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ふたりの力(FF7R:クラエア)

全体公開 FF7(クラエア) 1 1581文字
2020-06-13 22:25:43

ワンライお題「頼りにする」

Posted by @tomo27vt

**FF7R:チャプター9の闘技場


成り行きで参戦が決まった闘技場にて、急遽追加された、四回目の戦い。
推薦人のマダム・マムも想定していなかったらしく、街のボスへの苛立ちを隠しもしなかった。
常の余裕然とした態度とは異なる、荒々しい言葉で喚き散らした時は苦笑を禁じえなかったが、当事者であるクラウドたちにとっても嘆きの一つも漏らしたい事態ではある。
何せこの闘技場、参加者は人間以外にモンスターや兵器もOK、戦闘手法に制限なし、 “観客が盛り上がれば何でもあり”のとんでもない無法地帯なのだから。
三回目までの戦いと同じく、対戦相手の詳細については知らされていない。
憂鬱にため息を漏らしそうになっていると、隣から聞こえてきた。
横に目をやれば、エアリスが胸に手を当てて、もう一度ほぅ、とため息をついている。

(エアリス?)

よく見れば、胸に当てている手が少し震えているようにも思う。
考えてみれば、当たり前だ。ソルジャーとして死線を何度も越えてきた自分と異なり、エアリスは戦いに慣れてはいない。危険と常に隣り合わせのスラム街育ちというだけあって、度胸もあるし戦闘での立ち振る舞いも自身の力の程度を知る慣れを感じるも、どうしても動きは鈍かった。
プロの自分も闘技場の無法振りに憂鬱を感じるのだ。下品な野次に“燃えてきた”と応じるだけの肝の強さはあるも、不安を感じて然るべきだろう。
慣れている自分がその不安を取り除くべきだが、クラウドはその方法を考えあぐねた。ただ声をかけるだけでは垣間見た不安を隠されるだけで終わるのは目に見えている。
戦いはもうすぐだ。先が見えない以上、不安になる因子は排除した方がいいのはわかっているが、他者の気遣いには不慣れの自覚があった。彼女と出会ってから、不得意な分野を直視しなければならない機会が増えているように思う。クラウドは唾を飲み込むと、グッと拳を握った。

「エアリス」
「、なぁに?クラウド」

振り返る顔は、よく見る微笑みを湛えていた。
短い付き合いの中で頼りにされている場面は何度かあったが、それは身体面や戦闘面といった、エアリス自身の力でどうにもならないようなことに対してだ。いつも笑顔を絶やさない彼女は余裕すら感じられるほどで、不安をぶつけられるようなことはなかった。
彼女の性格かもしれないが、こんな時の不安くらい露わにしたっていいだろうと思う。

「次の敵も正攻法では来ないだろう」
「だよね……
「あんたの魔法、頼りにしている」

翠の瞳が大きく見開かれて、虚を突かれたようにジッと見つめてくる。
居心地が悪くなって目を逸らすが、降り注がれる視線は嫌でも感じた。

「どうした」
「意外だなぁって」
「何が」
「クラウド、すっごく素直」
「事実を言っただけだ」

ふふ、と小さく笑う声も聞こえてきて、クラウドは早くも選んだ言葉を後悔し始めた。
ただ上手い励ましの言葉が思いつかない以上、事実を言うしかクラウドには手がなかったのだ。
実際、エアリスの魔法を扱う力は優れており、回復一つをとっても形勢逆転の一手に充分なる。攻撃魔法の威力も同様で、タイミングも効果覿面の場面が多いように感じていた。
体力もあるクラウドが攻撃をひきつけている隙にエアリスが魔法を放つ、という戦術が二人の基本となっていたが、それを基本とするほどにはエアリスに信頼を置いているのだ。

「クラウド」
「何だ」
「頑張ろうね。もう少し、だよ」
「ああ」

ちらりとエアリスの顔を見やれば、やはり笑っていて、それでも先程の震えは見られない。
ひとまずは、目的が達せられたことを喜ぶべきだろうか。
ふぅ、とため息を漏らすと、館内放送で二人の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。



ふたりの力
(FF7R:クラエア)
2020/6/13


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