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【レドヒツ】見知らぬ傷(※仮題)

@tkaruno
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2015-01-23 02:36:26

不意に思いついて、寝る前までに一本書けるかのタイムアタックSS。
もしかすると加筆修正してサイトにアップするかもしれません。

普段より5割増程度甘々。レッドがガキっぽい。そしてヒィッツが乙女w


* * * * *


 肩を滑る感触に、レッドは目を覚ました。
「!―――起こしたか」
 首だけで振り向けば、上体を起こした格好のヒィッツの手が肩に触れている。滑る感触は指だったらしい。
「起きない筈が無ェだろ。何だよ?」
 明け方にはまだ早い。アナログな秒針の音だけが部屋に響いている。
 申し訳程度の常夜灯に照らされたヒィッツの顔は輪郭がぼやけて見えたが、その形良い唇は陰影を濃くしてはっきりと浮かび上がっている。
 そんな口元をヒィッツは何故かほんの僅かに尖らせるような仕種を見せ、
「この傷は……この間の交戦の時か?」
 そう言いながら上掛けから出ていたレッドの右肩を再びなぞる。
「ん?ああ、そうだったかな」
 レッドも上体を起こすと自分の左手で右肩を撫でた。
 ヒィッツがなぞっていた辺りに少しだが肌が攣れて盛り上がっている感触がある。
 つい数日前に終えた任務は久々に大掛かりな交戦があり、さすがに国警が絡んだ戦闘ではレッドも全くの無傷という訳にはいかなかった。
 だがレッドにしてみればそんな痕は傷とも呼べない物であったので、こうして改めてヒィッツに指摘されるまでは気にしていなかった。否、忘れていたくらいだ。
「別に珍しくも無ェだろ。こんな傷」
 一度任務に就いてしまえば、こんな怪我よりも死の方が近い。そしてそれはヒィッツだとて同じ筈だ。
 なのに何を今更こんな痕くらいで、とレッドは不思議に思ったが、ヒィッツは小さく「そうか」と呟き、もう一度レッドの肩を指の腹でなぞる。
 まるで指にその傷を覚えこませているかのようなその行為に、レッドはむず痒い様な―――身体の芯を掴まれるような、そんな妙な感覚を覚えたが、
「そうだな、別に珍しい傷じゃない」
 何かを押し殺すようなヒィッツの声が、行為を止めさせようとしたレッドの手を逆に止める。
「ヒィッツ?」
「珍しい傷じゃないのに……悔しい」
 次の瞬間、ヒィッツの指が傷から離れ、代わりに男にしては柔らかい唇が押し当てられる。
「おい?ヒィッツ?」
 予想外の行動にいよいよ動揺を隠し切れなくなったレッドが身体ごと振り向くと、直前で唇を離したヒィッツの紅潮した顔がそこにあった。
 眉間に皺を寄せ、何かに憤りを感じているようなその表情は普段の彼の物ではない。
 思わず次の句が出なくなったレッドの沈黙をどう取ったのかはわからないが、ヒィッツはもう一度その唇を小さく尖らせ、
「……お前が私の知らない所で傷を作った事実が、悔しい」
 そう呟くと年不相応の幼さで俯き、視線を逸らしてしまった。レッドの傷をなぞっていた指先は今はシーツを掴んで皺を作っている。
 ―――ややあって、レッドはやっとヒィッツのその行動がささやかな独占欲だと気づくと、
「~~~ッ……!ぁあああっ!」
 突然と右手で目の前を覆い、乱暴に前髪をかき上げ、その勢いで後頭部も掻き毟った。
 今度はヒィッツが何事かと顔を上げ目を見開く番だったが、その瞬きをする間に、ヒィッツの視界はレッドの顔と天井だけになった。
 常夜灯の光源でレッドの顔は半分しか見えなかったが、灯りに映し出されているその顔が赤く見えたのは決してライトの色のせいだけではないだろう。
 レッドは怒っているような、そのくせ口の端はどこか嬉しそうに歪ませた複雑な表情だったが、
「……だったら今からしっかり覚えろよ。俺の傷も何もかも、全部」
 そう言い様、やや強引にヒィッツの唇を塞ぐ。
 隙を突いて絡め取った舌先で互いの口内を蹂躙し、まだどこか追いつけていないままのヒィッツの唇を舐め、
「俺もお前の身体に全部、刻み込んでやるから」

 こんな些細な傷に嫉妬するのも馬鹿馬鹿しい位に。

 言外のレッドの真意にヒィッツは違う意味で頬を紅潮させたが、その身体を求め伸びてきた指に抵抗する事は無く、見知らぬ傷をなぞっていたその指はそのまま自ら新しい傷をレッドの背に刻んだのだった。




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