、紙に書き出す。
実験結果:書き終えた直後は改変が行われなかったが、研究員が内容を視認した瞬間から一時的に物体に対する認知能力を失った。
考察:ハイラスの主張は「物体とは知覚されるものであり、五感に刺激を与える存在である」というものであり、五感の刺激の統合による物体の認知が行われなくなったのだと考えられる。
他人に意見を知られることによって改変が行われる可能性が高い。
哲学人の様子:フィロナスは疲労が現れているが、冷静に議論を行った。ハイラスは口頭での議論を行えないことが不平等であると主張し、議論の方法を変えるよう要求した。
補遺:実験前の重要性の低い会話の最中、■■■研究員が哲学人【世界五分前仮説】について名を挙げたところ、フィロナスが強く動揺し、話題を変えた。
後にフィロナスにのみ聞き取りを行ったところ、「世界の成り立ちに深く関わる思想は宗教的にも能力的にも禁忌に触れかねないため、ハイラスの前では口にしてはならない」との証言を得る。
補遺:■■■■/■■/■■の実験後に発見された音声記録
■■■研究員「二人ともありがとう。今日はもう休んで大丈夫ですよ」
フィロナス「ありがとうございます。さて、どうやらまだ納得されていないようですね、ハイラス」
ハイラス「いいえ、貴方の意見には概ね満足していますよ」
フィロナス「概ね、ですか? いつになったら私は同じことを説明しなくて済むようになるのでしょうか」
ハイラス「貴方の意見に対し、私が何一つの反論を思い付かなくなったときです」
フィロナス「反論が一つでもあるならば正しくない、ということは少なくとも物体は」
ハイラス「あっ、わかりました! わかりましたよハイラス。この世界は[認識不能の用語]なんです!」
フィロナス「いや……えぇ……?」
(■■■研究員のものと思われる、次第に歪み未知の人物の音声と合成されていく悲鳴が二分記録される。その後三分間ノイズが録音され、突如クリアな音質に戻る)
フィロナス「ということです、わかりましたか?」
ハイラス「貴方の言う通りのようです。私はまた間違えていたようですね」
フィロナス「本当にね」
備考:■■■■/■■/■■の実験後にこのような対話を行ったと当哲学人は認めているが、■■■研究員を含め全員に該当記憶はない。
この音声記録に関する更なる情報はフィロナスの強い反対によって聞き出せていない。